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対局日誌

ネット囲碁対局サイトでの、私の棋譜を記録していきます。
全くの初級者がどう成長していくか、見守ってください。

新刊棋書情報「淡路流 戦いを極める3つの秘法」

2012-05-30 23:15:55 | 棋書
紹介が後回しになったMYCOMのもう一冊の新刊、
淡路流 戦いを極める3つの秘法」。

「3つの秘法」なんていうと、物凄いテクニックに聞こえるが、
その内容はというと「攻めるか守るか」「根拠を奪うか、封鎖するか」
そして「戦いの一段落」を正しく判断して打ちましょうというもの。

普通じゃん!
構成は朴道純。

内容はそれぞれのテーマに沿っての次の一手(選択肢つき)形式。

特に目新しいところはないが、
いざ解いてみると結構間違うことがあり、
自分の攻めの感度が相当落ちているのを実感した。
…実戦不足だしねぇ。

問題図までの手順が掲載されている点や、
わかりやすい解説はこれまでの淡路プロ(朴さん)の本と同様。

尚、根拠を奪うか、封鎖するか」というテーマは、
同時発売された「三村流 布石の虎の巻」とも共通するテーマになっており、
多少の相互補完性があり、併せて読むといいかも…。
尤もそれを狙って同時発売されたわけでもないと思うが…。

新刊棋書情報「三村流 布石の虎の巻」

2012-05-28 22:15:55 | 棋書
名峰と名水の里北杜囲碁まつり」の報告は後回しにして、
今月の新刊棋書、MYCOMから発売された
我らが三村先生の「三村流 布石の虎の巻」を紹介。

「我々」…って、馴れ馴れしいな、うん。
構成は伊瀬英介。

取り上げられている布石はドンドン大場に選考して模様を張り、
その模様に入ってきた相手を攻め立てて主導権を握るというもの。

序章・第1章でその布石の基本や、
本書でとりあげる「攻める布石」基本概念を説明し、
第2章以降で布石を運用するに当たっての要点を
さまざまなテーマ図を提示して解説している。

IGOJIN」によると級位者を対象にして書かれたということで、
定石といった細かい定型についてはサラッと触れる程度に留め、
構想や模様を張るポイントと攻めのテクニックに
フォーカスを当てているのが特色。
いわゆる細かい手よりも、布石の「思想」を大事にした本。

個人的には説明されている布石には共感したし、
級位者が最初にマスターする布石としてオススメ出来ると思った。

しかし級位者向けに内容を「やさしくしきれなかった」ところが、
散見されるのが少々残念。



例えば文中に上のような局面を提示(Aに黒石があったかどうかはうろ覚え)して、
「このような形ではBからの動き出しが残る~」
というような解説があったけれど、
Bから上手く石を担ぎ出せた級位者はおろか、
低段者もあまりお目にかかったことはない。

他にも両ガカリや一間バサミからの定石も、
基本ながらほとんど解説なしに文中に登場していて、
「妙に難しいことをサラッと書いているなぁ」
と感じるところがところどころあった。

恐らく三村先生や伊瀬さんが級位者向けといっても、
「置碁定石」「俗筋」的なものを取り上げることをよしとしなかったからだと思うが、
「B級定石」や「悪形」まではいかないにしても、もう少し平易な(?)、
例えば一間トビの連続みたいな形などを多用した方が良かった気がする。

新刊棋書情報「直観力」

2012-05-11 22:15:15 | 棋書
海竜社という出版社からマイケル・レドモンドプロのエッセイ集、
「直観力」という本が出ているのを見つけた。

出版社の名前は聞いたことがないので自費出版かと思ったが、
巻末の他の出版本をみると野村克也やら池田大作やらモゴモゴ。

ただ内容そのものは悪くはなく、
自叙伝や囲碁(人生)観など。
文章が硬い感じもするが川端康成の「名人」から引用していたり、
マイケル・レドモンドプロの真面目さがよく伺える。
囲碁観などはちょっと読んだだけでも「ほっほぉ」と思える箇所があった。

