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手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

支えを作って負担を分散させる その2

2015-02-07 18:54:26 | 学生さん・研修中の方のために
支えを作って負担を分散させる方法のヒント、前回のつづきです。



マッサージ用のベッドで治療する時、そのまま立ち続けると、下肢にかかる負担が大きくなって疲労しやすくなります。



そのような時は、膝を少し曲げて大腿部をベッドに預けるようにしてみてください。


すると、セラピストの体重が床方向とベッド方向に分散するので、下肢にかかる負担が和らぎます。



膝蓋骨がベッドに当たるのが不快だったら、膝を深めに曲げて大腿の下部に当てたり、下肢を回旋させて膝蓋骨の内側や外側に当てるようにするとよいでしょう。

膝をベッドに預けた状態と、伸ばした状態を適度に使い分けることで負担が分散できれば、より楽に長時間の作業に耐えられるようになります。



たったこれだけのことなのですがまったく違いますよ!!

それが身体の使い方というものなのですね。



また、身長の高いセラピストが低いベッドで治療する時、体幹の前傾が強くなって腰への負担が大きくなることがあります。

そのような時は片脚をベッドの上に乗せ、反対の膝をやや深めに曲げて腰を落とし、大腿部をベッドへ寄りかかるようにしてみてください。


こうすることで身体の位置が低くなるので、体幹を前傾させる度合いが少なくなり、より楽に操作できるようになります。



必要なら前回ほどお話したように、立てた膝に肘を乗せる、あるいは胸をつけるようにすると、さらに腰への負担を減らすことができます。


こちらは身長の高いセラピスト以外の方にも役立てる方法です。



前回今回と、身体の支えについてその一例をご紹介しました。

はじめのうちは「このような方法があるのかぁ」と、知識として覚えてから練習してよいでしょう。

けれども慣れてきたら、その場その場で自分の感覚を頼りに工夫していけるようになるのが理想です。

前回と今回の方法いずれも状況は多少違っていても、似たような発想で支えを作っていたのではないでしょうか。



基本は楽に操作するという「楽操」です。

≪『楽操』のすすめシリーズ≫をご参照ください。



自分の身体の声を聞いて、身体が「しんど操」「つら操」「くるし操」にしていると感じるなら、すぐに修正しなければいけません。

患者さんの身体やテクニックを使うことに気を奪われて、自分の身体をないがしろにしていたら遅かれ早かれ悲鳴を上げるようになります。



とくに教わった方法にハマり込み、考えが固定化されてしまうと、工夫することを忘れて「痛くても仕方がない」で済ましてしまっている方も少なくありません。

そうならないためにも、日ごろから自分の身体の状態をよく観察するようにしてください。



まずはご紹介した方法によって比較の対象ができるので、これまで自分が同じ状況で用いていた方法と比べてみましょう。

どちらがより楽かということを実感することによって、少しずつ感覚が養われていきます。

自分にとってより楽な方法を取り入れるようにしてい下さいね。

くれぐれも私の話を鵜呑みにはせず、必ず自分で確認して納得してから取り入れるようにしましょう。



自分にとって何が楽なのか?ということを知るためのヒントとして、今回のお話しが役立てばと思います。




次回は2月14日(土)に更新です。





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私が大切にしていることを、出来る限りお伝えさせていただきました。
どうぞよろしくお願い致します。
医療情報研究所





☆ブログの目次(PDF)を作りました 2014.01.03☆)
手技療法の寺子屋ブログを始めてから今月でまる6年になり、おかげさまで記事も300を越えました。
これだけの量になると、全体をみたり記事を探すのも手間がかかるかもしれません。
そこで、少しでもタイトルを調べやすくできるように、このお休みを使って目次を作ってみました。
手技療法を学ばれている方、興味を持たれている方にご活用いただき、お役に立てれば幸いです。

手技療法の寺子屋ブログ「目次」



今のところまじめに更新中!
手技療法の寺子屋ブログ読者の方の友達リクエスト、歓迎します!!

(どなたかよくわからないときがありますので、メッセージを添えてください)

支えを作って負担を分散させる その1

2015-01-24 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
治療しているときの体勢というのは、とても大切なもの。

不安定な体勢をとると、セラピストの身体が不必要に緊張して負荷がかかり、傷めてしまいやすくなります。

ただ状況によっては、決して悪い体勢をとっているつもりはなくても、負担のかかりやすい状態になっていることもありますよね。

そのような時は、支える場所を増やして負担を分散させるようにしましょう。

今回はその工夫の一例をご紹介します。



例えば、肘を深く曲げたまま手で刺激を加えるとき(写真は角度が浅いです。これくらいならそのままでも大丈夫)、胸郭から肩にかけての力が少ないと上肢の支えがツラくなる時があります。


上肢の支えが安定していないと、テクニックを用いる際に力が逃げてしまい、目標としたところへ効率よく刺激することが難しくなります。



そのようなときは、肘を体幹(わき腹)につけましょう。


こうすると、上肢にかかる負担が減って楽に支えられるようになります。

もしくは片足を立てたりベッドの上に乗せ、膝に肘をつけて安定させてもよいでしょう。




このような話は一見地味ですし、聞いただけだと当たり前のことのように思われて、「ふ~ん」とスルーされることもあります。

ところが実際やってみると出来ておらず、手にムリをかけてしまっている方はけっこういらっしゃいます。

今読んでいて「ギクッ」としませんでしたか? 

