朝日が花びらを透かせて、レインリリーが「おはようゴザイマス」と挨拶しているようだ。
「うつろ庵」の生垣・珊瑚樹は、太陽に向けて腕を伸ばすが、屋敷側はいわば裏側と言った感じになる。虚庵夫人はその枝の間に花鉢を載せて、彩りを愉しんでいる。花鉢の一つに植えてあったレインリリーが咲いて、珊瑚樹の色濃い葉との対比が、誠に見事であった。
朝日受け生垣を背に浮きいずる
レインリリーは花びら透かせて
この花は、またの名をハブランサスとも呼ぶが、つゆ時から梅雨明けにかけてさくので、レインリリーとの呼び名が覚えやすいようだ。
せっかく咲いたレインリリーの花だが、庭木の枝が鑑賞を邪魔するので、珊瑚樹の特設花棚から下して場所替えをした。先ほどまでは逆光が花びらを透かせて、普段では見られない花の味わいがあったが、順光で見るとまた花の麗しさが一段と見事であった。花と光の相対関係が、これ程までに微妙な味わいを演出してくれるとは! 写真家や画家が、光の扱いに拘るのもよく頷けるというものだ。
陽を受けてひと際かんばせ映えるかな
黄金のしべを花芯に抱きて
反り返るうす紅の花びらの
想いを享けまし誇りもあわせて