インターネット通販や生命保険などの契約ルールを明確化する改正民法が5月26日、参院本会議で可決、成立した。
企業側が消費者に示す契約条項(約款)が無効となる基準を示すことが柱で、契約分野の大幅な見直しは明治時代の民法制定以降初めて。
改正項目は約200に及び、周知のため施行は約3年後になる見通し。
現行民法に約款に関する規定はなく、解釈の違いから企業と消費者がトラブルになることも多い。
改正案は約款に合意すれば内容を理解していなくても契約が成立すると定める一方、一方的に客の不利益となる内容は無効とする。
未払い金や滞納金を請求する権利がなくなる期限(消滅時効)のルールも変更。
現在は飲食代が1年、弁護士費用が2年などと業種ごとに異なっているが、原則として「請求できると知った時から5年」に統一する。
中小企業向け融資を巡り連帯保証人が多額の借金を抱えるのを防ぐため、裁判官や検察官のOBから任命される公証人が保証人に直接意思を確認しなければ、原則として保証の効力は生じないと規定した。
また、損害賠償額の算定などに使われる「法定利率」を法改正と同時に年5%から3%に引き下げる。
市中金利と懸け離れているためで3年ごとに1%刻みで見直す「変動制」も導入する。
一方、既に判例が定着し、専門家の間では当然とされている決まり事を条文に記載。
賃貸住宅の経年劣化を回復する費用は家主が負担すると明示。
認知症などで判断能力のない人が自宅のリフォームや物品購入の契約をしても無効だと明文化した。