技術として身につけるためには、身体がわかるまで練習しなければなりません。



非力な人は、ムリをすると身体をすぐに傷めるので身をもって理解しやすいのですが、マッチョで丈夫な人は力も出せて傷めにくいぶん、なかなかピンと来ない場合があります。

そのような方は気がついたら大きな問題となって現れ、かえって回復までに時間がかかることもあるので、ぜひ注意していただきたいところです。



支えを作るなどして身体を安定させるというのは、仕事として長期間、繰り返し作業するにはとても大切な操作です。

もし手に変な力みやしんどさ、やりにくさを感じたなら、腕の支えをつくる工夫を考えてみるのもひとつです。



次にいきましょう。

訪問マッサージなどでは、介護ベッドに横になっている患者さんを治療する機会が多くあります。

その際、ベッド脇から立って治療をしては、身体が伸びてしまい腰に負担がかかるので、ベッドの上に乗って片膝立ちになることもあるでしょう。

けれどもマットが柔らかく、さらに毛布まで敷いてあれば、足元が不安定になって膝を立てているとブルブル震え、とくに殿部の筋に無理がかかりやすくなります。




そのような時は、立てた膝を胸につけてしまうのもひとつの方法です。


こうすると下肢の負担が減ると同時に、体幹の支えもできて楽に治療することができます。

また反対の膝をついている脚も、まっすぐついたままではバランスを取りにくいなら、両脚を外に広げて支える幅を広げるようにし安定させると上手くいくこともあります。


ベッドの上で正座をするというのもひとつの方法ですが、私の経験では正座をすることで大腿部が前に出るぶん前傾姿勢を取らねばならず、腰背部に負担がかかる印象があります。



次回もこのテーマのつづき、2月7日(土)に更新します。

触診の感触について:「軽度の炎症」「癒着を剥離させたとき」

2014-12-27 16:56:28 | 学生さん・研修中の方のために
触診したときの感触というのは、実際に体験してみないとなかなかわからないものです。

それは料理の味を知るというのと同じこと。

でも言葉でその雰囲気を知っておくことも、何かの参考になるかもしれません。

そのような思いで、ひとつのエピソードをご紹介したいと思います。



先日、PTそしてトレーナーとして活躍されている方が来院されました。

「追い込んでトレーニングをした直後の身体を、どのようにケアするのか体験したいです」というめずらしいご要望でした。



激しいトレーニングをした後は、筋肉も炎症を起こして熱を持っていることがよくあります。

そのためマッサージを行うときもさするように、ゆさぶるようにして、軽く刺激を加えることによって「流れをよくする」ようなイメージで行うのがふつうです。

もちろん筋肉そのものに対して、強い刺激を加えるなど持ってのほか、とされています。



でも、それくらいしかできないというわけではありません。

皮下組織などの浅筋膜を滑らせたり、筋間中隔などの深筋膜の間を分け入っていくような感じで手を進め、その隙間を広げるようなイメージで刺激を加えることもあります。



例えば今回のケースで行ったことなら、大胸筋表面の皮下組織を滑走させ、大胸筋と小胸筋との間に奥まで指を進めて組織を離開させる。

大腿直筋と内側広筋、外側広筋の両サイドの筋間部分から手を進めていく、などです。



浅筋膜や深筋膜にはリンパなどの脈管系も発達していることから、それによってその還流が促されるためなのか、より速やかに回復していくような印象を持っています。

ですから「流れをよくする」というよりも「流れがよくなる」状況を作っておくようなイメージでしょうか。

もともと筋膜に制限があった方ほど、変化を自覚しやすいようです。



この方法は、それなりに刺激を加えます。

そのため、筋肉そのものにはできるだけ負担をかけないよう、癒着を起こした結合組織に刺激を集める、あるいは炎症部分を避ける触診の技術、とくに深部の筋間部分を狙うなら解剖学の知識は必要です。



では、炎症を起こした筋の感触とはどのようなものでしょうか?

