昨夜からの雪が、降り続いている。
ココ高山に関しては、少ないと思っていた今冬の雪が、
今日は本格的。
もう、30cmほど積もっているだろうか。
雪が降ると、
人生が悲しくも美しいものに、
憂愁に満ちたものに思える。
と、詠ったのは、中原中也であったが、
雪の景色というものは、
ホントに不思議なこころもちにさせる。
ただただ嬉しかった子供のころ。
美しさに捕われていた若いころ。
先の見えるこの歳になって思い知るのは、
包み、消し去る甘やかな静謐。
死は、前よりしも来らず、かねて後に迫れり。
人皆、死ある事を知りて、待つことしかも急ならざるに、覚えずして来たる。
沖の干潟遥かなれども、磯より潮の満つるが如し。
____吉田兼好『徒然草』____
ワタシの歳の半分ほどの中也には、
ひたひたと満ちてくるものが、すでに見えていたのだろうか。
一層静かな雪の降る日、
人の声が懐かしく、
ヘルマン・プライの優しいバリトンを聴きながら、
昭和11年の雪の日に、思いを巡らしてみる。