「テニスボールマッサージで、手術が必要なほどだった椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が劇的に改善
」
テニスボールに限らず他のツール、手技療法も含めて、劇的な効果をうたった表現はよく見かけるのではないでしょうか。
それには「医者が見放した」とか、「どこに行っても治らなかった」とか、読み手の感情を刺激するような言葉が用いられがち。
しかしこの場合、椎間板ヘルニアや狭窄症そのものが治っているわけではありません。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/sayonara.gif)
テニスボールでほぐせば、あるいは手技療法を用いれば、飛び出したヘルニアがあれよあれよと元に戻ったり、狭くなった脊柱管が広がるわけではないのですから。
では何をやっているのかというと、私たち日本人に馴染みのある言葉で表せば「コリをほぐしている」だけです。
トリガーポイントをリリース、あるいは筋膜をリリースしていると言ってもよいでしょう。
可動域を拡大して運動機能を改善したとか、アライメントを修正したでも構いません。
生理的なリズムを回復させるとか、循環を回復させるとか、自然治癒力を高めるとか、結果が強調された表現が使われることもあります。
それぞれの専門からすれば「まったく違う‼
」といえるような差はあるでしょう。
けれどもどのような理論的背景があるにせよ、手技療法なりテニスボールマッサージなどでやっていることは、程度の違いこそあれ、動きの悪くなった軟部組織を見つけ出して刺激を加え、より動くようにしているという点で共通しています。
この「共通する」という視点から眺めると、ある評価に基づいて名付けられた対象、この場合ならコリが適切にほぐされた。
はじめはそのような認識でよいのではないか、と私は思っています。
いろいろな考えがありすぎて混乱するという方は、まずはそのように整理されておくとよいのかもしれません。
まずは多少荒削りでも、大まかに全体像をイメージできるようにする。
その上で、いろいろ学んで自分に合ったコンセプトやメソッドを取り入れていけばよいのではないでしょうか。
話を戻して、テニスボールマッサージなどが効いたというのは、仮に椎間板ヘルニアと診断がついていたとしても、患者さんの症状は筋肉などの軟部組織の機能的な異常、一般的な表現ではコリによって起こっていたのだということ。
そのため、筋筋膜のコリをほぐしただけで劇的によくなるケースもあるわけです。
この場合、患者さん自身もヘルニアや狭窄症によって症状が出ていると思いこまれていることが多いので、改善したときのインパクトは強烈です。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyob_hat.gif)
セラピストが手技療法を用いて良くなったなら「ゴッドハンド
」と感謝されるかもしれません。
治った患者さんは大喜びされてよいのですが、セラピストが勘違いして舞い上がってはいけないでしょう。
患者さんにもよく説明しておかなければいけませんし、何より自分自身が冷静でならないといけません。
冒頭に挙げたようなオーバーな表現がまかり通るのは、裏を返せば体性機能障害によって引き起こされるさまざまな症状が、現代医療の中で未だに認識が不十分であるというのも理由のひとつでしょう。
筋肉や関節の不調があった時、画像や血液検査などでも異常がないなら、細かい運動機能の評価をする。
そんな流れが業界の常識となっているなら、このようなオーバーなことにはならないはず。
ですから筋骨格系の機能異常によって、痛みをはじめ不定愁訴とされているものなど様々な症状がもたらされることを、医療の世界に周知させていくことも私たちセラピストの役目になると思います。
コリをほぐしているだけとお話ししましたが、それだけのことが見落とされたことによって、長年つらい思いをしなければならかったとしたら悲劇でしょう![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyoko_thunder.gif)
また、適切にコリをほぐすというのは状態によって簡単ではないこともあります。
だからこそ専門職が必要となり、セラピストは確実にそれを行える知識と技術を身につけておく必要があるわけですね。
それから、機能的障害と器質的障害の間にはグレーゾーンが大きく、どれほど評価してもどちらのほうが影響が大きいか、はじめの段階ではっきり見当がつけられずに悩まされることもあります。
下肢のしびれがひどくて手術適応かと思われたケースが、手技療法とテニスボールマッサージで回復したケースもある。
反対に、手技療法でいけるかと思われたもののなかなか改善せず、最終的に手術で回復したケースも経験しています。
慢性化すればするほど難しい。
ですからそのような場合、緊急性がないことだけ確認すれば、手技療法やセルフケアとしてのテニスボールマッサージを用いながら3回程度様子を見た上で、もう一度検討するように私はしています。
≪「適応と禁忌の鑑別について その9」もご参照ください≫
例によって、とりとめのない話しになってしまいました。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
