「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「大千成・せんなりほおづき」

2009-08-31 00:04:43 | 和歌

 何年か前になるが、仙台のさる割烹に飾ってあった小さな「ほおずき」風の枯枝が気に入って、酔いにまかせて褒めたら、女将が丁寧に包んで土産に下さった。

 それ以来、クリスタルの花器に投げ入れたまま、長いこと楽しんで来たが、ひょんなキッカケから「ほおずき」風の薄皮を破ったら、中からごく小さな種が採れた。或は芽生えるかもしれないと淡い期待を込めて、小さな鉢に種を蒔いた。

 幸いにも緑の若葉が育って、興味津々のうちに可憐な花をつけた。咲き終わると例の小さな「ほおずき」風の袋が、幾つもぶら下がった。仙台の割烹で見たあの姿が、「うつろ庵」の庭先にも再現されて、感激であった。

 花図鑑を調べたが名前が分からぬままに二・三週間を経て、「大千成・おおせんなり・せんなりほおづき」と知れた。粋な「おおせんなり」の風情に、仙台の割烹と女将が偲ばれる。





             花の後 結ぶ実枯らして小粋にも

             魅せるを知るや大千成は







             幾年を待ちにけるかな枯れ花の

             ままならずして花咲けるとは
   大千成


             湛えるは歓喜のなみだか降る雨を

             身に享けほほ笑むおおせんなりは