ということで。
昨日は、色々と本を買った。たまっていた読書(欲)を少し満たそうかと。乱雑なざっぷ読み。
山田詠美『風味絶佳』文藝春秋
肉体労働の男の子達の恋愛というか性と生活と仕事の日々を描く。かなり洗練されている山田の文体は、ときに過剰に複線を用意しているなあと思う時など、さめることもあるのだが、描きたい一点を浮かび上がらせる力量に飲み込まれる、それはとても気持ちいい。あと、やっばり肉体労働へ向かう眼差しって、他の文芸誌に載っているものとかちらっと読んでみたりすると、例外的なものだなあと感じる。自分のセンス(味覚)だけを信じて進む、その頼りなきしかし確かな一歩一歩、にちょっと共鳴。その点から言えば、中原昌也なども随分「トレンド」コンシャスに見えてくる。
北田暁大『嗤う日本の「ナショナリズム」』NHKブックス
いま超話題の一冊(宮沢章夫さんのブログで言及されていたあたりで、気になり始めていた)。遅ればせながら斜め読み。何よりもナンシー関が理論的に文脈化されていることを評価したい。この人がいなくなったことで日本から失われたものは甚大だと思っていた(いる)から。いまでもよく、「ああ、いまナンシー関が生きてたらこのことなんて言うんだろう」って思ったりする。それにしても、「反時代的思想家としてのナンシー」なんていう小見出しには、ちょっと笑いが吹き出す。あと、ロマン主義論(あるいは反省の論理)から今の日本を読む視点は気になるところ、よくもわるくも。
でも、この人の最大の欠点は、事象・対象にのめり込んでいないところだ。いかにも、東大助教授な姿勢を崩さない。ぼくほぼ同い年なんですけど、同世代として、このひとが、一体あれやらこれやらをどう見ていたのか(体験していたのか)あまり判然としない。60年代を語るのと同じように80年代を語るその姿勢は、2004-5年のことでも、同様な対象への距離感を保ち続ける。社会学の研究者的な態度といえばいいのか。それにしても、「電車男」で泣いた、っていわれても(冒頭で筆者がそう告白するのだが)、リアルタイムでの経験でない(2ちゃんでの更新とともに読んだのでない)ならば、ちょっと、ね。その自分の振る舞いに対してこそ、自分で距離を感じてくれれば、いいのに。
西村賀子『ギリシア神話』中公新書
これは純粋に講義の準備のための読書。かなり平易。
村上隆(編)『リトルボーイ』イェール大学出版(アマゾン経由)
今後この本は日本・現代・美術を理解するためのひとつの準拠枠になっていくのだろう。面白いのだが、どうしてもキャッチフレーズが先行的になりがちで、その整理に言葉が終始している気がして、ちょっと残念だ。気負いの強さで読ませる(見せる、あっ基本はジャパン・ソサイエティでの展覧会のカタログなので)一冊。
昨日はカントの研究会のある日。10時過ぎまで本郷にいて、そこから帰るので、帰宅は12時近くになる。帰ってから、夜の散歩にAを連れだし。「散歩」といってビール買いに行くだけなんすけどね。
昨日は、色々と本を買った。たまっていた読書(欲)を少し満たそうかと。乱雑なざっぷ読み。
山田詠美『風味絶佳』文藝春秋
肉体労働の男の子達の恋愛というか性と生活と仕事の日々を描く。かなり洗練されている山田の文体は、ときに過剰に複線を用意しているなあと思う時など、さめることもあるのだが、描きたい一点を浮かび上がらせる力量に飲み込まれる、それはとても気持ちいい。あと、やっばり肉体労働へ向かう眼差しって、他の文芸誌に載っているものとかちらっと読んでみたりすると、例外的なものだなあと感じる。自分のセンス(味覚)だけを信じて進む、その頼りなきしかし確かな一歩一歩、にちょっと共鳴。その点から言えば、中原昌也なども随分「トレンド」コンシャスに見えてくる。
北田暁大『嗤う日本の「ナショナリズム」』NHKブックス
いま超話題の一冊(宮沢章夫さんのブログで言及されていたあたりで、気になり始めていた)。遅ればせながら斜め読み。何よりもナンシー関が理論的に文脈化されていることを評価したい。この人がいなくなったことで日本から失われたものは甚大だと思っていた(いる)から。いまでもよく、「ああ、いまナンシー関が生きてたらこのことなんて言うんだろう」って思ったりする。それにしても、「反時代的思想家としてのナンシー」なんていう小見出しには、ちょっと笑いが吹き出す。あと、ロマン主義論(あるいは反省の論理)から今の日本を読む視点は気になるところ、よくもわるくも。
でも、この人の最大の欠点は、事象・対象にのめり込んでいないところだ。いかにも、東大助教授な姿勢を崩さない。ぼくほぼ同い年なんですけど、同世代として、このひとが、一体あれやらこれやらをどう見ていたのか(体験していたのか)あまり判然としない。60年代を語るのと同じように80年代を語るその姿勢は、2004-5年のことでも、同様な対象への距離感を保ち続ける。社会学の研究者的な態度といえばいいのか。それにしても、「電車男」で泣いた、っていわれても(冒頭で筆者がそう告白するのだが)、リアルタイムでの経験でない(2ちゃんでの更新とともに読んだのでない)ならば、ちょっと、ね。その自分の振る舞いに対してこそ、自分で距離を感じてくれれば、いいのに。
西村賀子『ギリシア神話』中公新書
これは純粋に講義の準備のための読書。かなり平易。
村上隆(編)『リトルボーイ』イェール大学出版(アマゾン経由)
今後この本は日本・現代・美術を理解するためのひとつの準拠枠になっていくのだろう。面白いのだが、どうしてもキャッチフレーズが先行的になりがちで、その整理に言葉が終始している気がして、ちょっと残念だ。気負いの強さで読ませる(見せる、あっ基本はジャパン・ソサイエティでの展覧会のカタログなので)一冊。
昨日はカントの研究会のある日。10時過ぎまで本郷にいて、そこから帰るので、帰宅は12時近くになる。帰ってから、夜の散歩にAを連れだし。「散歩」といってビール買いに行くだけなんすけどね。