
フライングタイガー(飛虎飛行隊)は表向きアメリカの「志願兵」が国民党の劣勢をカバーするために、日米開戦前から中国に派遣されていた。したがって真珠湾がだまし討ちではないのである。改選前からすでに米軍は「志願」とカムフラージュして対日参戦していたのだ。
その基地は湖南省の渋江に置かれた。急遽、地元の百姓を動員して造成された飛行場には、アメリカの新鋭機が揃い、戦線のさきざき、とりわけビルマ戦線で、日本兵に爆撃を加え、我が軍に夥しい犠牲がでた。
現在、この渋江には「フライングタイガー記念館」という立派な施設が建っている。米国の目的は蒋介石軍の支援だったが、中国共産党としても、英雄扱いをしている。後節でのべる陳香梅の大きな写真もパネルで展示されている。
かつてはブッシュ(父)大統領も、この記念館を訪問している。筆者も8年ほど前だっただろうか、高山正之氏、樋泉克夫氏らとともに、ツアーを組んで、湖南省の山奥へでむき、この記念館を取材したことがある。
現代中国のマタハリの先駆者は、このフライングタイガーを率いたシェンノート中将の後妻にするりと収まった陳香梅だろう。陳香梅は国民党の宣伝機関だった「中央通信社」の記者として戦線を取材し、1947年、シェンノートと結婚した。シェンノートは再婚だった。当時、シェンノートは54歳、陳香梅は22歳。その年齢差は32もある。どうみても、純粋な恋愛結婚とは言えないだろう。結婚後、ふたりの娘に恵まれた。
戦後、アメリカに移り住んで市民権を得た陳は、政治に深く食い込む。いってみれば、中国、台湾が獲得した在米ロビィストでもある。広くアメリカの政界に名前を売って、ケネディ政権のときに中国人として初めてホワイトハウスに招かれたほど。1981年にはレーガン大統領の特使として北京を訪問している。共和党へも、それほど深く人脈を形成していたのだ。
2015年の抗日記念式典には、北京に招待され、習近平から招かれて握手している。彼女は3月30日、ワシントンで冥界へ旅立った。
▲それならば、現代中国のマタハリとは誰だろう。
小誌の平成30年(2018)1月17日号で紹介した下記の記事を再録する。
(引用開始)「『現代中国のマタハリ、米国の首都でまたも暗躍——米国の有力筋ウェンディ・デン(マードックの前妻)は中国のスパイだ』
ウェンディ・デンは、現代中国の「マタハリ」である。希な成功を収めた女スパイだ。彼女は山東省済南の貧困家庭に生まれ、苦学して江蘇省に移住した。努力が認められ、保証人となる外国人老人が現れ、海外留学が適った。
凄まじいほどの野心家である。その保護者の老人とできて、夫人を押し出して正妻に収まるや、すぐさま当該国籍を取得した。そのための打算的な結婚だったのであり、国籍を取得するや、さっさと夫を捨て、香港にでた。香港のスター・テレビでインターだった彼女は、当時の社長ルパート・マードックに近付いて、夫人の座を射止めた。まずしき中国人女性が世界のマスコミ王の夫人として、セレブ人生。
1999年から2013年まで世界を歩いた。マードックは途中でデンの不誠実さに気がついた。離婚を思い立ったのは、彼女の浮気癖というより、ウェンディ・デンは紛れもなく中国のスパイだということだった。デンは英国のブレア首相と浮き名を流し(これは英紙テレグラフがすっぱ抜いた)、マードックと離婚後は、次にロシアのプーチン大統領に近付いて、意図的なゴシップ作りにも精を出した。しかしKGB出身のプーチンが女性に甘いとは考えられないが・・・
米国のメディアが一斉にウェンディ・デンなる女史のスパイ説を流し始める。ウォールストリートジャーナルなどの一流紙である。これらの情報を整理すると、ウェンディはトランプ大統領の女婿ジャレット・クシュナーに巧妙に近づき、ロビィ活動を展開。ワシントンの連邦議会のすぐ側に「「中国庭園」をつくるという未曾有のプロジェクトを推進した。
ところが同敷地内に総工費1億ドル、高さ21メートルのタワーを建設することが判明し、ウォールストリートジャーナルは「中国のスパイ基地だ」と疑念を呈した。この報道をうけて米国連邦議会は、「これは中国の偵察基地に転用される」と反対を唱える。中国は「トンデモナイ誤解だ。両国の友好のシンボルである」と強弁を繰り返す。 たった一人の中国人女性スパイが米国政治をがたがたに揺らしている」