さて、今回のシリーズはテニスボールマッサージを主に取り上げながら、極端な表現やはっきりしない情報に対してどのように考えるのか、ひとつの例として私の意見をお話させていただきました。
たまたまテニスボールでしたが、これを何に置き換えても同じでしょう。
どのようなセルフケアであれ、最終的にはやってみないとわかりません。
みんな個人差があり、その人にとってどうであるかが大切なのですから。
ですから、まずは私たちが自分で試して確認してみましょう。
結果がどうであれ、自分の体験を通して得た知識というは貴重です。
ここで注意したいのは、自分あるいは身近な人々から得られた結果がすべてだとは思わないこと。
それから自分がプラスの結果を経験しているのに、マイナスの声が大きくなると自分の経験を封印してしまうこと。
反対に、自分や周囲にとってマイナスであったのに、プラスの勢いに飲まれてしまうことです。
ひとつひとつの経験が価値あるはず。
それぞれの経験をシェアして意見を交換することで、状況によって使い分けのできる、より多くの方に役立つものが生まれるはずです。
何が本当かはっきりしないこともありますが、少なくとも互いの考えを尊重しながら自由に発言できる雰囲気を、この業界の中で保っておけるようにしたいですね。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_fine.gif)
《不定期更新のおしらせ》
いつも手技療法の寺子屋ブログをご覧いただきありがとうございます。
ブログを始めて以来これまで定期的な更新を続けて来ましたが、今後は不定期更新とさせていただきます。
私事ですが、この春から大学院に入り新たに勉強をし直すことになりました。
専攻は教育学、研究テーマは「手技療法の基本技術の習得について」です。
このブログでテーマにしてきたことを、学問的な形でまとめたいと思っています。
その前にまずはしっかり教育学を仕込むつもりです。
これまでブログの記事は時間をかけて作り込んできましたが、これからはFacebookにアップしているような、その場で思い立った手技療法の記事を、ブログに掲載していきます。
気軽な形で続けていこうと思っているので、かえって更新の回数が増えるかもしれません。
手技療法の寺子屋セミナーなどのセミナー情報は、その時の最新の記事に紹介するように致しますのでご確認ください。
手技療法の寺子屋は私にとってのライフワークです。
今後ともよろしくお願い致します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/ee_2.gif)
テニスボールに限らず他のツール、手技療法も含めて、劇的な効果をうたった表現はよく見かけるのではないでしょうか。
それには「医者が見放した」とか、「どこに行っても治らなかった」とか、読み手の感情を刺激するような言葉が用いられがち。
しかしこの場合、椎間板ヘルニアや狭窄症そのものが治っているわけではありません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/sayonara.gif)
テニスボールでほぐせば、あるいは手技療法を用いれば、飛び出したヘルニアがあれよあれよと元に戻ったり、狭くなった脊柱管が広がるわけではないのですから。
では何をやっているのかというと、私たち日本人に馴染みのある言葉で表せば「コリをほぐしている」だけです。
トリガーポイントをリリース、あるいは筋膜をリリースしていると言ってもよいでしょう。
可動域を拡大して運動機能を改善したとか、アライメントを修正したでも構いません。
生理的なリズムを回復させるとか、循環を回復させるとか、自然治癒力を高めるとか、結果が強調された表現が使われることもあります。
それぞれの専門からすれば「まったく違う‼
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_shock_m.gif)
けれどもどのような理論的背景があるにせよ、手技療法なりテニスボールマッサージなどでやっていることは、程度の違いこそあれ、動きの悪くなった軟部組織を見つけ出して刺激を加え、より動くようにしているという点で共通しています。
この「共通する」という視点から眺めると、ある評価に基づいて名付けられた対象、この場合ならコリが適切にほぐされた。
はじめはそのような認識でよいのではないか、と私は思っています。
いろいろな考えがありすぎて混乱するという方は、まずはそのように整理されておくとよいのかもしれません。
まずは多少荒削りでも、大まかに全体像をイメージできるようにする。
その上で、いろいろ学んで自分に合ったコンセプトやメソッドを取り入れていけばよいのではないでしょうか。
話を戻して、テニスボールマッサージなどが効いたというのは、仮に椎間板ヘルニアと診断がついていたとしても、患者さんの症状は筋肉などの軟部組織の機能的な異常、一般的な表現ではコリによって起こっていたのだということ。
そのため、筋筋膜のコリをほぐしただけで劇的によくなるケースもあるわけです。
