こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

秋の100曲:マイケル・センベロ「オートマティック・マン」’83

2023-10-27 23:00:00 | 音楽帳


ここ数日はどういうわけか、この曲が浮かぶ。
気が付くと、脳裏でこの曲が鳴り続く時間がよくある。幸宏のオールナイトニッポンでこの曲が掛かったのは1983年11月8日。
移ろいゆく季節に反応して、脳が40年前の記憶を引っ張り出してきたのだ。まだ11月じゃないし、40年前ほど寒くないし・・・なのだけど。どういうことだか。。。

幸宏のオールナイトニッポンで掛かる曲はおおむねトシ矢嶋さんがロンドンから持ち帰ってきた新譜レコードだったが、
一部放送局としての「おとなの都合」で掛かる曲もあった。
この曲「オートマティック・マン」は明らかに後者だったのだろう。
この日のラジオ放送を録音したカセットテープを擦り切れるほど繰り返し聴いているうちに、耳から体内に焼き付いてしまって、好きになった1曲。

自分としては意外な1曲だが、“アメリカのヒットチャートなんてバカバカしい”と思う一方で、
ストレートで肩のチカラを抜いた軽いヒット曲に魅力を感じていたのも事実だった。

***

日本で知られるマイケル・センベロは、映画「フラッシュダンス」のサウンドトラックに収録された曲「マニアック」だろう。
1983年当時「ベストヒットUSA」で映像が流れるのを見て、「なんて軽薄な!」と思ったものだが、9月10日と17日の2週に渡ってビルボード1位になった。
そんな彼はどちらかというと裏方のスタジオミュージシャンで、スティーヴィー・ワンダーと8年近い活動歴があり、リード・ギタリストとして参加。
その他セッションやプロデュース業などを務め、当時自宅に「ボサ・ノヴァ・ホテル」と名付けたスタジオを持っていたという。

シングル「オートマティック・マン」はチャート34位と「マニアック」ほどはヒットしなかったが、自分には忘れられない1曲。
この曲を聴いていると、芋づる式に三宅さん・小倉さんといったSETのメンバー、幸宏やトシ矢嶋さん(”大久保林清”こと)景山民夫さんらで構成されたオールナイトニッポンの楽しかった夜を想い出す。

■Michael Sembello「Automatic Man」1983■


(2023.10.26 夜)
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秋の100曲:アーケイディア「エレクション・デイ」’85

2023-10-20 23:10:00 | 音楽帳

 こないだレコード屋さんでエサ箱を漁っていたら、アーケイディアの12インチシングルを発見、購入した。
今まで7インチシングルしかもっていなかったのだが、こんな12インチが日本国内でも発売されていたなんて、この年・2023年まで知らなかった。
12インチのA面は、8分39秒にも及ぶ「コンセンサス・ミックス」なるもの。それが果たして「ロング・ヴァージョン」とどう違うのか?は全くはっきりしないけれども、そんな名称はともかくとして久しぶりに聴いた「エレクション・デイ」はいつもながらカッコ良かった。30cmの大きさのレコード片面をたった1曲で占める、というぜいたく感は、やっぱり12インチシングルならではの味わいだな・・・とプチプチ言う音に浸る。

 ニューロマンティクスの重要な一角を成したデュラン・デュランは、アルバム「リオ」でアメリカ進出も果たし、80年代中盤に2つの実験的なユニットを結成する。
1つはパワー・ステーション、もう1つがこのアーケイディア。アーケイディアのメンバーは、サイモン・ル・ボン、ニック・ローズ、ロジャー・テイラーの3人。
さすが一番お金があったデュラン・デュランの最盛期ゆえ、アルバムには驚くようなミュージシャンが参加している。ロキシーミュージックのアンディ・マッケイ、日本からは土屋昌巳、カルロス・アロマー、一風堂のツアーにも参加していたデヴィッド・ヴァン・ティーゲム、グレイス・ジョーンズ、ピンク・フロイドのデイヴ・ギルモア、スティング、ハービー・ハンコック・・・。豪華すぎるゲストの面々、その名前の一覧を眺めるだけでもため息が出る。プロデューサーは、トンプソン・ツインズでも有名なアレックス・サドキンとアーケイディアの共同プロデュース名義。

 アルバムにもいくつか好きな曲があるが、何よりこのところ聴いているのは新しく手に入れた12インチの「エレクション・デイ」。
遠くから近づいてくるシンセ音、はっきりと聴こえないくぐもった声のラジオ風ノイズ、そのイントロの入り方が未だに新鮮に響く。土屋昌巳さんのひずむギターの音、クールなグレイス・ジョーンズの語りetc・・今でもカッコよく、今でも好きなシングルである。この曲は死ぬまで聴いているんだろうな、たぶん。
ジャケットデザインも鮮やかで美しい。・・・ついつい、この時期のバンドには想い入れがあって何かとミーハーになってしまう。