高い熱を持って明らかに腫れているならわかりやすいでしょう。

でもそこまでいっていない、軽度の炎症であるケースもよくあります。



その場合は、軽く触れると表面がふわっとして妙にやわらかく、軽く圧迫を加えると虚脱した感じで、正常な組織にみられる適度な弾力性がありません。

そして、はじめはわかりにくいかもしれませんが、じっとそのまま待っていると奥のほうからジンジンとした軽い熱感が伝わってくる、このような感覚があります。

これに対して癒着を起こした筋膜は、筋間部分から触れていくとビーンと糸が張っているようなツッパリ感があり、押さえると明らかに正常よりも強い弾力性があります。



このように炎症を起こした組織と、癒着のある組織はコントラストが比較的ハッキリしています。

その違いを感じ分けながら、筋間部分に刺激を集めるようにコントロールしていきます。



言葉で書くと簡単ですが、もちろん経験を重ねることは必要です。

私の場合は、自分がケガをしたときに練習していました。

「転んでもタダでは起きず」をご参照ください。≫



話を戻し、続いて脛骨内側と筋肉の境目に、シンスプリント後のような瘢痕部分を認めました。

触診で、ここには追い込んでトレーニングをした痕跡がないことが確認できたので、ASTRを使って癒着をはがしていきました。

ここは受けていても泣きがけっこう入るところです。



この部分の癒着をはがしたときは、「ビリッ」とか「バシッ」とか「メリメリ」などと音を立てて外れることがあるので、最初はビビります。

でも音が出たときに痛みが走るということは経験上ありません。



このときの感触は、ちょうど机につけたセロテープを両端から引っぱって外れたときのような感じです。



決して、糸が切れたような、ちぎれる感覚ではありません。



音も軽い感じです。

これに対して、肉離れなど組織が断裂したときは、「ブツッ」とか「グズッ」というように重く鈍い音です。

だから慣れてくると、バチッと音がしても平然として続けることができます。



今回は「軽度の炎症」や「癒着を剥離」した時の感触について、私なりの表現を用いてご紹介したのですが、このような言葉は実際にやってみたときにヒントになるというだけのものです。

言葉をいくら覚えたところで、触れて経験しなければ役に立ちません。

知識が増えても実践が伴わなければ、不安だけが増えていきます。



だから「百聞は一見にしかず」そして「百見は一触にしかず(byとっすぃー)」

まずは仲間同士で、徹底的に身体に触れて感じて体験してください。

一度でも体験すれば自分のものにできます。



ご注意)仲間同士とはいえ、断裂を経験する必要はありませんのであしからず!!



次回は、1月10日(土)更新です。
今年もありがとうございました。
みなさん、どうぞよいお年を。

身体をみるときの「目」の使い方 その3

2014-12-13 17:01:50 | 学生さん・研修中の方のために
異常な姿勢や動きをみる時の目の使い方として、視界に入る両サイドを見ながらまん中に視点を落とすようにするというのが、このシリーズでご紹介している方法です。

今回はその目の使い方を、私が臨床でどのように用いているのか、ご参考までに紹介します。



はじめは全体を見ながら、まん中に視点を落とした状態で、患者さんの自由な動きや、自動運動による可動域検査を観察します。

実際に、姿勢や動きで違和感を持つところがあったら、次にその部分に視点を落として動きや姿勢をみるようにします。

違和感を持つ場所がいくつかあったら、視点を落とす場所を順に変えていけばよいでしょう。



姿勢に違和感があるというのは左右差がある、あるいは中心からの偏りが大きいということです。

これは勉強が必要とはいえ、基準がはっきりしているし、動かないぶんまだわかりやすいですね。



これに対して、動きに違和感があるというのは、協調性がおかしいということです。

動かし方の順序、動きのリズムといった感じでしょうか。

こちらは静的な姿勢より、変化があるため難しく感じる方が多いでしょう。

前々回にお話したような、知識や経験がより求めらます。



動きをみるときに持つ違和感というのは、どのような感じなのでしょうか?

あくまでイメージですが、たとえば規則正しく行進している集団を見ているとします。

その中で、ひとりだけ手足を左右反対に動かしている人がいたら、みなさんはまず全体の動きが「何だか変だ?」と漠然と感じるはずです。

これが、身体の動きを見た時に持つ違和感です。



そして次に視点を移して、おかしな動きの人を見つけ、「あの人の手足の動きが反対だ」と具体的な理由を特定するわけです。

同じように、違和感を持ったらおかしな部位を見つけて「肩甲骨が動いていない」とか、「股関節が伸びていない」という感じで理由を特定していきます。

スポーツトレーナーやコーチをされている方は、きっとこのように見ているのではないかと思うのですがいかがでしょう?

