認知症や知的障害などで判断力が不十分な人を支援する成年後見で、制度に関する一定の知識を身に付けた「市民後見人」の養成に取り組んでいる市区町村は全体の24%(421自治体)にとどまることが、厚生労働省の調査で分かった。
養成研修を受けて市民後見人になった約1万4千人のうち、実際に家庭裁判所から後見人に選ばれた人は昨年3月末時点で10%未満だった。
今後、認知症の人や独居高齢者の増加で制度の利用ニーズが増え、弁護士ら専門職だけでは応えきれなくなる恐れがあるため、厚労省は「市民後見人がもっと支援に関われるよう後押ししていく」としている。
市民後見人は、親族以外の一般市民で利用者の生活状況に詳しい人が後見人となる仕組み。
弁護士や司法書士といった専門職と同様、家庭裁判所が選任する。
資格は要らないが、成年後見や介護保険などの講義のほか、実習を含め50時間程度の研修を受けるのが一般的。
講義や研修は自治体のほか、委託を受けた社会福祉協議会などが実施する。
定年退職した入らが主な担い手で、利用者の財産から一定の報酬が支払われることが多いが、自治体によっては交通費などを除き、事実上の無報酬で仕事を請け負っているケースもある。
調査は全1741市区町村を対象に、昨年3月末時点の状況を調べた。
岐阜、和歌山、山ロ、佐賀の4県では市民後見人を養成している自治体がゼロ。
山形や奈良、高知など7県は県内に一つしかなかった。
養成した市民後見人の累積数は1万4140人で、最も多かったのは北海道の2458人。
東京都(1079人)、埼玉県(920人)が続いた。
そのうち後見人に選任されていた人は全国で1379人。
北海道が294人と最多で、恵只都(252人)、大阪府(133人)と続いた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます