米連邦捜査局(FBI)が、カリフォルニア州で起きた銃乱射テロの容疑者が使っていた米アップルのスマートフォン(IPhone)のロック機能の解除に成功したことが3月28日、分かった。
アップルが個人情報保護を理由に解除ソフトの作成を拒む中、FBIはアップルの協力を得ずに解除した。
解除をめぐる法廷での双方の争いは終結する見通しとなった。
犯罪捜査と情報保護のどちらを優先するのかという問題は日本でも議論を呼びそうだ。
米政府側は3月28日付で裁判所に提出した書類で「政府は容疑者のアイフォーンに保存されたデータの入手に成功した」と表明。
アップルヘの協力要請を取り下げた。
入手したデータの内容や、捜査に有用だったかどうかは明らかになっていない。
アップルは3月28日、声明を出し、ロック機能を解除するソフトの作成は「誤っており、危険な先例をつくると判断した」とFBIの協力要請を拒んだ理由を説明。
個人情報の保護システムを強化する方針を表明した。
スマートフォンなどに搭載する基本ソフト(OS)の安全性を高める。
FBIが銃乱射事件で押収したアイフォーンは、容疑者が設定した暗証番号を入力しないとロックが解除できず、データが消える恐れがあった。
アップルに解除するよう連邦裁判所を通じて求めたが、アップルは拒否していた。
容疑者はソーシャルメディアで過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓っていたとされる。
ロック解除をめぐっては、日本のIT関連企業、サン電子のイスラエルの子会社セレブライトがFBIに協力したと3月下旬に報じられたが、サン電子の広報担当者は3月29日「コメントできない」と語った。