くらしデザインスタジオ@楽(^^)

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原子力の核を知る3

2011-07-03 | 本,TV,歌,人物など

(→”原子力の核を知る2”)の続きで、
以下、私が少しそうなのかと思い始めた、原子力というか核についてです。
言葉少ななので正確ではないですが、こんななんかなぁと。

前回と同じで、左は、
「隠される原子力 核の真実」小出裕章著 創史社 1,400円+税です。
以下で、A本と書きます。
右は、
「原子力発電がよくわかる本」榎本聰明著 オーム社 1,800円+税です。
以下で、B本と書きます。

で、放射性廃棄物などと、なぜやるのか...です。

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「原子力発電所が...生み出した核分裂生成物は毎年使用済み核燃料として取り出されます。六ヶ所村再処理工場は、原子力発電所約30基が1年毎に取り替える量に相当する800トンの使用済み核燃料を毎年取り扱います。...再処理とは、使用済み核燃料中に生成・蓄積したプルトニウムを取り出すための操作です。

 原子炉の段階では、...プルトニウムや核分裂生成物を閉じ込めていた燃料棒を、再処理工場では細かく切り裂き、硝酸に溶かした上で化学的にプルトニウムを分離しなければなりません。...環境に放出する放射能の量は桁違いに多くなり、原子力発電所が1年で放出する放射能を1日で放出するといわれています」(A本)。

英国の「ウィンズケール再処理工場は、これまでに120万キュリー(広島原爆の400倍)を超えるセシウム137を内海であるアイリッシュ海に流しました。...そこで採れる海産物はすでに1970年代から、チェルノブイリ事故で日本が設けた輸入禁止濃度を上回っていました」(A本)。

「再処理は...、軍事のために開発された技術です。そのため、それがどんなに不経済であっても、どんなに環境汚染を引き起こしても運転が許されました。...原子力発電所を含め、再処理工場を除くすべての核(原子力)施設は放射性物質を環境に捨てる場合、原子炉等規制法によって濃度規制を受けます。しかし、...再処理工場の場合には、原子炉等規制法の規制が除外し、濃度規制をしないことにしてしまいました」(A本)。

「六ヶ所再処理工場で平常運転時に放出が予定されている放射能のうち住民に被曝を加える放射能はクリプトン85、トリチウム3、炭素14で、これら三核種だけで全体の被曝量の7割に達します。...六ヶ所再処理工場はこれkら三つの核種については『フィルタでは取り除けません。…十分な拡散・希釈効果を有する高さ約150メートルの主排気筒、沖合い約3キロ、水深約44メートルの海洋放出口から放出します』と書き、全量を放出するとしているからです」(A本)。

「...その結果、それらの放射能は全地球規模に汚染を広げ、全世界では毎年7400人・シーベルトの被曝を与えます(略)。1万人・シーベルト当たり1000人というがん死のリスク係数を当てはめれば毎年約740人、40年の操業では約3万人ががん死することになります」(A本)。

「クリプトンは...液化して捕捉できます。...水素の中からトリチウムを濃縮することも可能です。...炭素は...個体化して捕捉できます。...それならなぜ、六ヶ所再処理工場はクリプトン、炭素14、トリチウムを捕捉しないのでしょうか。それはカネがかかるからです。

...当初、六ヶ所再処理工場は7600億円の建設費で建設できると試算されました。しかし、次々と計画が見直され、現在ではすでに2兆2000億円もの費用がつぎ込まれました。...2002年になって、実は運転を始め、それを解体するにはさらに巨額な費用がかかるということが公表されました。何と総額では12兆円を越えてしまいます」(A本)。

「六ヶ所再処理工場は...、仮に計画通り40年にわたって順調に工場が稼働したとしても、処理できる使用済み核燃料は総量で3万2000トンです。そうすると、使用済み核燃料1トン当たりの再処理費用は約4億円になります。これまで、日本の電力会社は英国・フランスに再処理を委託してきましたが、その費用は1トン当たり約2億円でした。

「...再処理工場が期待通り稼働することなどありません。...六ヶ所の再処理工場の稼働率が(東海再処理工場と)同じように20%にしかならなければ、再処理費用は使用済み核燃料1トン当たり20億円にもなってしまいます。...六ヶ所再処理工場は現状でも経済性はすでに破綻しており、経済的な考慮だけから判断するなら、当然放棄されるべきものです」(A本)。

「...わが国では、放射性廃棄物は再処理施設において使用済燃料からウランやプルトニウムを回収した後に残る核分裂生成物を主成分とする『高レベル放射性廃棄物』とそれ以外の『低レベル放射性廃棄物』に分けられます」(B本)

「...多種多様な低レベル放射性廃棄物のうち、...原子力発電所から発生する固体廃棄物...を最終的に処分する方法としては、含まれる放射性物質やその放射能レベルに応じて『余裕深度(地下利用に対し十分余裕を持った深度)処分』、『浅地中トレンチ処分』および『浅地中ピット処分』といった処分方法が採用されます」(B本)。

「『余裕深度処分』をする低レベル放射性廃棄物としては、発電所の運転中に発生する制御棒、使用済樹脂などや原子炉の解体に伴って発生する炉心近傍の炉内構造物などがあります。...余裕深度処分のあり方については現在検討中です...」(B本)。