この場合、患者さん自身もヘルニアや狭窄症によって症状が出ていると思いこまれていることが多いので、改善したときのインパクトは強烈です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyob_hat.gif)
セラピストが手技療法を用いて良くなったなら「ゴッドハンド
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_warai.gif)
治った患者さんは大喜びされてよいのですが、セラピストが勘違いして舞い上がってはいけないでしょう。
患者さんにもよく説明しておかなければいけませんし、何より自分自身が冷静でならないといけません。
冒頭に挙げたようなオーバーな表現がまかり通るのは、裏を返せば体性機能障害によって引き起こされるさまざまな症状が、現代医療の中で未だに認識が不十分であるというのも理由のひとつでしょう。
筋肉や関節の不調があった時、画像や血液検査などでも異常がないなら、細かい運動機能の評価をする。
そんな流れが業界の常識となっているなら、このようなオーバーなことにはならないはず。
ですから筋骨格系の機能異常によって、痛みをはじめ不定愁訴とされているものなど様々な症状がもたらされることを、医療の世界に周知させていくことも私たちセラピストの役目になると思います。
コリをほぐしているだけとお話ししましたが、それだけのことが見落とされたことによって、長年つらい思いをしなければならかったとしたら悲劇でしょう
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyoko_thunder.gif)
また、適切にコリをほぐすというのは状態によって簡単ではないこともあります。
だからこそ専門職が必要となり、セラピストは確実にそれを行える知識と技術を身につけておく必要があるわけですね。
それから、機能的障害と器質的障害の間にはグレーゾーンが大きく、どれほど評価してもどちらのほうが影響が大きいか、はじめの段階ではっきり見当がつけられずに悩まされることもあります。
下肢のしびれがひどくて手術適応かと思われたケースが、手技療法とテニスボールマッサージで回復したケースもある。
反対に、手技療法でいけるかと思われたもののなかなか改善せず、最終的に手術で回復したケースも経験しています。
慢性化すればするほど難しい。
ですからそのような場合、緊急性がないことだけ確認すれば、手技療法やセルフケアとしてのテニスボールマッサージを用いながら3回程度様子を見た上で、もう一度検討するように私はしています。
≪「適応と禁忌の鑑別について その9」もご参照ください≫
例によって、とりとめのない話しになってしまいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
さて、今回のシリーズはテニスボールマッサージを主に取り上げながら、極端な表現やはっきりしない情報に対してどのように考えるのか、ひとつの例として私の意見をお話させていただきました。
たまたまテニスボールでしたが、これを何に置き換えても同じでしょう。
どのようなセルフケアであれ、最終的にはやってみないとわかりません。
みんな個人差があり、その人にとってどうであるかが大切なのですから。
ですから、まずは私たちが自分で試して確認してみましょう。
結果がどうであれ、自分の体験を通して得た知識というは貴重です。
ここで注意したいのは、自分あるいは身近な人々から得られた結果がすべてだとは思わないこと。
それから自分がプラスの結果を経験しているのに、マイナスの声が大きくなると自分の経験を封印してしまうこと。
反対に、自分や周囲にとってマイナスであったのに、プラスの勢いに飲まれてしまうことです。
ひとつひとつの経験が価値あるはず。
それぞれの経験をシェアして意見を交換することで、状況によって使い分けのできる、より多くの方に役立つものが生まれるはずです。
何が本当かはっきりしないこともありますが、少なくとも互いの考えを尊重しながら自由に発言できる雰囲気を、この業界の中で保っておけるようにしたいですね。
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《不定期更新のおしらせ》
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ブログを始めて以来これまで定期的な更新を続けて来ましたが、今後は不定期更新とさせていただきます。
私事ですが、この春から大学院に入り新たに勉強をし直すことになりました。
専攻は教育学、研究テーマは「手技療法の基本技術の習得について」です。
このブログでテーマにしてきたことを、学問的な形でまとめたいと思っています。
その前にまずはしっかり教育学を仕込むつもりです。
これまでブログの記事は時間をかけて作り込んできましたが、これからはFacebookにアップしているような、その場で思い立った手技療法の記事を、ブログに掲載していきます。
気軽な形で続けていこうと思っているので、かえって更新の回数が増えるかもしれません。
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手技療法の寺子屋は私にとってのライフワークです。
今後ともよろしくお願い致します。
マイペースで続けていきますね。