パソコンや携帯などのコンピュータが私たちの身近で使われるようになり便利になった半面、特定の部位を使い過ぎることによる身体の異常も起こるようになってきました。
そのひとつにVDT症候群と呼ばれるものがあります。
これはコンピュータのディスプレイ(Visual Display Terminal)を使用した作業を長時間続けたことにより、目や体、心に異常を起こすもので、テクノストレス症候群とも呼ばれています。
身体に現れる症状としては痛みやしびれが中心で、部位によって頚肩腕症候群・上腕骨(内側・外側)上顆炎・手根管症候群・腱鞘炎などと診断されます。
私の治療院のようなところにも、それらの症状で相談にみえる方は少なくありません。
長時間の過酷な勤務で、頸から手に痛みを起こすようになったとても気の毒な方。
友達と携帯メールをやり過ぎで、あるいは釣りゲーをやり過ぎて、さらには脳年齢を若くするためニンテンドーDSで、脳トレに熱中し過ぎて腱鞘炎になってしまったというあまり同情できない方などさまざまです。
最近は、タブレット端末が普及するようになってきました。
それを長時間、連続使用することにより症状を訴える方が、徐々にみられるようになってきたように思います。
タブレットは机や膝などの上に乗せるのでなければ、片手で支えたまま、もう一方の手でタッチペンや指を用いて操作します。
そのため、症状の出方も左右で異なります。
タブレットを支えている側の手は肘を曲げて、患者さん曰く「中途半端な重さ」のタブレットを持ち続けることになります。
そのため上腕二頭筋や上腕筋の短縮を起こし、肘が伸びにくくなる、筋の関連痛によって肩や肘、親指のつけ根付近に痛みを起こすことがあります。
プライベートで寝ころがって眺めている時も、肘を曲げた状態で固定するので同じようなのことが起こる場合があります。
ある患者さんは、肘を曲げた状態で親指に力を入れても痛くないけど、肘を伸ばした状態で同じことをすると痛むという方がいらっしゃいました。
上腕筋の関連痛にみられるパターンです。
反対に、タップする手は、上肢を空中に浮かしたまま操作することになります。
上肢を空中で支えたまま微妙な操作を行うので、肩甲骨をつり下げる筋に大きな負担をかけることになります。
患者さんのなかには、肩甲挙筋の停止部である肩甲骨上角付近に、なんともいえないジリジリとした痛みを訴える方もいらっしゃいました。
触診すると肩甲挙筋の筋腹は過剰に緊張していて、付着部の上角付近は軽く熱を持ち組織は虚脱した状態で、炎症のサインが認められました。
パソコンでこの部分に炎症が起きているのをみた記憶は、私の場合ありません。
パソコンなら前腕や手根部をボードの上などに乗せ、あるていど負担を分散させることができますが、タブレットならそれが難しいので余計に負担が大きいのでしょうね。
以上のような症状で私のところに相談にみえたのは、建築の現場や、小売業の在庫管理などでタブレットを操作する方にみられました。
倉庫でも最近は自動化され、じっと立ったままタブレットを操作し続けているらしいのですが、寒い時期には厚着をしているので、その重みでなお肩や腕がつらくなるそうです。
画板のように首からぶら下げるストラップも出ているので、それも使っていらっしゃるのですが、やはり操作する時には手でしっかり支えておかないとやりにくいので、結果的に筋肉を疲労させてしまいます。
ストラップを使ったとしても、もともと肩こりのある人は症状が悪化するかもしれませんし、モニターをタップする腕の負担は変わりません。
ある患者さんは「パソコンを使っているほうが、まだ楽だった」とこぼしていました。
便利とされる新しい機器が出るたびに、新たな問題も生まれてくるものですね。
このようなタブレット特有の症状を訴える人が増えてくれば、もしかしたらそのうち「タブレット症候群」などという病名がつくようになるのかもしれません。
ところで、今回のタイトルを「タブレット症候群」などとしたのは、ここのところ見かける新しいパターンとしてご紹介したかったからではありません。
むしろ新しい概念が出て来たときに、私たちが注意したいことです。
