先週に引き続いての武田泰淳「女賊の哲学」の発表、そのなかでの問題点、質疑応答と、それについての感想を記載いたします。
発表では、先週のなかでだされた質問から、主に作品が帯びている思想に集中して資料作成に臨みました。外部資料などを盛り込みつつ、その当時の武田泰淳の思想を、作品から読みこんでいき、なんらかの評価基準を設けることができないか、という視点によって、発表の準備を行ったわけでしたが、結果として発表では以下のようなご意見をいただきました。
・宗教(白蓮教)
・近代以前の中国の婚姻制度
・「賊」の字義について
・作中で用いられる「愛」「信」について
宗教・婚姻制度については、作品の世界観を理解するうえでぜひとも必要な知識であり、これを調べていない点は、痛恨事でした。また、「賊」「愛」「信」といった字義についての解釈は、作品の主題を知るうえでも、ダイレクトな評価へとつながっていくと思いますから、より深い研究的態度が求められます。これらについては、ただただ反省するばかりです。
武田泰淳という、複数の思想、主義、背景への跨り、越境の度合いにおいて、埴谷雄高にも比せられる作家とはいえ、もう少しやりようのある、読みがいのある資料にすることができたかと思います。
また、この作品に限っていえば、三人称の語り手でありながら、〈第二夫人〉についての情報のだし方がどこか、一人称の小説を 読んでいるような感覚になるものでした。ここに、読みの奥深さと、陥穽のごときものを感じ、今週の発表はまんまと後者に落ち込んでしまったと思うと、我ながら残念です。
上記を踏まえた発表、これをより大切にしなければならない、そう思う次第です。
発表者:モロクマ
発表では、先週のなかでだされた質問から、主に作品が帯びている思想に集中して資料作成に臨みました。外部資料などを盛り込みつつ、その当時の武田泰淳の思想を、作品から読みこんでいき、なんらかの評価基準を設けることができないか、という視点によって、発表の準備を行ったわけでしたが、結果として発表では以下のようなご意見をいただきました。
・宗教(白蓮教)
・近代以前の中国の婚姻制度
・「賊」の字義について
・作中で用いられる「愛」「信」について
宗教・婚姻制度については、作品の世界観を理解するうえでぜひとも必要な知識であり、これを調べていない点は、痛恨事でした。また、「賊」「愛」「信」といった字義についての解釈は、作品の主題を知るうえでも、ダイレクトな評価へとつながっていくと思いますから、より深い研究的態度が求められます。これらについては、ただただ反省するばかりです。
武田泰淳という、複数の思想、主義、背景への跨り、越境の度合いにおいて、埴谷雄高にも比せられる作家とはいえ、もう少しやりようのある、読みがいのある資料にすることができたかと思います。
また、この作品に限っていえば、三人称の語り手でありながら、〈第二夫人〉についての情報のだし方がどこか、一人称の小説を 読んでいるような感覚になるものでした。ここに、読みの奥深さと、陥穽のごときものを感じ、今週の発表はまんまと後者に落ち込んでしまったと思うと、我ながら残念です。
上記を踏まえた発表、これをより大切にしなければならない、そう思う次第です。
発表者:モロクマ