チャイナ・クライシスの3枚目のレコード「Flaunt the Imperfection」。
日本語のタイトルで「未完成」という名がついている。
1. The Highest High 04:15
2. Strength Of Character 02:53
3. You Did Cut Me 04:18
4. Black Man Ray 03:37
5. Wall Of God 05:32
6. Gift Of Freedom 04:38
7. King In A Catholic Style 04:30
8. Bigger The Punch I'M Feeling 04:22
9. The World Spins, I'M Part Of It 04:14
10. Blue Sea 04:43
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長いこと、時間を共にしてきた数少ない「信用出来る」人たちである。
90年代以降、芝居や手法として、若々しさ・蒼さを売りにした「エセ」牧歌的なバンドや、やたらと「器用」がゆえに、それなりの音を作れる人々は増えたが・・。
どうも、自分には、そういうのがハナについて、聞く気になれない。
ということで、根っから牧歌的な彼らを今でも好んで聴いているし、未だに古いレコードを集めている。
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2枚目「Working With Fire&Steel」の等身大の彼らが好きだった。
工場からの排煙を見ながらも、屋根から、街の眺めや、空の青さ、雲の動きをただぼうっと見ている彼らが好きだった。
しかし、この3枚目はスティーリーダンのウォルターベッカーがプロデュースで、彼らの若々しい青々した部分が消え、妙にかしこまって大人ぶった部分はがりが見えて悲しかった記憶がある。2枚目で展開した、独自性ある叙情派テクノ・ニューウェイブ道を進んで欲しかったのに。
このアルバムが出た1985年当時、わたしはすさんだノイローゼ持ちの素浪人。
MTVで「ブラック・マン・レイ」が流れるのを横目で見ながら、「ダメだ。チャイナクライシスお前も裏切るのか。」とがっくりした。
とはいえ12インチの「YouDidCutMe」を買ったりもした。
B面の「クリスチャン」のライブに、自分の知るチャイナクライシスを見つけた気がして、少し安心したりもしたが。
アルバムからは、3・4・7がシングルカットされた。
もともと、デビュー当時のインタビューで好きな&影響受けた音楽に「ブライアン・イーノ、スティーリーダン」とあったから、このアルバムは彼ら自身の希望はかなっているのかもしれないが、私には彼らの個性が殺されているようで、好きになれなかった。
それから数十年…、ここ1~2年たまに聴くようになった。
基本は変わらないが「 Bigger The Punch I'M Feeling」「WorldSpin」「BlueSea」と最後に続く3曲にチャイナクライシスならではの味を見つけて、これだけ何度も聴いている。
特に最後の曲「BlueSea」の蒼さ・優しいフレーズでの組み立ては彼らにしか出せないもの。名曲だ。