次回に続きます。
そのひとつにVDT症候群と呼ばれるものがあります。
これはコンピュータのディスプレイ(Visual Display Terminal)を使用した作業を長時間続けたことにより、目や体、心に異常を起こすもので、テクノストレス症候群とも呼ばれています。
身体に現れる症状としては痛みやしびれが中心で、部位によって頚肩腕症候群・上腕骨(内側・外側)上顆炎・手根管症候群・腱鞘炎などと診断されます。
私の治療院のようなところにも、それらの症状で相談にみえる方は少なくありません。
長時間の過酷な勤務で、頸から手に痛みを起こすようになったとても気の毒な方。
友達と携帯メールをやり過ぎで、あるいは釣りゲーをやり過ぎて、さらには脳年齢を若くするためニンテンドーDSで、脳トレに熱中し過ぎて腱鞘炎になってしまったというあまり同情できない方などさまざまです。
最近は、タブレット端末が普及するようになってきました。
それを長時間、連続使用することにより症状を訴える方が、徐々にみられるようになってきたように思います。
タブレットは机や膝などの上に乗せるのでなければ、片手で支えたまま、もう一方の手でタッチペンや指を用いて操作します。
そのため、症状の出方も左右で異なります。
タブレットを支えている側の手は肘を曲げて、患者さん曰く「中途半端な重さ」のタブレットを持ち続けることになります。
そのため上腕二頭筋や上腕筋の短縮を起こし、肘が伸びにくくなる、筋の関連痛によって肩や肘、親指のつけ根付近に痛みを起こすことがあります。
プライベートで寝ころがって眺めている時も、肘を曲げた状態で固定するので同じようなのことが起こる場合があります。
ある患者さんは、肘を曲げた状態で親指に力を入れても痛くないけど、肘を伸ばした状態で同じことをすると痛むという方がいらっしゃいました。
上腕筋の関連痛にみられるパターンです。
反対に、タップする手は、上肢を空中に浮かしたまま操作することになります。
上肢を空中で支えたまま微妙な操作を行うので、肩甲骨をつり下げる筋に大きな負担をかけることになります。
患者さんのなかには、肩甲挙筋の停止部である肩甲骨上角付近に、なんともいえないジリジリとした痛みを訴える方もいらっしゃいました。
触診すると肩甲挙筋の筋腹は過剰に緊張していて、付着部の上角付近は軽く熱を持ち組織は虚脱した状態で、炎症のサインが認められました。
パソコンでこの部分に炎症が起きているのをみた記憶は、私の場合ありません。
パソコンなら前腕や手根部をボードの上などに乗せ、あるていど負担を分散させることができますが、タブレットならそれが難しいので余計に負担が大きいのでしょうね。
以上のような症状で私のところに相談にみえたのは、建築の現場や、小売業の在庫管理などでタブレットを操作する方にみられました。
倉庫でも最近は自動化され、じっと立ったままタブレットを操作し続けているらしいのですが、寒い時期には厚着をしているので、その重みでなお肩や腕がつらくなるそうです。
画板のように首からぶら下げるストラップも出ているので、それも使っていらっしゃるのですが、やはり操作する時には手でしっかり支えておかないとやりにくいので、結果的に筋肉を疲労させてしまいます。
ストラップを使ったとしても、もともと肩こりのある人は症状が悪化するかもしれませんし、モニターをタップする腕の負担は変わりません。
ある患者さんは「パソコンを使っているほうが、まだ楽だった」とこぼしていました。
便利とされる新しい機器が出るたびに、新たな問題も生まれてくるものですね。
このようなタブレット特有の症状を訴える人が増えてくれば、もしかしたらそのうち「タブレット症候群」などという病名がつくようになるのかもしれません。
ところで、今回のタイトルを「タブレット症候群」などとしたのは、ここのところ見かける新しいパターンとしてご紹介したかったからではありません。
むしろ新しい概念が出て来たときに、私たちが注意したいことです。
次回に続きます。
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