時間があれば明日の宝酒造杯の前に読んでおいた方が良かったかもしれないけれど…、
何にもしてないよぉ。

ハードカバーだけれどそんなに高くもないし、無駄に活字が大きいということもなし。
九段とはいえタイトル経験のないプロの自叙伝というのは他にあまり聞いたことがないが、
アメリカ出身の棋士という、その特異性ゆえか。
ただタイトルだけは羽生プロの「決断力」、谷川プロの「集中力」と同じ系列で、あまりいただけない。
「直感」ではなく「直観」なのがミソだとは思うけれど。
あるいはライターが同じなのかも?

この「~力」は昔、囲碁ボケのお題にもなったねぇ。

新刊棋書情報「清成流 戦い法則」

2012-05-10 22:31:16 | 棋書
棋苑図書の「棋苑囲碁基本双書」のシリーズに
清成流 攻めの法則」という本が加わっている。

雑誌「囲碁関西」に連載されていた
「上達への魔法の法則」という講座をまとめ、
加筆修正したものらしい。
そういえばそういう講座をみた気も…。

といっても全体的にはありふれた
「次の一手」形式問題集にすぎないのだが、
第1章で解説されている本書のキモである
「戦いを仕掛ける時の法則」は、
石を切り違える(戦いを仕掛ける)べきか否かという局面で、
ひとつの指針として有効な気がした。

ただ第2章以降の問題を解くと、
イレギュラーな場面も多そうで、
「結局はケースバイだよね」という印象も…。

とりあえずは第1章の考え方だけでも、
ちょっとのぞいてみてはどうだろうか?

新刊棋書情報「山下流 戦いの感覚」

2012-05-08 22:55:15 | 棋書
山下流 戦いの感覚」という本が棋苑図書から出ている。

昨年の第66期本因坊戦と第36期名人戦、全13局を題材に、
「アマチュアの参考になりそうな局面」を次の一手形式で出題。
問題を通して「戦いの感覚」に触れるという内容。
テーマ図に取り上げられた局面については、
中には10図近く盤面図を掲載するなど、詳細に解説している。

また収録されている13局は終局までの手順も全て掲載されており、
ちょっとした打碁集的な使い方も出来る。
1200円+税で、13局も収録されていれば十分。
しかも解説も詳しいとなれば、かなりお買い得…。

…と言いたいところだが、先に述べた
「アマチュアの参考になりそうな局面」というのがクセモノ。
テーマ図が序盤方向に偏っているため、
実際の勝敗の分かれ目となった局面からはズレており、
「対局を鑑賞する」という目的には不十分だ。
「難しい手どころはいいから、対局の骨格の作り方を」という人向け。

山下ファンにとっては面白いかも知れないし、
「石の方向感覚を磨く」という点で、それなりに使い道はありそうだが、
dasさんの「どうせならちゃんとした打碁集を」という意見に全面賛成。

ただこういう本しか出されないのは、
きちっと良い本を評価し、それを身につけない、
我々アマチュアにも責任があると感じる。

尚、「日韓精鋭棋士囲碁双書 1」と銘打っているので、
今後もシリーズとして続くと思われる。
どこか「李セドル名局選集」と似たレイアウトやフォントなので、
あるいはその好評を受けての新企画という側面があるのかも?

新刊棋書情報「バランス感覚で碁は勝てる」

2012-05-07 23:55:15 | 棋書
MYCOMから関西棋院の瀬戸大樹プロの処女作
バランス感覚で碁は勝てる」という本が出版された。
構成は内藤由紀子。

タイトルもそうだが、どういう内容でどういう人向け作られた本なのかが、
実際に手にとってもイメージしづらい。
IGOJIN」のインタビューによると、
瀬戸プロは上級者から高段までと幅広く対象をイメージしているようだが、
そういう曖昧な対象の本はどうしても中途半端になりがち。