手技療法を使うなら、ここから特定した部位への触診に入っていきます。



触診をする時も、手で触れたところに視点を落としながら上下左右の端をみるようにします。

例えば肘を触診するときは、手と肩を見ながら肘に視点を落とす。


骨盤のPSIS(上後腸骨棘)を触診するときも、PSISだけを見るのではありません。


触れた左右の骨盤を見ながら、上方へは胸郭さらに可能なら頭へ、下方へは大腿さらにポジション的に可能なら足部まで視界に入れるようにします。



このような目の使い方が慣れて来て、これまで学んできた解剖学と連動するようになれば、触れている部位を中心にして、その周辺の骨や筋肉の解剖が頭の中で立体的に浮き上がりイメージできるようになっていきます。

ちょうどソロバンの得意な人が暗算をする時、頭の中でイメージされたソロバンが勝手に動いているという感覚、それに近いのかもしれません。

もちろんこのようなイメージが浮かび上がるようになるには、ソロバンと同じようにかなり練習しなければいけません。



評価が決定して治療に入り、刺激を加え始めたら、視点を他に移すようにするとよいでしょう。

例えば骨盤に刺激を加えたとき、視点を胸郭あたりに落として骨盤から頭までを見ておくようにする。


そうすると、骨盤に刺激を加えたことによって起こる、上半身の変化を観察しやすくなります。

あるいは反対に、膝あたり視点を落として大腿から足部まで見ておくようにすると、下半身の変化を観察しやすくなります。




同じように、手首に刺激を加えたなら肘あたりに視点を落として、肩のあたりまで見ておくようにする。


足首に刺激を加えた時は、骨盤あたりに視点を落として、頭部まで見ておくようにする。


練習を重ねると、加えた刺激がどのように広がって伝わっていくのかということが、何となく見えるにようになっていきます。



このようなことができるようになると、身体を診る精度は格段に向上します。

そして、何がどのように変化したのか、あれこれ考えるわけです。

こうなると臨床がますます面白くなっていきますよ。



今回のシリーズは「目」の使い方がテーマでしたが、実は私は見ることについて「触れる」ことよりも得意ではありませんでした。

とくに動きを見るのは苦手で、今でも早い動きになるとさっぱりです。



はじめは目の付け所がどこかわからず、学んだ動作分析やパターンやポイントを押さえて見ようとしても、なかなかしっくり来ませんでした。

やがて、ぼんやりと全体をみるようになり、ご紹介した見方の練習をするようになりました。



日常生活の中でも、意識してトレーニングを続けました。

その成果なのか、ようやくふつうよりもややゆっくりのスピードなら、何とか目が追いつくようになっていきました。



身につけるまでがたいへんなのは、他の技術と同じですが、努力する価値は十分にあると思います。

ぜひチャレンジしてみてください。



次回は12月27日(土)更新です。


身体をみるときの「目」の使い方 その2

2014-11-29 17:57:42 | 学生さん・研修中の方のために
前回ご紹介したような、上下左右の両端を見ながら視点を真ん中に落としておくというのが、しっくり来ないという方もいらっしゃると思います。

私も意識できる範囲を少しでも広げようと、自分なりに工夫しました。



目の使い方を含め、技術はセンスにゆだねられているケースも少なくありません。

個人のセンスに差があるのはどうしようもないことですが、努力して練習すれば磨かれて上達していきます。



それなら努力しがいのある方法を作っていくことができれば、よりスムーズに上達できるはず。

それが役に立つ人たちも、なかにはいるのではないか。

このように考えて、あれこれ工夫してきたことをこのブログでお伝えしています。



今回ご紹介する方法は、今でも自分の目の状態を確認するために時々やっています。

これはあくまで導入篇で、雰囲気さえつかめば日常生活の中で練習するのがよいと思います。



みなさんの周囲にも、視界に入っているはずなのに手を振っても気づかないという方、いらっしゃると思います。

それを気づきやすくするための練習と言ってもよいかもしれません。



まずはじめに、目の前に両手の人差し指を出して並べます。


どちらかの人差し指のツメに視点を落としながら、反対側の手をゆっくり外に広げていきます。


その時、視点は正面のツメに残したまま、外に移動しているツメを意識して見るようにします。



どんどんボヤケてくるはずですが気にせず、外のツメに意識を持っていくようにしてください。

ある程度、手を広げたところで止め、その状態でみるようにします。



ここで試しに、いったん目をしばらく閉じてみてください。

目を開けたら、まん中のツメを「凝視」しながら外のツメを見てください。

ツメの線までハッキリ見るくらいのつもりで見ます。



視点を落としただけのときと比べて、どちらの見方のほうが外のツメを見やすいでしょうか。

どちらがハッキリ見やすいかというよりも、より楽に見やすいか、そこにあるのが意識しやすいかということです。

わかりにくければ、外の指を軽く振って動かしてみてください。

よりわかりやすいはずです。



おそらく、視点を落としただけのほうが楽に見えると思うのですがいかがでしょう?

そちらのほうが目元の力が抜けるために、全体が楽に見やすくなるのかもしれませんね。



なぜ視点を落とすような感覚でみるのか、感覚的に理解していただけたでしょうか。

それとも難しいと感じたかな?



