日本百名山 34、火打山(2462m)
「北にあたって三つ並んだ山が見えた。
頸城(くびき)三山と呼ばれるもので、まん中が火打山、右が妙高山、左が焼山である。
妙高と焼はまとまった形をしているのに、間の火打は長い稜線を引いた不整三角形である。
人はとかく整った形には注目するが、そうでないものには迂闊である。
妙高や焼は人目を引き易いのに、火打は案外見逃されている。」
(真南の高妻山より)
設定:カメラ:PRE、レンズ:28mm、風景:雪の季節、高さ強調1.5倍
「三月下旬ではまだすべての山が雪を置いていたが、とりわけ火打は白かった。
どんなに雪が降り積もっても山のすべてを覆うわけにはいかない。
どこかに雪をつけない崖や岩壁がある。
ところが火打だけは完璧に白かった。
こんなに一点の黒もなく真っ白になる山は、私の知る限り加賀の白山と火打以外にはない。」
「普通笹ヶ峰牧場(笹ヶ峰口)から登るが、その登り道が一様ではなく、
林あり、平あり、池沼あり、変化に富んでいる。
殊に嬉しいのは雪の多いことである。雪は山を立派に見せる。
私が訪れたのは六月の下旬であったが、まだ山の大半は雪に覆われていた。」
(新潮社刊、深田久弥著『日本百名山』より引用)
私も、妙高山や焼山の名前は知っていたが、火打山は馴染がなかった。
しかも、頸城三山の中でももっとも標高の高い山なのだそうです。
筆者も
「・・・戦争前に妙高と焼山には登っていた。
三幅対の残りの一つ火打の頂上を踏むのに二十年遅れた。
それだけにこの登頂はいっそう嬉しかった。」 そうです。