kintyre's Diary 新館

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映画『奇跡のリンゴ』を観て

2013-06-14 18:52:33 | 映画・邦画

13-49.奇跡のリンゴ
■配給:東宝
■製作年、国:2013年、日本
■上映時間:129分
■料金:1,000円
■観賞日:6月14日、TOHOシネマズ渋谷(渋谷)



□監督:中村義洋
◆阿部サダヲ
◆菅野美穂
◆山崎努
◆笹野高史
◆池内博之
◆本多博太郎
◆原田美枝子
◆伊武雅刀
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
岩木山が日本最大のリンゴ畑を見下ろす青森県中津軽郡。この地で生を受けた木村秋則は、幼い頃から学生時代にかけて、車やバイク、エレキギターなど機械いじりに夢中になって過ごしていた。
高度経済成長によって生み出されたモノの仕組みに対する興味は人一倍で、当然ながら一帯を覆うリンゴ畑や農業への関心はゼロだった。後に、この農業に人生を賭けることになろうとは、学生時代には全く想像できなかった。そんな彼に転機が訪れる。リンゴ農家の娘・木村美栄子とお見合い結婚して木村家に入ることになったのだ。

農業もリンゴも秋則にとっては初めての経験だったが、苦労しながらも何とか技術を身に付けてゆく。やがて、妻の身体に異変が起きる。リンゴは農薬なしでは生産不可能な果物だったが、その農薬が美栄子の身体を蝕んでいたのだ。繰り返し散布する農薬の影響で皮膚がかぶれ、数日間寝込むこともあった。これをきっかけに、絶対不可能と言われていた“リンゴの無農薬栽培”への挑戦を決意する秋則。美栄子の父・征冶の協力を得て、私財を投げ打って挑戦を続けるが、およそ10年の間、奇跡が起きることはなかった。
畑は痩せ、周囲の農家には“カマドケシ(破産者)”と疎まれ、家族は貧困にあえぐ。追い詰められ、自殺を決意した秋則は1人、岩木山を登る……。とその時、荒れ果てた山野に立つ1本の樹が目に止まった。その枝には、果実がぶら下がっていたのだ。“なぜ、こんなところに……?”疑問に思いながらその樹に近づいた秋則は、そこで奇跡の糸口を掴む……。

この作品、リンゴの無農薬栽培への挑戦が表向きのテーマだが、良く観ると、これは無農薬栽培を押し通そうとして孤立したリンゴ農家の婿とその娘で妻である美栄子の農薬アレルギーを治そうと努力した家族の物語でもある。
観ていて秋則が葉っぱにばかり拘って、何故、もっと土壌改良に乗り出さないのか?とか研究機関へ相談しないのか?とか疑問に感じた。ラストは傷心の秋則が岩木山に登り、そこでふと目にした野生のリンゴをみて始めて土壌に注目するのだが「遅すぎた」感じは否めない。
まあ、それでも婿として妻の実家が営むリンゴ農園を借金返済の為の資金繰りの為に次々と手放し、遂には秋則の義父は認知症にまでなってしまった。だが、最後まで妻の農薬アレルギーを何とかしてあげたい、との思いが遂に完遂したが、既に10年が経過していたのだった。
菅野美穂と阿部サダヲの夫婦と、口数少ない山崎努の家族でのシーン、山崎努が戦争時代の話を婿に聞かせたり、組合で周囲の拒否反応の中で毅然とした態度で持論を述べるシーンは家族愛を感じさせられましたね。組合の中でも孤立し、同年代の連中からも徐々に距離を置かれるなかで、秋則の実家の母だけはそっと食料を届けたりするなど、身内だけは最後まで諦めませんでした。
阿部サダヲと菅野美穂の夫婦は適役だったのと、津軽弁のセリフも違和感なかった。最後まで情熱を持ってリンゴ無農薬栽培に邁進した秋則は、その熱意が実り、今では全国から予約が殺到するようになったそうだ。



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