では、ゆっくり元に戻していきましょう。

戻している途中も、外のツメを見続けてください。

だんだんハッキリ見えてきて、最後に元の位置に戻ります。

今度は反対側を外に広げ、まん中のツメに視点を落としながら外のツメをみるように意識してみてください。




同様の方法で上下・前後も練習してみましょう。


慣れてきたら円や八の字など、適当に動かしてみてもよいでしょう。

先ほどお話ししましたように、はっきり見るのが目的ではなく、さほど努力しなくても楽に見られる、そこにあるのが意識できるようになるというのがねらいです。

気軽に練習してみてください。



慣れないうちは、白など単一色の壁を背景にするなど、あまりゴチャゴチャしていないほうがわかりやすいでしょう。

人によって苦手な方向があるかもしれません。

私の場合は比較すると右より左、下より上が苦手です。

自分の見やすい方向、苦手な方向を理解しておくことも大切です。



慣れてきたら日常生活のなかでも、上下左右を意識してまん中に視点を落とすという目の使い方を練習してみてください。

歩いているときや、電車に乗っているとき、歯を磨いているときなど、できるときにできるところで練習しましょう。



視点を落とすといっても、決してボーッとするわけではありませんよ。

視野を広げて見るようにします。

東洋医学の漢方四診では、視診のことを「望診」と呼びます。

まさに、景色を望むような目の使い方で見るわけですね。



日常生活のなかで使えるようになってくれば、臨床でもふつうに使えるようになりますよ。


次回は12月13日(土)更新、臨床での活用イメージをご紹介します。

身体をみるときの「目」の使い方 その1

2014-11-15 16:44:45 | 学生さん・研修中の方のために
臨床は視診からはじまります。

場合によって、カーテンやドアの向こうから聞こえてくる足音を聞くことからということもありますが、ふつうは見ることからでしょう。

患者さんが入って来て、歩き方、立ち方、あいさつの仕方、座り方、問診中にお話しされるときの姿勢、身振り手振りなどの動きからそれとなく観察し、おおよその見当をつけて可動域検査などに入っていきます。

そのときみなさんは、どのようにして目を使っていますか?



どのような動きが理想なのか?観察する上での具体的なポイントなどは学校やセミナーで教わったり、テキストにも紹介されていたりします。

けれども、自分自身の目の使い方を学ぶ機会は、あまりないのではないでしょうか。

今回のテーマは、身体をみるときの「目」の使い方です。

異常な緊張や動きを見つけるための目の使い方、と言ってもよいでしょう。



とはいっても、これが正しいということではなく方法のひとつです。

ですからはじめは参考程度に試みて、しっくり来るようなら取り入れるようにしてみて下さい。



まず、身体をみるときは一点を見つめないようにします。

肩を診るときは肩だけ、腰を診るときに腰だけを見るのではないということです。

そのような見方をすると、その部分しか見えず、他の部位とのつながりを視覚的に捉えにくくなります。



野球でバッターボックスに入ったとき、ピッチャーの持つボールをジーッと見るでしょうか。

格闘技の試合のとき、相手の拳を凝視するでしょうか。

相手の目を見るという方法も教わることがありますが、これもにらむようにみるのではないはずです。



相手の全体をぼんやりと見ながら、相手の目など身体の一部に視点を落としておくように見る。

このような使い方をするのではないかと思います。

球技や格闘技をされる方、いかがでしょうか?



身体を診るときも同じようにします。

基本は、上下や左右の端を同時に見ながら、そのまん中に視点を落とすような感じです。

左右の肩を見ながら、のど元あたりに視点を落とす。


頭頂部と骨盤を同時に見ながら、胸椎あたりに視点を落とす、そのような感じです。




視点を「落とす」と書きましたが、あくまでイメージです。

「ただそこにある」という感じ。

「添える」「置く」そんなイメージでも構いません。

視線で「押す」のではなく、そっと「触れる」感じです。



難しく感じるなら「にらむ」の反対の見方と言ってもよいでしょう。

刺すように見るのではないのですね。



あるいは相手を通り越して、その後ろ側を見ているという感じでもよいかもしれません。

自分にとって馴染みやすいイメージを使うようにしてください。



このような目の使い方をすると、全体がより見やすく、また異常な部位や動きを見つけやすいように感じます。

見つけやすいというより、違和感を持ちやすくなるという感じでしょうか?

