近研ブログ

國學院大學近代日本文学研究会のブログです。
会の様子や文学的な話題をお届けします。

2010年 夏期合宿

2010-08-05 21:14:48 | Weblog
こんにちは。

今年も近代日本文学研究会は、夏期合宿を行いました。場所は宮城県の仙台です。
夏に東北、ということで涼しければ、と期待していましたが実際は30度超えの二泊三日でした。暑いなかの合宿であったわけですが、その内容もまた、熱い、濃縮したものでした。




「幹事から観た合宿」

まず、1日目から。
先生とI先輩以外で、約5時間かけて新宿から仙台まで高速バスで移動。バスの窓から見えた宮城県の景色は青々とした田んぼで、さすがは米どころという感がありました。

その後、仙台駅で先生、I先輩と合流して仙台文学館へ。小さなところでしたが、近代から現代までの作家の生原稿や資料が置かれていて興味深かったです。

夕方、宿へ到着ののち読書会。宮澤賢治の『ポラーノの広場』をみんなで読みました。
先生がおっしゃられた、マルクス主義の影響、T君が言っていた仏教の影響を含めた「宮澤賢治文学」の広い宇宙的な世界観の前に、僕は正直な話幻惑されてしまいました。
そして、この後には長いながい夜があったわけですが、それは書くまでもありますまい……

2日目は松島海岸へ。
遊覧船に乗って松島に浮かぶ島々を観光いたしました。景色はなかなかのもので、船内の窓越しにもその良さは変わらないものではありましたが、なんといっても、船のうしろで観光客の餌を目当てに飛び回る鴎に驚いてしまいました。〈餌をやる人々と、それを欲しがる鴎……なんとも小市民的な観光だて……〉などと、船尾のデッキで煙草をふかしながら毒念くすぶらせていたのは、暑さのためであったのでしょう。
その後は五大堂、瑞巌寺、円通院という仏閣めぐりののち、再び仙台へ。時間に余裕がありましたので宮城県美術館へ赴きました。ここで、2日目に参加されたA先輩と合流。佐藤忠良という彫刻家が常設されており、近代の日本の洋画家たちの作品、「コンポジション」をはじめとしたカンディンスキーの作品など、非常に充実したラインナップを楽しみました。個人的に、岸田劉生の作品に一目惚れしてしまいました。
そして宿へ向かい、新幹線で来られたO先生を迎えての夜の読書会。2日目は『銀河鉄道』の夜でした。ここでは、作品のなかで描かれた具体的な描写をどう解釈するのか、ということに議論が集中しました。宗教的ともとれる各描写のなかに、ちりばめられた暗示的エピソードには、やはり、奥深い世界がありそうです。

3日目には宿よりほど近い東北大学に向かって、魯迅がかつて学んだ教室、胸像などを見学しまして、のち仙台城へ。山道をバスに揺られて到着しました。町が一望できる景色と、吹き抜ける風のなかで散策。そして、仙台市内へ戻り土井晩翠の旧宅へ向かいました。部屋の中央部に、晩翠がおそらくつかっていたであろうベッドが。〈ここで寝たら、さぞかし良い詩が浮かぶことだろうて……〉などと考えておりましたが、晩翠も寝ながら詩を拵えたわけじゃないだろうから、これは余りになまくらな考えというものでしょう。
昼食は牛タン。舌鼓を打って満腹となりまして、自由時間、でしたが、僕は暑さに負けて思わず喫茶店へ。そこで時間をつぶしてしまい、ろくろく買い物もできずに帰りのバスに飛び乗るという始末でした。

以上簡単に書きましたが、実際は暑い、幹事である僕に不手際があった、などの理由で、かなりハードな旅程であったこと深く反省いたしております。
夏合宿の過酷さ(それと同程度に楽しみもあるわけですが)を、今年も満喫しました。

2年 モロクマ