「石の方向」「攻め」「モタレ」「模様」「ヒラキ」といったテーマに対して、
2、3の考え方のポイントを序章でまず取り上げ、
そのポイントを元にテーマ図を解いていくという形式だが、
ポイントの解説が非常に簡素な上に、常識的な内容。

勿論、その常識を実戦で実践していないアマ棋客が多いため、
こういう本が出版されるのだろうが、
といって本書でなければ学べないという考え方はなく、
また個々のテーマの関連性も薄いため内容が散漫に映る。

「模様」の項で、数値化された形勢判断(目算)を加味することで、
「模様は地にしようしない」という考え方を
より捕らえやすくする工夫もあったりはするが…。

強いて言えばテーマ図が瀬戸プロの院生時代の棋譜から取材している点が特徴。
テーマ図までの手順も併記。
アマチュアにとって考え方が高度すぎず、
かといってアマチュアの碁のような見るに耐えない内容でもない題材なのが、
長所といえば長所だろうが、やはりもうちょっと伝えたい内容を絞り込んだ上で、
解説に厚みを持たせたほうが良かったと思う。

月刊「囲碁」休刊

2012-04-13 22:55:55 | 棋書
そういえば月刊「囲碁」が今月休刊になって、
その様子がどんなだったか取り上げていなかった。
先日書店で休刊前最終刊2012年5月号を閲覧。

「また会う日まで!」
みたいな形で大々的に休刊を宣言するのかと思いきや、
パッと見、休刊するのがわからない、
いつも通りの表紙にまず驚いた。
特に特別な付録もなし。

付録といえば名局細解も本因坊戦リーグ河野臨vs結城聡戦で、
こういってはお二人には申し訳ないけれど、
こちらも掉尾を飾るという雰囲気はなし。

雑誌の中身にいってもその傾向は変わらず、
小林覚プロの「ザ・手筋」、石田芳夫プロの「勝敗はヨセで決まる」では、
いつも通りに淡々、淡々と解説され、いつも通りに幕。
辛うじて休刊を感じさせるのは呉清源先生の講座、大矢プロの講座の最初と、
坂井秀至プロの講座の最後で休刊を惜しむ声が載せられていることぐらい。

極めつけはどう締めくくるのかと注目された巻頭特集、
「ワールドKENカップ」のアマプロトーナメントだが、
何と2回戦第1局というこの上なく中途半端なところで打ち切り!

一応、観戦記の最後には「KENワールドカップ」は「つづく」とはあるのだけれど、
それって、日の目はみないということ!?
読者としてはせめて誠文堂のHPで続きが観戦できれば嬉しいだろうが、
あのHPのレベルを考えると期待が薄そう。

まぁ、休刊というのは喜ばしいことではないし、
大々的にやるようなものでもないだろうが、
50年続いた雑誌がホントに静かに、かつ唐突に一度幕を降ろすことに、
休刊に至る事情の裏側の、闇(?!)の深さを感じた。
休刊の記事をネットで読まなかったら気づかなかったかもしれない。

あと気になっているのは1~5月号の名局細解が、
あとでまとまった形で出されるのかだけれど、分量的に難しいか?!

新刊棋書情報「桂馬の両アタリ」

2012-04-12 20:15:55 | 棋書
書店に寄ったら将棋書籍のコーナーに
桂馬の両アタリ」という本が並んでいた。

将棋コーナーに並んでいる上に、著者の先崎プロは将棋棋士だけれど、
これは歴とした囲碁の本
NHK囲碁講座で連載されているいた同名のエッセイをまとめたものだ。
【追記】連載は2012年3月号までで終わっていました
今回の単行本も出版元はNHK出版。

将棋棋士とはいえ先崎プロは「週刊文春」で連載をもっており、
単行本も6、7冊出している棋界屈指の文筆家。
ネット碁の悪質マナーに遭遇した話から、
囲碁棋士に指導碁を受けた話や棋界のちょっとした裏事情まで
囲碁将棋好きならニヤニヤしてしまうのような話題が
小気味良く書かれていて連載段階から評判が高かった。
恐らく今回の単行本化もその評判を受けてのこと思われる。