だからといって、目の使い方を変えただけで急に異常な部位がわかるようになる、というわけではありません。



もともと感覚が鋭ければ、さほど身体のことを勉強しなくても、ピンと来る方もいらっしゃるかもしれません。

でもそうでない場合は、理想的な動きを学んでおく必要があるでしょう。

その動きが頭の中でイメージできているから、それから大きく外れた動きを見たとき違和感を持てるのだろうと思います。



もしくはとにかく場数を踏むことで、何となく平均的な動かし方を感覚的に覚えていく場合もあるでしょう。

スポーツや武道などは、感覚的に覚え込むまで練習し、場数を重ねて身につけるということが多いかもしれません。



ただ、まったく経験のないうちから、このような見方をする必要はありません。

触診でも慣れないうちは、目標をしっかり見ながら練習するようにしましょう。

ある程度、臨床に慣れて余裕が出てきた方で、これまで目の使い方を意識などしたことがなかったという方、ものは試しと思って練習してみてはいかがでしょう。



はじめのうちは、ピンと来にくいかもしれません。

でも根気よく続けていれば、ある日これまで解けなかった問題が突然わかるような感じで、「何だかこのへんが気になるなぁ」という感じでみえるようになっていきます。

もしも、なかなかこの目の使い方が上手くいかないようなら、次回ご紹介する方法で練習してみてください。



次回は11月29日(土)更新です。


母指圧迫での手による力の加え方 その3

2014-11-01 08:08:00 | 学生さん・研修中の方のために
これまでコンタクトの方法や手首を用いた力の加え方、そして組織固定の大切さを復習してきました。

今回は母指の力を用いて刺激すると、どうなるのかを体験していただきたいと思います。



これまでと同じように母指の指紋部を肘の方に向けて、外転位をとった状態で前腕の屈筋に当て、四指は伸筋側に当てます。

ティッシュプルをして組織を固定することも、忘れずに行いましょう。




この状態で母指を屈曲させる力を使い、シッカリと圧迫してみてください。






母指を屈曲させる力を使ったときには、母指丘がより硬くなります。

力を加えたまま、しばらくキープしましょう。

どれくらい我慢できますか?



それほど時間が経たないうちに、母指が疲れてくるはずです。

そのとき、母指で圧迫している前腕の組織の状態を、きちんと感じ取ることができているでしょうか?

おそらく疲労の感覚に邪魔をされて、わかりにくくなっているはずです。



手首を尺屈させて力を出したときと比べるといかがでしょう?

きっと手首を用いたときのほうが、より大きな力を持続して出すことができたはずです。



それに手首のほうが圧力も、より深部に伝わっていることが感じられたでしょう。

母指に強い力が入っている場合は、刺激が表面に散っている感じがするのではないかと思います。



簡単に力を加えることができるものの、その力も小さく、表面的で持続しない。

力みが入り、疲労もたまりやすいために、触診の感度も低くなる。

そのまま長期間用い続けると、指を傷めやすい。

これが母指の力で圧迫するということです。

このようにデメリットが多いので、母指の力は指の形を保つためだけに用いるようにするわけです。

実感できましたか?



そして手首も、肘や肩を使った力には及びません。
「母指圧迫における「肘」の活用」シリーズ

「圧迫法では肘は少し曲げて使う」シリーズ



私の場合、手首の力は皮膚のあそびをとり、組織を固定するために用いています。

ですから、今回は尺屈や背屈で力を加えましたが、実際には最低でも前腕を動かす、すなわち肩を動かして刺激を加えるようにします。



前腕が動くということは胸郭が動くということなので、手首の力よりも格段に大きな力を生み出すことができます。



さらには体幹を動かす、下半身を動かすことで力を加えるようにしていきます。
「体重を乗せるということ」

こうして、より遠くから力を加えるほど、安定した大きな力を生み出すことができます。

できるだけ遠くから、力を伝えられるようにするのが理想です。



余談ですが、母指圧迫には指節関節を曲げた状態をつくり、指先で圧迫するという方法もあります。

このかたちは、指紋部での圧迫よりも指を曲げる力を使いがちなのですが、そうではなく前腕を動かすようにします。






慣れないうちは意識して押さえようとすると、ついつい母指に力を入れがちです。

けれども今回のお話から、母指の力を使って圧迫しても、コントロールされた大きな力を出しにくい。

労多くして得るものが少ないということがわかれば、余計な力を入れることも少なくなるのではないでしょうか。

このことをよく理解して、くれぐれも指を傷めないように練習してくださいね。

母指圧迫での手による力の加え方(組織固定の大切さ) その2

2014-10-18 16:47:23 | 学生さん・研修中の方のために
ティッシュプル(=皮膚のあそびを除いておくこと)など組織固定の大切さは、手技療法を用いる上でいくら強調してもしすぎるということはありません。



いくら見た目はテクニックの形がきちんとできていても、組織固定が上手くいっていないと十分な効果を挙げることはむずかしいでしょう。

なぜなら、角度の微調整をして必要な方向に刺激を入れることが難しくなるためです。

また、コンタクトしているポイントがグラグラして安定しないため、セラピストの手や腕に不必要な力みができてしまいます。

その結果、組織の状態をモニターしておく触診の精度が著しく低下したり、セラピストの身体にムリをかけてしまうことになります。



とにかく重要なことなので、まずは過去の記事で復習なさってくださいね。

「ひとりでできる!!肋骨の可動性検査練習法 その9≪大事な大事なティッシュプル1≫」

「ひとりでできる!!肋骨の可動性検査練習法 その10≪大事な大事なティッシュプル2≫」



あそびをとる方向はどれでもかまわないのですが、力が加わる方向の手前からとったほうがよいでしょう。

今回は、母指を肘に向けてにコンタクトしていますので、手首側に触れてから肘側に皮膚をひっぱりましょう。


練習ですので、しっかり引っ張ってかまいません。



ティッシュプルできたら、手首を尺屈させながら母指圧迫してみてください。


このときの感触を覚えておきましょう。



こんどは、ティッシュプルができていない状態で圧迫してみてください。

押さえる角度を微妙に変えて、微調整してみてください。

両者を比べて、どちらのほうがより安定感があって、しっかりと力を伝えることができるでしょうか?



