ウクライナ侵攻を巡る情報統制を強めるロシアで、プーチン大統領の支持率が上昇している。
政府系機関の調査で額面通りに受け取れないが、ゆがめられた情報があふれるロシア社会では愛国主義的な言動が目立つようになり、反戦の声はかき消される。
政権の足元では幹部の離反の動きが伝えられ、ほころびも垣間見えるが、世論操作は一定の成果を上げている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は3月27日、ロシアメディアと約90分間の会見にロシア語で応じ、人道危機が深刻化する港湾都市マリウポリの惨状を訴えた。
しかしロシア当局は数時間後、報道を禁じると通達した。
レンスキー氏は会見で、ロシア側か戦死した兵士の遺体の引き取りを一時拒否したとし、「犬や猫が死んだ時だってこんな扱いはしない」と断じた。
ロシア語ニュースを通じて反戦世論の喚起を狙ったが、報道禁止措置で不発に終わった。
ロシアメディアでウクライナ側の言い分が伝えられることはほとんどない。
政府系の全ロシア世論調査センターによると、プーチン氏を信任すると回答したのは侵攻前の2月20日に67・2%だったが、3月20日には80・6%に上がった。
ロシアは今月、政府機関を巡る「偽情報」を拡散した場合、最長15年の懲役刑を科す法律を整備した。
ロシア各地では軍を応援する集会が盛んに開かれるようになった。
兵士への連帯を示そうと、幼い子どもを「Z」の文字の形に並ばせたり、車列でZの形をつくったりするイベントが相次ぐ。
Zはロシア軍の戦車や装甲車に記され、侵攻の象徴になっている。
「平和のために、ロシア、前へ」。
中部カザンの大学ではZ形のリボンを上着に付けた学生たちが声を張り上げた。
大学側は独立系メディアに「学生の発案」と説明したが、学生は大学が企画したと証言。
「会場に来なければ、大きな影響がある」と脅されたという。
「ロシア入はソンビ化している」。
ロシア政府系テレビのニュース番組中に乱入し、反戦を訴えたオフシヤンニコワさんは警鐘を鳴らす。
「ソンビ化」は政権のプロパガンダを信じ込み、思考停止となった状態を意味する造語だ。
若い世代では「ロシアメディアヘの信頼はゼロだ」との声も上がるが、中高年層では政府系テレビを主な情報源にしている人が多く、プーチン氏支持率も高
海外発の情報を入手しようとする人は一部に限られ、侵攻後はツイッターやフェイスブック、西側メディアのアクセスが遮断された。
日米欧の制裁で物価上昇など暮らしに影響が出ているが、現時点で政権批判や反戦世論の盛り上がりにはつながっていない。
世論工作は奏功しているもようだが、政権内部ではきしみも。
3月23日には大統領特別代表を務めていたチュバイス元第1副首相の辞任が判明。
侵攻への反対が理由とされ、既に出国した。
世論操作は本当に怖いが、どうして、ロシア人は信じやすいのだろうか。
プーチンを支持したロシア人全員がウクライナに懺悔する日は必ず来る。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます