「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「うつろ庵のヒマラヤ雪の下」

2014-03-07 01:05:31 | 和歌

 「うつろ庵」の庭の日溜りに、「ヒマラヤ雪の下」が咲いた。

 地面を横に這うように伸びる太い根茎から、大きな葉を拡げ、その中央に桜色の 花が二十個ほど、円錐状に集まって咲く可憐な花だ。

 ヒマラヤ山脈周辺の山裾に自生する花だという。どの様な経路を辿って、横須賀の「うつろ庵」に嫁いで来たのであろうか。日向とは云えども、未だ寒い庭先の「ヒマラヤ雪の下」の傍らで、この花が秘めている長い物語に思いを馳せた。



 何時も通る豊かな植栽が続く遊歩道にも、この花が植えられているが、毎年のことながら日陰の株が先に咲き、日向の株は「うつろ庵」の庭先と殆ど同時に、半月ほど遅れて咲くのが不思議だ。 長い年月をヒマラヤ山脈の、厳しい自然環境に耐えて、 身に付けた不思議な「性・さが」であろうか。

 花の可憐さとは別の性を持つことに、「人間のさが」を連想させられた。 
人間社会でも、それぞれが持つ知性や各種の能力とは別に、育った家庭や社会環境に応じて、云い知れぬ性が身に付くことが多い。 

 植物も人間も、地球上の生命体としての共通点があるようだ。




           庭先にようやっと咲くヒマラヤの

           雪の下かな半月遅れぞ


           如何ならむ日陰の株は年毎に

           日向の株の先に咲くとは


           ヒマラヤの過酷な自然に鍛えられ

           身に備えるや不思議な性をも


           地に這いて大きな円き葉を拡げ

           身を寄せ合ふて綻ぶ莟は


           七重八重 花を重ねて咲き競い

           春を待つらむヒマラヤ雪の下は


           花々は咲き揃ふかも日を措けば

           春待つ姿か首を伸ばすは