こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

2011年7月11日 月曜日 高橋幸宏「震える惑星(ほし)」'91

2011-07-11 08:03:02 | 音楽帳
「夏のフェイバリッツ」から今日は離れる。

過去、何度も紹介した曲だが、1991年発表の幸宏の「A DAY IN THE NEXT LIFE」より。
2011年3月11日東日本大震災より4ヶ月目の今日、あえて、この曲を再度選ぶ。



私は、このアルバムを、大学を終え、就職し、いきなり大阪に放り出された頃、友達も知り合いも居ない地で、一人ぼっちで、このアルバムをよく聴きこんだ。

他人事ではない幸宏の持つ神経症。
末っ子で母親っ子の幸宏少年が、好きだった母親を幼い頃に亡くした経験とショックが、彼のナイーヴでナーヴァスな音楽の根源だと思っている。



その神経症体質は、多くの優れたエッジを削るような鋭い音楽を創り続けてきたが、1983年YMO散会後、鈴木慶一とテント・レーベルを創り、高野寛との出会いを経て、さまざまな迷走をはじめる。

何も座標軸を失ったのは、僕だけのことではない。

1990年に「Broadcast From Heaven(天国からの中継)」以降、この世ではない「来世」を思うようになる。
そこで、友人景山民夫と微妙に交錯し「幸福の科学」の雑誌に出る危険をもはらみながらも、彼は自分の持つ神経症と格闘しつつ、真理を探し続ける。

「Broadcast From Heaven」の後作である1991年の「A Day In The Next Life」でズバリ「来世」をタイトルにするにいたる。



ここには、1990年8月に始まった湾岸戦争を日本で僕も含めて、遠くのこととして見聞しつつ、延々と終わり無く繰り返される「戦争」なるものへの言葉にならない無常感を含めて、もともとはメッセージ性を嫌う幸宏が、この戦争までをもテーマに入れざるを得ない心境になっていた。



「母親の写真に 水備え 祈って」
「缶ビールを開けると ミサイルが (TV画面に)映って」(「Everyday Life」より)

1曲「愛はつよい(Stronger Than Iron)」は、カメリア・ダイアモンド(だったかなあ?)宝石のCM曲に起用されてはいるが、アルバム全体ポップという印象は無く、重い時代の空気と、遠き母の死と、この世の行く末を憂えるものの中で、もがくようにして、この世の外側に位置しているが現存するであろう「来世」で再び出会おう・・・、そういう意志が読み取れた。

(YMOの「浮気なぼくら」で、細野さんは「ベイビー、世界の外で会おうよ」〔『ロータス・ラヴ』より〕と言ったが)

たびたび紹介する「震える惑星(ほし)」は、常にカバー曲を1曲入れる幸宏が1曲目に、ニール・ヤングの「Only love Can Break Your Heart」のアコースティックなカバーに始まった、その次の曲となっている。
ここでは、ギタリストとして布袋寅泰を起用し、エイドリアン・ブリュー的な超越した1つのチューンが鳴らされる。

「震える惑星(ほし)」は湾岸戦争を発火点とした曲だが、2011年3月11日東日本大震災後に聴くと、改めて異なる響きを持って迫ってくる。



百億の 想いを抱いて 闇の彼方へ 消えればよかった
僕は誰? 削がれた耳で まだ君の嘘 聞こうとしてる

傷ついてから 愛された・・・
震える惑星(ほし)の 上に立ち

声にはならないけれど 僕達は叫んでる

一筋の 光が見えて つらい夢から 今目覚めたんだ
君は誰? 天使じゃないのに 血の滲む骨に 頬擦りしてる

壊れかけてる 惑星(ほし)に住んで 壊れかけてた 君と僕
優しく ずっと君が みつめててくれるなら
優しく ずっと君が 微笑んでいるはずさ
声にはならないけど 僕達は 叫ぶ・・・・

作詞:森 雪之丞
作曲:高橋幸宏
コメント (1)
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