勿論、コラムなので技術的上達にはあまり繋がらないけれど、
囲碁ライフをより充実させるフレーバーとして、
このブログの読者なら楽しんで貰えることと思う。

新刊棋書情報「李セドル名局撰集(中)」

2012-04-06 23:15:55 | 棋書
李セドル(イ・セドル)名局撰集」の中巻が刊行された。

今回収録されているのは上巻と同じく3局。

第1章 第7回LG杯決勝5番勝負第3局(vs李昌鎬)
第2章 第2回トヨタ・デンソー杯決勝5番勝負第3局(vs常昊)
第3章 第3回トヨタ・デンソー杯準決勝(vs李昌鎬)

棋譜割は第1章が36譜、第2章が33譜、第3章が…後で確認します。
【追記】28譜でした。
まぁ、とにかく上巻と同じく名局細解方式。

李昌鎬との対局が2局あることからもわかるように
上巻のテーマを「李セドル世界に羽ばたく」とすれば、
本書は「李昌鎬越え=世界第一人者へ」が主要テーマといえる。

時折、挿入されているコラムも小伝から詩(!)まであって多彩。
【追記】セドルプロのおだてられ易い性格や、お父さんの話は少しグッときました。
碁盤に並べながらじっくり味わいたい本だ。

棋書評「わが天才棋士 井山裕太」

2012-04-03 20:55:55 | 棋書


わが天才棋士 井山裕太
(集英社:石井邦生著)

現在、十段戦防衛真っ只中の井山プロの小伝。

井山プロが囲碁を覚えたキッカケから始まり
師匠との出会いや小学生名人戦優勝、
史上最年少タイトル獲得、
そして名人挑戦までの道のりを、
師匠の石井プロの視点から書いている。

巻末には「ヒカルの碁」の作者、
ほったゆみさんとの対談も収録。

編集協力は秋山賢司だが、
対談以外はほとんどは石井プロ自身が書いたのか、
年配の方らしく同じ話が繰り返し出てきたり、
ややくどい文章や構成はあまり上手くない。

ただその分というか師匠の弟子に対する溢れ出る愛情が
率直に書かれていて微笑ましく感じた。

また小学生名人戦決勝の対戦相手はあの万波奈穂プロで、
眼鏡少女時代の奈穂ちゃんの棋譜と、
対局写真が載っているというのも貴重…って、私だけ!?
(内容そのものは奈穂ちゃんの「一手バッタリ」。
 拙局なんだけれどね)

△小学生名人戦の棋譜以外にも、

△院生対局(vs種村小百合)
△新初段シリーズ(vs山田規三生プロ)
※△阿含桐山杯決勝(vs小林覚プロ)
△師匠との公式戦
※第33期名人戦第1局(vs張栩プロ)
第33期名人戦第2局
※第33期名人戦第5局
※第34期名人戦リーグ(vs坂井秀至プロ)
第34期名人戦リーグ(vs小林覚プロ)


などの棋譜も収録。

ただし△の棋譜は1譜のみで途中まで。

また△以外の棋譜は6譜程度で参考図もついているが、
※のついている棋譜は刊行の数ヵ月後、
名人獲得に合わせて刊行された
井山裕太20歳の自戦記」にも収録されており、
そちらで井山プロ自身の言葉で詳解されているのが残念なところ。

解説のポイントの違いを楽しむという手はあるが、
本書収録の価値が落ちるのは否めない。
さらに棋譜もフォントに難があり、やや見づらい。

加えて巻末のほったさんとの対談からも分かるように、
想定対象者は「ヒカルの碁」の読者である
比較的ライトな囲碁ファンと思われるが、
棋譜解説はあまり必要がないと思う。

以上のような欠点からか、よくブックオフで見かけるが、
井山裕太20歳の自戦記」の存在を気にしなければ、
割とよくまとまった内容で、そんなに悪い本ではない。

企画に泣かされた本だと思う。

【参考】新刊棋書情報「わが天才棋士 井山裕太」