「『浅地中ピット』に処分する低レベル放射性廃棄物としては、...ビニルシート、衣類、交換された機器・部品類、廃液を固化したものなどがあります。...処分場は、...水によって放射性物質が環境へ運び出されるのを防止するよう設計されています。

 埋設された低レベル放射性廃棄物は、最初の数十年間は、...放射能の漏れ出しがないことを確認します。...約300年後には漏れ出して、居住環境に到達しても、自然放射線の100分の1以下の無視できるレベルに減衰していると予測されることから、まったく管理不要となります」(B本)。

「『浅地中トレンチ』に処分する低レベル放射性廃棄物としては、コンクリートや金属類などがあります。...浅地中トレンチ処分は、50年程度の管理期間を経た後は一般的な土地利用が可能になります」(B本)。

「高レベル放射性廃棄物と呼ばれるものには、ガラス固化体と直接処分する場合の使用済燃料があります」(B本)。「再処理路線をとっている日本ではガラス固化体を指します。...核分裂生成物には、...放射性物質も数多く含まれています。...この放射性物質は、再処理工場で...分離されます。この時点では液体に溶けていますがこれを長期的に安定な形で処分するために高温で液状のガラスに溶かし込むのです。これが冷えて固まったのがガラス固化体です」(B本)。

「...高レベル放射性廃棄物の地層処分は、地点選定に数十年、さらに処分場の建設から閉鎖まで数十年とかなりの長期間を要する事業であるとともに、処分場の閉鎖後、数万年以上というこれまでに経験のない超長期の安全性の確保が求められます」(B本)。

「高レベル放射性廃棄物の地層処分では、長期にわたって安定した岩盤(天然バリア)と人工的な障壁(三つの人工バリア)を組合わせた多重バリアシステムにより、ガラス固化体からの放射線と地下水に溶け出す放射性物質による影響を受けないよう長期にわたって人間の生活環境から隔離します」(B本)。

「...高レベル放射線廃棄物の処分は、IAEAやOECD/NEAなどの国際機関でも長い間議論されてきており、現在では『地層処分』が唯一の解決策と考えられています」(B本)。

現在、高レベル放射線廃棄物の処分場というのは世界にまだ無く、最も早いアメリカで2017年に操業予定。日本では、候補地未定で平成40年代後半に操業予定。(B本表より)

「人類は死の灰を生み出すことはできるようになりましたが、死の灰を無毒化する力は持っていません。そうなれば、できることは死の灰を人類の生活環境から隔離することしかありません。...代表的な核分裂生成物、セシウム137の半減期は30年です。それが1000分の1に減ってくれるまでには300年の時間がかかります。

 原子力発電所の使用済み核燃料(あるいはそれを再処理して生じる高レベル放射性廃棄物)は、およそ100万年にわたって人間の生活環境から隔離しなければならない危険物です。日本では、青森県六ヶ所村に建設された貯蔵施設(高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター)に、およそ50年間を目処に一時的に貯蔵して当座をしのいでいます」(A本)。

「日本は人口では世界全体の約2%ですが、エネルギー消費量は約5%で...。日本の経済成長、その背景となる工業力、そして私たちの便利な暮らしは、このようなエネルギー消費に支えられているといっても過言ではありません。...エネルギー源は、...きわめて重要であるにもかかわらず、日本のエネルギー供給は不安定な要素を多くはらんでいます。...日本の将来のエネルギーを考えるうえで重要なことは、輸入に頼っている化石燃料資源、特に石油への依存度をさらに減らすことであるといえます」(B本)。

「...化石燃料は、石炭を除けば21世紀半ばには、かなり需給が逼迫していることでしょう。当然ウランも大同小異でしょう」(B本)。

「高速増殖炉で238Uをどんどんプルトニウムに変えることができるようになったら、今後1000年以上にわたって、人類がエネルギー問題から解放されるのも夢でなくなります」(B本)。

「原子力を進めてきた一番の動機は個別企業、すなわち電力会社の利益です。...日本の電力会社は独占企業であり、電気事業法で利潤が保証されてきました。...その利潤は、...電力会社の資産(レートベース)に比例するように定められていたため、電力会社は原子力発電所を持てば持つだけ自動的に利潤を得ることができました」(A本)。

「次第に肥大化してきた原子力産業は、現在全体で2兆円あるいは3兆円産業と呼ばれるまでになってきて、すでに設置してしまった生産ライン、配置してしまった人的資産などがあり、どうにも止まれなくなってしまっています」(A本)。

「...日本政府の公式見解は『自衛のための必要最小限度を越えない戦力を保持することは憲法によっても禁止されておらない。したがって、右の限度にとどまるものである限り、核兵器であろうと通常兵器であるとを問わずこれを保持することは禁ずるところではない』

 ...外交政策企画委員会(外務省)が1969年に作成した内部資料『わが国の外交政策大綱』には、以下のように書かれています。『核兵器については、NPT(核拡散防止条約)に参加すると否とにかかわらず、当面核兵器は保有しない政策をとるが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャル(能力)は常に保持するとともに、これに対する掣肘を受けないよう配慮する。又、核兵器の一般についての政策は国際政治・経済的な利害得失の計算に基づくものであるとの趣旨を国民に啓発する』」(A本)。

核(原子力)開発をするという動機は、どこの国でも同じってことなんですよね...きっと。