大して寝れないまま、朝が来た。
朝起きると、コチャコちゃんは、座ったときに足が入るデスクのへっこみに横たわっていた。
手足を投げ出すように。
四本の棒のように。
眼が開いていた。
さすって声を掛ける。
少し動いた。
カーペットが濡れていた。おしっこ。
机の奥には、少し濃いしみ。さわって匂うと、大の方。
なにも食べていないので、液しか出なかったのだろう。
鬼畜老爺にはつたえず。
お袋さんを呼んで、ことを伝える。
トイレやお水、えさに近い場所に移すことにした。
中にはいってもらうために買った、花柄の寝袋のようなおふとん。
これをひいて、そのうえにコチャコちゃんを乗せることにした。
抱っこして移動するが、かなしきほどに軽すぎる。
背中はゴツゴツとホネばっている。
この手。手が自然に感じわける重さと大きさのバランス。
まみちゃんの最期と同じものを、手は思い出させる。
花柄のかわいい、表面のはだざわりの良い、おふとん。
その上に、コチャコちゃんを横たえる。
さすって声を掛けると、ちいさく声を出した。まぶたは反応した。すこし。
もう粗相をしてもよい。
下に引くものを変えればいいから、とお袋さんが言ってくれた。
そのままでいいよ。コチャコちゃん。そういう。
スーツを着ながら、出るまぎわ、声をかけて駅に向かった。
お袋さんに、なにか変化があったら携帯電話にいつでも電話を・とおねがいした。
うしろ髪を引かれながら、外にでた。
小春日和。
空にはなにもなくて、すきとおる青だけがある。
光が、駅へ向かう人や、花やおきものの長い影をえがく。
午後、お袋さんより携帯電話に連絡をもらう。。
抱っこして、お水を飲ませたら飲んだ。
おてんきがよいので、日がさす昼に、おふとんのまま日なたぼっこできるように移動した。
ただ、時々刻々とおとろえていく。
そういう。
今夜が、ヤマかもしれない。。。。と、
言いたくはないけど、と、
話すコトバを聞いた。
その言葉に、裏付けは確認のしようもない。。。が、後悔しないために。
「ボクも覚悟はしている」
まわりの同僚に事情を話し、やることをはやく終え、実家に向かう。
そうする。