政府、与党は7月29日、一部の労働者を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」創設を柱とする労働基準法改正案の今国会成立を断念した。
安全保障関連法案をめぐり内閣支持率が低下する中、「残業代ゼロ法案」と批判の強い改正案の成立は困難と判断した。
秋の臨時国会での成立を目指す。
政府関係者が明らかにした。
改正案は4月に閣議決定され、今国会に提出されたが、安保法案の衆院採決強行による国会空転や、日本年金機構の個人情報流出問題に関する審議が厚生労働委員会で続いたあおりを受け、まだ審議に人つていない。
今国会は通常国会で戦後最長となる95日間延長され、会期は9月27日まであるものの、厚労委員会では同じく野党や労働組合が激しく反発している労働者派遣改正案の審議も抱え、日程的にも厳しくなっていた。
ただ政府、与党は臨時国会で成立させやすい環境を整備するため、今国会で審議には入り、衆院である程度審議時間を確保した上で継続審議とする見通しだ。
高度プロフェッショナル制度は、高収入の専門職労働者らを従来の時間規制から外す内容。
安倍政権は雇用分野の「岩盤規制改革」と位置付け、成長戦略の中心に据えている。
対象は研究開発や金融ディーラーなどの専門職。
年収の要件を法案では「平均給与額の3倍を相当程度上回る」と規定し、省令で「1075万円以上」と定める。
本人との合意に基づき適用されると、所定外時間を超えるいわゆる残業代だけでなく深夜や休日の割増賃金が支払われなくなる。
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