韓国の朴大統領が5月19日、韓国海洋警察庁を解体するとの「サプライズ」発表をした。
資任者の処罰で政府批判の沈静化を狙ったが、残る行方不明者が見つかる前に、捜索に当たる海洋警察の解体を打ち出したことに不明者の家族は猛反発。
外遊出発直前のぎりぎりの発表で朴氏は涙まで流したが、効果は不透明だ。
「大統領がいう国民には、行方不明者の家族は入っていないのか」
朴氏の談話発表から約3時間後、事故現場に近い韓国南西部、珍島で、海洋警察庁の金長官に不明者の家族とみられる女性が詰め寄った。
朴氏は談話で自身の責任を認め再発防止への改革策を並べたが、行方不明者が残っていることには一言も触れなかった。
家族は、早すぎる解体発表が捜索に関わる海洋警察職員の士気に与える影響を憂慮。
金氏も、海洋警察職員に「変化」があるかもしれないと口にするなど組織の動揺は隠せない。
事故対応で海洋警察は、警備艇で現場に着いた職員が沈没前の船内に入って乗客に脱出を呼び掛けなかったとして非難を浴びている。
朴氏は「犠牲者は大きく減らせたかもしれない」と指摘し、救助活動が失敗したと断じた。
だが海洋警察は不法操業の取り締まりや海洋汚染防止などが主な任務で「転覆船からの救助など、日本の海上保安庁が持つ高度な技術はそもそもない」という。
事故はセウォル号の運航会社が恒常的に過積載運航を繰り返していたのを、海運業界と癒着した当局が見逃していたことが根底にある。
しかし、朴氏は癒着問題の言及を、海洋警察と安全行政省、海洋水産省の事故対応への叱責の後に回した。
癒着根絶を先送りにし、大統領権限を使えば、たやすい組織改編を優先する姿勢だ。
朴氏は「責任を回避している」との批判を浴びても、国民への謝罪表明を1ヵ月以上ためらってきた。
その朴氏が5月19日朝に談話を発表したのは、韓国が初めて原発を輸出したアラブ首長国連邦(UAE)への外遊出発が同日午後に迫ったためだ。
2009年に輸出契約を結んだUAEでは、韓国製1号機の設置記念式が5月20日に行われる。
日本などと原発ビジネスを競う韓国にとって、大統領の出席による「営業」は欠かせない。
国民に謝罪せずに国を離れれば世論が一層悪化するのは確実で、談話は出発前に出す必要があった。
300人の国民より営業が大切な大統領は、平気で「心ない泣き」までして演出した。
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