草の葉

高山村にある、緑に包まれたギャラリー

「寄ってかねーかい」

2012-05-22 18:37:04 | 山の暮らし



ご近所のHさんが亡くなった。


このところ入院されていたので、
最初の3年間ほどのお付き合いなのだが、
よそ者のワタシに気軽に声をかけてくださった。

越してきた頃は毎朝、散歩が日課だったワタシ。
夜の明ける前に家を出て歩き始めると、
新聞を取りに、坂下から軽トラで登ってくるHさんと出合う。
どこら辺で出会うかで、どちらが早起きしたかがわかる。
「今日は、ワタシだな」
「えっ、もう来ちゃったの!」と、
まるで、早起き競争?!
そして、
1時間ほどかけて一回りしてくると、
坂の上の店先に腰かけているHさんが、
「寄ってかねーかい」
前橋に出かけない日には、お茶をごちそうになりながらしばしおしゃべり。
50年以上前に開拓で入植したころの苦労の数々。
養蜂家に貸している我が家の向かいの土地で採れる蜂蜜の話。
「今日は、忙しくて、また」と言う日は、
「ああ、そうかい」とちょっと寂しそうだった。

班長をしてた頃、ぐんと奥まったご自宅を訪ねると、
「お茶飲んでいかねーかい」
そして、
遠く遠くの山から引いたという自慢の水を飲ませてくれ、
ヤギやクマ、そしてキジの話。
ボートを浮かべた自作の池や、立派な木材を前に熱き思いも。



いつも野菜を持たせてくれ、何かと気にかけてくれたTさんといい、
こんなHさんといい、
親しくしてくださった近所の方が次々と亡くなり、
寂しくなってしまった。



高山で暮らす楽しみが、また一つ消えた。
            


     
          人と自然の
          生命と生命との鬩ぎ合いを凌いだ
          力強く、且つ素朴な静謐を
          悠揚たる緑と満開のツツジが、今、讃え想う。


         
                
                


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