65歳以上と定義されることが多い高齢者の年齢を引き上げるべきだとの声が経済界から上がっている。
政府内では人口減少による人手不足の解消や、社会保障の担い手を増やせるとの期待が高まる一方、交流サイト(SNS)を中心に「死ぬまで働かされる」といった警戒感も広がる。
高齢者の年齢は法律によって異なる。
年齢引き上げの動きが出てくれば、60歳が多い企業の定年や、原則65歳の年金受給開始年齢の引き上げにつながる可能性がある。
見直し論は政府が6月に決めた経済財政運営の指針「骨太方針」を巡り注目を集めた。
定義見直しには踏み込まなかったものの、社会保障や財政を長期で持続させるためには高齢者就労の拡大が重要との考えを示した。
骨太方針の議論の中で経済財政諮問会議の民間議員は「高齢者の定義を5歳延ばすことを検討すべきだ」と提言。
経済同友会の新浪代表幹事は7月に「高齢者の定義は75歳でいい。 働きたい人がずっと働ける社会にしたい」と述べた。
背景に働き手不足への危機感がある。
内閣府では、70代前半の労働参加率は2045年度に56%程度と試算する。
経済界以外からも提案があった。
高齢問題の研究者らでつくる日本老年学会は6月、医療の進歩などによる心身の若返りを踏まえて75歳以上が高齢者だとした2017年の提言が「現在も妥当」との検証結果をまとめた。
SNSでは「悠々自適の老後は存在しない」などとネガティブな反応が旦立つ。
低年金により仕方なく働く高齢者も少なくない。
内閣府幹部は「元気で意欲のある人が働きやすい環境を整えたい」と説明するが、高齢者で目立つ労災の抑制やリスキリング(学び直し)の徹底などが重い課題となりそうだ。
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