■Arcadia「Election Day」1985■


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航海日誌: アフターコロナの名曲喫茶

2023-10-18 09:30:00 | 詩、セリフ・・・そして、コトバ

(2023.10.17晴れ)


ラジオ番組「SAYONARAシティボーイズ」が好きで、毎週聞いている。
その番組後半では、メンバー3人が書いてきた日記を持ち寄り、それぞれの日記を自分で読むコーナーがある。
この14日(土)はきたろうさんと大竹まことさんの日記だったが、大竹さんの書いてきた「名曲喫茶」を巡る日記が心に残り、何回も繰り返しタイムフリーで聴いていた。

長引く不況やこの三年のコロナ禍により、昔なじみの喫茶店が次々と店をたたんでいる。
それは何も喫茶店に限った話しでは無い。この10数年前から、日本のどの町に行っても同じチェーン系の店しか無い、という状況になってしまった。
時代は明らかな転換点を迎えている。

大竹さんは、そんな状況下でもささやかに営業している、個人経営の小さなお店の話しを昼の番組でもたまにしていたが、今週はそんなコーヒー店に行ったときの日記だった。
とても示唆に富んだ日記だったので、文字起こしをしてみた。

日記 9月28日 木曜日
時代から取り残されたような古い喫茶店に入ってしまった。
老婦人がアイスコーヒーをテーブルに静かに置いた。見ただけで透明のガラスに入ったコーヒーは薄そうなのがわかった。
飲むとやっぱり薄い。。。めちゃくちゃ薄い。。。小さな氷がカタカタと音を立てる。私はこれまでの人生で一番薄いアイスコーヒーを飲んだ。
老婦人が暗いカウンターの奥で笑っている。私も笑った。

私より後に入ってきた老人は確かコーヒーフロートを頼んだはずだが、テーブルに置かれたのはクリームソーダであった。
緑色に透けるクリームソーダを老人は文句も言わずストローですすっている。クラシックが流れている。
「名曲喫茶ネルソン」と看板にあった。もう61年続いているらしい。


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写真日誌:夜を歩く ~九月 ミッドタウン近辺~

2023-10-09 23:30:00 | 写真日和

ハワード・ジョーンズを観に行った9月上旬。
その夜から、あっという間に一ヶ月が経ってしまった。

その夜の写真をめくる。
ヒタヒタと沁み込んだ闇の感触。それを想い出す。



ミッドタウン周辺は毎月用事があって歩くが、こんな夜遅くまで居ることがない。

六本木、赤坂、乃木坂、青山・・・。
夜は昼とは全く違う世界が開いている。

もう今の自分はお酒を呑むこともない。
でも腹が減ったので、この夜 何か食べて帰ろうと思ってうろうろした。

しかし、歩いても歩いても呑み屋以外の食事処はどこも店じまい。。。
しくじった!
孤独のグルメの五郎さんみたいに、一人 呑み屋に入って夕ご飯を食べる覚悟、それが自分にはない。



ひさびさに歩くひとけない道。
最近ごたごた世間をにぎわしている、Jの本社がある通り。
ふだん通るこの道も、この夜は虫の音が聞こえるほどにひっそりしていた。

かつて奴隷のように働いていた頃は、夜遅くまで外に居るのは普通だったが、
今では夜を歩くことはほとんどない。
朝から夜中まで働いた、あの“ほとんどビョーキ”な日々もすっかり遠くなった。

さらば社畜生活、さらば社畜社会、さらば社畜化した同僚たち。。。

■Howard Jones「The One To Love You」2019■
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写真日誌:夜を歩く ~中秋の月~

2023-10-01 21:30:00 | 写真日和

金曜の夜、リハビリの数時間を終えて外に出ると、月が煌々と見えた。
見えた、といっても、建物と建物のあいだであり、歩きながら視界をずらし、なんとかビルのあいだから覗いた月を拝んだのだ。

この数日、カラダが異様に重ダルい。
さらには、目が回るように平衡感覚がおかしい。
ついにこのカラダにも重大な状況が迫ってきたか、と思ったが、「それは満月のせいでは?」と家の者に指摘される。
そうかも知れない。とたんにバカバカしい妄想が解ける想いがする。

テレビでは盛んに、同じことを言っていた。
中秋の名月が満月とは限らない。
今年はたまたま満月。
次に満月になるのは2030年。

2030年?
7年後なんてはるか遠い。こういったはるか先の話しは、今では自分に無縁な世界と捉えるようにしている。
でないと、気が遠くなるのだ。

昔、1980年、雑誌でストラングラーズのジャン・ジャック・バーネルがインタビューに答えていたくだりを想い出す。
「10年後どうなってるかって?たぶん死んでるよ」と言った捨てセリフに「かっこいい」と当時中学生の自分は思っていた。
しかし今の私には、リアル過ぎてシャレにならない。

月夜にストラングラーズを聴いていたか?と言えば、全く違う曲を聴いた。



■Echo & The Bunnymen「The Killing Moon」1983■


なんとかズームでブレブレの月をおさえた。
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