こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

大竹伸朗展

2023-02-14 22:00:00 | スケッチブック

個人的備忘録。
一月に入り、昨年から楽しみにしていた大竹伸朗さんの大回顧展に行った。

東京都現代美術館で開催された前回の「全景展」が2006年秋だから、あれから16年ちょっと。
そんなにも時間が流れたのか?
時はすごい勢いで流れ、止まることを知らない。
理屈抜きの不条理。そんな時の流れに流されながら、時の波間で生きている。

2006年、改修前の東京都現代美術館・全棟を大竹伸朗作品で埋め尽くした「全景展」は、あまりにも圧倒的だった。
「過剰」というキーワードが見え隠れ、メーターは振り切ったままで、観る途中て吐き気を覚えたり、自分の心身がついていけないところもあった。

そのため今回は恐れを抱きながら会場に向かったが、結果的には全くそんなことを感じずに観終えることができた。
16年前「全景展」で観た絵は、その後16年のあいだに色んな場面で繰り返し観てきた。それが心身に染み込んで抵抗力となったのだろう。
しかし、落ち着いて観終えることが出来た理由はそれだけではなかった。

現代美術館全棟に広がった作品は、今回その中から2割くらいに選抜されていた。
上手な区分と展示の仕方。スペースと作品数がギュッと絞り込まれ、圧縮されることでとても見やすくなっていて、全体を貫く大竹伸朗という存在のありかが見えてくる。
そんな納得の行く収まり方をしていた。

こんな割り切る言い方を大竹さんは嫌うだろうが、個人的には味わい深い、手ごたえのする展覧会だった。
「全景展」のライティングは白が基調だったが、今回は間接照明を使って照度を落とした光が、大竹伸朗作品の特長である表面のデコボコや繋ぎ、貼り合わせ箇所を舐めるように見せてくれた。場内を行ったり来たり、距離や角度を変えたりすることで見え方は様々に変化した。

そもそも、大竹さんの作品を二次元の紙やネット写真で見ることなんて馬鹿げたことで、生(ナマ)でこそ堪能できる。
このへんが他の作家作品とは大幅に違うんだろうな、そうわかる展覧会だった。

そう言えば、大竹さんの作品を初めて見染めたのはいつだろう?
とさかのぼると、土屋昌己さん率いる一風堂の1981年アルバム「レディオ・ファンタジー」のジャケットにぶちあたる。
アルバムの中身も未だに好きだが、初夏を思わせるジャケットもお気に入りの一枚。

「全景展」でこの原画を見ることが出来たときにはうれしかった。
今回その絵は無かったが、描かれたパンのようなキャラクターのイラストをスクラップに発見した。あのパンには基となるキャラクターがあったんだ。と40数年目にして知る。


1990年代初めに銀座の画廊で観た造形「ティーチング・オブ・イスラム」は「全景展」にもあったが、今回も再登場。
そこに付いたスピーカーから流れてくる曲をノイズかきわけ聞いてみると、イスラムの現地音楽と判明。
近くにダブ平やモンシェリー小屋があり、立つ位置によって、いくつか聞こえてくる音が微妙に重なり合いミックスされ、イーノのインスタレーション展を思い起こさせた。


便所のいたずら書きを目指した、という巨大サイズの作品「サンティアーゴ」も再登場。
細野晴臣さんが作ったユニット「FOE(フレンズ・オブ・アース)」のアルバム「SEX ENERGY & STAR」ジャケットに、一部が使われている。




つづく
コメント
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