ティッシュプルできている場合のほうが、圧倒的に安定性や力強さがあるのではないでしょうか。

手にも余計な力が入らず、角度の微調整も行いやすいはずです。

これが組織固定することの大切さです。



ところで、コンタクトする側のティッシュプルをしても、手の安定感がまだ良くない感覚を持つ時があります。

そのようなときは、支え手側のティッシュプルも行いましょう。

今回の場合なら、四指を伸筋側に当てるとき、より肘側に触れて、そのまま手首側に皮膚を引っぱっります。



写真はわかりやすくするため大げさに動かしてますが、支え手側の場合はごく軽く、皮膚の表面が少し動く程度の感覚でかまいません。

それだけでも十分に安定してきます。

試してみていかがでしょうか?



支え手側のティッシュプルは、個人的には上肢や頸部など、把握するような手の形の時によくとりますが、腰背部を押さえる時も必要なら行います。


もっともこの場合は、圧迫を加えると同時に支え手側も押し広げられ、皮膚のあそびが除かれていることも多いので、あまり意識されることはないかもしれません。



しかし、無意識に行っていることを意識してコントロールできるようになるのが技術というもの。

コンタクトした時に違和感がないかどうか、感覚が教えてくれている情報をやり過ごすことがないように意識して練習するようにしましょう。



支え手側のティッシュプルは、コンタクト側に比べてあまり注意を払われにくいだけにぜひチェックしておいてください。

コンタクト側と支え手側、どちらのからティッシュプルするのかについては、どちらからやっても固定さえできればよいのですが、私は支え手側から行っていることが多いです。



以上のお話しは、母指を外転位でコンタクトした場合でしたが、では対立位ならどうでしょうか?


そう!母指は橈側から尺側へ、四指は尺側から橈側へ、腕をくるむようにティッシュプルするわけですね。



皮膚のあそびをとる操作も、はじめは試行錯誤が必要ですが、慣れてくるとその場ですぐにとることができるようになります。

ちょうど、自転車に乗れるようになるのと同じ感覚です。



組織を固定させることの大切さ、改めて感じていただけてでしょうか。

次回は母指の力を使うことについてのお話しです。



母指圧迫での手による力の加え方 その1

2014-10-04 17:20:57 | 学生さん・研修中の方のために
手技療法を学ぶとき、手には力を入れず、体重を使うなど身体を使って操作することの大切さが強調されます。

私もそうしています。

手の力は支えるため、圧迫している手の形を保つために使い、刺激を加えるため、動かすための力は最小限にとどめるべきだと考えています。



ただ、身体を強調するあまり手の力を使うということがよくわからず、かえって手に無理な力が入ってしまっているという方もいます。

そのため最近では、手に力が入るとはどういうことなのか?まずはそれを身体で理解しておくことで、手元がおかしいときにより早く気づき、修正しやすくなるのではないかと考えるようになりました。



過去にも母指圧迫についてのポイントをお伝えしてきましたが、今回のシリーズは母指と手首を使ったときに違いについて、追加のお話しも交えながら復習したいと思います。

細かい話も入りますよ!

刺激する部位は前腕の屈筋を対象に、まずは手首を用いて力を伝えることから。



前腕の屈筋を、反対側の母指で圧迫するようにします。

写真のように、母指の指先を肘の方に向け外に開いた(外転位をとった)状態で前腕の屈筋に当て、四指は伸筋側に当てます。




はじめに母指の指紋部が接触する部位、母指丘に力みが入らない角度を確認しておきましょう。
「母指圧迫:指紋部で押す工夫シリーズ」
「セラピストの母指を守る工夫シリーズ」



その状態で、手首を小指側に倒してみてください(尺屈)。
「母指圧迫における手首の活用」






そのとき四指の支え手、この場合なら特に小指と薬指がゆるまないように注意しましょう。

これがゆるむと母指圧迫の力が逃げてしまいます。

支え手が大切なのですね。
「ひとりでできる!!間接法の練習2」その5≪支え手の大切さ:ポジショナルリリース≫

ゆるまないといっても固定しているだけです、曲げるように力を入れる必要はありません。



いかがでしょうか?

手首の力だけでも、しっかり力が生み出せることを、感じていただけましたか?