その基地は湖南省の渋江に置かれた。急遽、地元の百姓を動員して造成された飛行場には、アメリカの新鋭機が揃い、戦線のさきざき、とりわけビルマ戦線で、日本兵に爆撃を加え、我が軍に夥しい犠牲がでた。
現在、この渋江には「フライングタイガー記念館」という立派な施設が建っている。米国の目的は蒋介石軍の支援だったが、中国共産党としても、英雄扱いをしている。後節でのべる陳香梅の大きな写真もパネルで展示されている。
かつてはブッシュ(父)大統領も、この記念館を訪問している。筆者も8年ほど前だっただろうか、高山正之氏、樋泉克夫氏らとともに、ツアーを組んで、湖南省の山奥へでむき、この記念館を取材したことがある。
現代中国のマタハリの先駆者は、このフライングタイガーを率いたシェンノート中将の後妻にするりと収まった陳香梅だろう。陳香梅は国民党の宣伝機関だった「中央通信社」の記者として戦線を取材し、1947年、シェンノートと結婚した。シェンノートは再婚だった。当時、シェンノートは54歳、陳香梅は22歳。その年齢差は32もある。どうみても、純粋な恋愛結婚とは言えないだろう。結婚後、ふたりの娘に恵まれた。
戦後、アメリカに移り住んで市民権を得た陳は、政治に深く食い込む。いってみれば、中国、台湾が獲得した在米ロビィストでもある。広くアメリカの政界に名前を売って、ケネディ政権のときに中国人として初めてホワイトハウスに招かれたほど。1981年にはレーガン大統領の特使として北京を訪問している。共和党へも、それほど深く人脈を形成していたのだ。
2015年の抗日記念式典には、北京に招待され、習近平から招かれて握手している。彼女は3月30日、ワシントンで冥界へ旅立った。
▲それならば、現代中国のマタハリとは誰だろう。
小誌の平成30年(2018)1月17日号で紹介した下記の記事を再録する。
(引用開始)「『現代中国のマタハリ、米国の首都でまたも暗躍——米国の有力筋ウェンディ・デン(マードックの前妻)は中国のスパイだ』
ウェンディ・デンは、現代中国の「マタハリ」である。希な成功を収めた女スパイだ。彼女は山東省済南の貧困家庭に生まれ、苦学して江蘇省に移住した。努力が認められ、保証人となる外国人老人が現れ、海外留学が適った。
凄まじいほどの野心家である。その保護者の老人とできて、夫人を押し出して正妻に収まるや、すぐさま当該国籍を取得した。そのための打算的な結婚だったのであり、国籍を取得するや、さっさと夫を捨て、香港にでた。香港のスター・テレビでインターだった彼女は、当時の社長ルパート・マードックに近付いて、夫人の座を射止めた。まずしき中国人女性が世界のマスコミ王の夫人として、セレブ人生。
1999年から2013年まで世界を歩いた。マードックは途中でデンの不誠実さに気がついた。離婚を思い立ったのは、彼女の浮気癖というより、ウェンディ・デンは紛れもなく中国のスパイだということだった。デンは英国のブレア首相と浮き名を流し(これは英紙テレグラフがすっぱ抜いた)、マードックと離婚後は、次にロシアのプーチン大統領に近付いて、意図的なゴシップ作りにも精を出した。しかしKGB出身のプーチンが女性に甘いとは考えられないが・・・
米国のメディアが一斉にウェンディ・デンなる女史のスパイ説を流し始める。ウォールストリートジャーナルなどの一流紙である。これらの情報を整理すると、ウェンディはトランプ大統領の女婿ジャレット・クシュナーに巧妙に近づき、ロビィ活動を展開。ワシントンの連邦議会のすぐ側に「「中国庭園」をつくるという未曾有のプロジェクトを推進した。
ところが同敷地内に総工費1億ドル、高さ21メートルのタワーを建設することが判明し、ウォールストリートジャーナルは「中国のスパイ基地だ」と疑念を呈した。この報道をうけて米国連邦議会は、「これは中国の偵察基地に転用される」と反対を唱える。中国は「トンデモナイ誤解だ。両国の友好のシンボルである」と強弁を繰り返す。 たった一人の中国人女性スパイが米国政治をがたがたに揺らしている」
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