今度は、母指を尺骨側の方に向けて(対立位をとって)前腕を圧迫してみてください。


この場合は、手首を反らせる(背屈)させるようにすると、力が伝わるはずです。


このように、母指が外転位でコンタクトしたら手首は尺屈、対立位なら手首は背屈させるようにすると、スムーズに力が加わります。

この感覚を覚えておいて下さい。



では試みとして反対に、母指が外転位のとき手首は背屈、対立位なら尺屈させてみてください。

先ほどと比べて、何だか力がすっぽ抜ける感じがするのではないでしょうか?

手首の力が上手く伝わっていないのですね。

ムリに力を加えようとしたら、母指に力が入ってしまうと思います。



コンタクトした部位に対して、もっとも効果的な方向から力を加えることは、とても大切なポイントです。

手首くらいならわかりやすいのですが、体幹や下肢などコンタクトする部位から離れれば離れるほど、スムーズに力を使えるのが難しくなります。

なかには力が伝わってなくても、その感覚がわからないために気づけず、そのまま続けている方もいます。

そうならないためには、まず手首の動きで、力が伝わっている、いないという感覚を養うのがわかりやすいでしょう。



現場では部位によって、さまざまな角度でコンタクトするはずです。

この手首を用いた練習でも、さまざまな角度でコンタクトして、もっとも力が伝わる角度に手首を動かせるように、いろいろ試してみて下さい。



もしここで、いくら試してもしっかり圧迫できている感触が得られていないなら、それは組織が固定できていない、いわゆる皮膚のあそびが除かれていないためです。

次回はそのお話しをしましょう。



セミナーを活かすということ

2014-09-20 19:31:17 | 学生さん・研修中の方のために
セミナー講師をしていると、その後のことが気になります。

だから受講された方にお会いすると「セミナーの内容を現場で使えていますか?」と折に触れてたずねます。



「めっちゃ使っています

「ところどころ使っています

「まだあまり使えていません

など、いろいろな返事をいただきます。



現場で使えるものを提供するのが講師の務め、そう思っているので情報収集をしているのですが、お伝えしたことを使うかどうかはご本人の自由です。

でもその中で、気になる返事をされる方がいます。

「今の職場はやり方が決まっていて、なかなか使えないんです



職場によって、部位や回数などの手順が決められていることがあります。

これもサービスのあり方のひとつですから、良いとか悪いとかではありません。



この方法の長所は、経験が浅くても最低限のラインを早く身につけやすいということ。

そして、手順を決めることにより、そのグループで統一されたサービスを提供できるということでしょう。

ある程度は手順を決めておかないと、新人は右往左往するし、みんなバラバラになっては収拾がつかなくなりますからね。



反対に短所は、決められた手順が患者さんひとりひとりの状態に合うとは限らないということ。

手順を覚えてある程度できるようになると、パターンにハマってしまい、流れ作業的になってダレやすくなること。

私もかけ出しの時に、施術の途中で居眠りをしてしまい、起こされて叱られた経験があります。



そして、職場の雰囲気や方針によっては、他の方法を勝手に行うのは難しいということ。

だから、先のセリフにあったように、セミナーで学んだことがなかなか現場で使えないというわけですね。

でもこれは、とてももったいない考え方だと思います。



セミナーで繰り返し繰り返し力を入れてお伝えしているのは、とてもシンプルなこと。

「触診は、触れてから離すまでのすべてのプロセスを味わうようにする」

「触診で緊張の分布をみて、範囲・深さ・方向を特定する」

「おじぎをしたら刺激が加わるポジションをとる」

「小さな操作は大きな動作で」

「腰が動いて手がついていく」

「皮膚のあそびをとって組織を固定する」etc

表現の違いはあったとしても、これらはあらゆる手技療法を用いる上で共通する基本だと思います。

セミナーでテーマとしている部位やテクニックは、これらの基本を体得するための手段として取り上げているにすぎない、そう言ってよいかもしれません。



どのようなセミナーを受けても、学んだ方法をそのまま使えるなら、それに越したことはないでしょう。

でもより大切なのは様々な状況下で、基本に則った操作ができるようになることだと思います。

そのために、ぜひやっていただきたいのは、日頃用いている方法が基本に沿って行えているかどうか、振り返ってチェックすることです。



意外と惰性に流されて、おろそかになっていることがあるかもしれませんよ。

そのようなところをひとつひとつ洗い出して、自動的に基本に則った操作が出来るようになるまで、丁寧に練習してみてください。

これができれば、同じことをしていても質はかなり上がりますし、新たな技術の習得も容易になります。



このようなことも、セミナーを活かす方法のひとつだと思います。



どこかに所属している以上、何らかの制約があるのは当然のこと。

その中でクサらずに、できることをコツコツとやっていく。

自分の力が60%しか出せない現場で、65%さらには70%の力を出すにはどうすればよいのか工夫するのがプロというもの。

それでも内側から突き上げてくる何かがあるのであれば、思い切って職場を変えてみるというのもひとつかもしれません。