kintyre's Diary 新館

野球(西武ファン)や映画観賞記等を書き綴っています。野球のオフ期には関心の高いニュース等も取り上げています。

映画『それでも夜は明ける』を観て~アカデミー賞受賞作品

2014-03-15 23:10:43 | 映画・ドラマ、アクション

14-25.それでも夜は明ける
■原題:12 Years A Slave
■製作年、国:2013年、アメリカ・イギリス
■上映時間:134分
■料金:0円(ポイント利用)
■観賞日:3月15日、TOHOシネマズみゆき座(日比谷)



□監督:スティーヴ・マックイーン
□脚本:ジョン・リドリー
◆キウェテル・イジョフォー
◆ベネディクト・カンバーバッチ
◆マイケル・ファスベンダー
◆ポール・ダノ
◆ポール・ジアマッティ
◆ルピタ・ニョンゴ
◆ブラッド・ピット
◆サラ・ポールソン
【ストーリー&感想】
奴隷制度がはびこっていたアメリカを舞台に、自由の身でありながら拉致され、南部の綿花農園で12年間も奴隷生活を強いられた黒人男性の実話を映画化した伝記ドラマ。アカデミー賞では作品賞、助演女優賞(ルピタ・ニョンゴ)、脚色賞(ジョン・リドリー)の3部門で受賞した。

奴隷制度が広がっていた1841年、アメリカ。ニューヨーク州サラトガで家族とともに暮らす自由黒人で音楽家(ヴァイオリン奏者)のソロモン・ノーサップは妻と2人の子供に恵まれ何の不自由も無い生活を送っていた。
だが、ある日、二人の白人興行師からワシントンのサーカスで演奏して欲しいと高給で話を持ちかけられ2週間の約束で行くことに。
到着後、レストランで二人からワインを言われるがままに勧められ呑み過ぎて嘔吐していたソロモンだが、目が醒めると地下室で手足を鎖で縛られていた。彼は、訳も判らず突如誘拐され、船に乗せられ奴隷としてアメリカ南部のニューオーリンズへ売り飛ばされジョージア州から脱走した奴隷のプラットとして、牧師で大農園主のフォードに買われ農園内の製材所で他の奴隷たちと一緒に働くことに。
早くも有能さを発揮したソロモンだったが、白人の大工ティビッツからは黒人というだけで何かと因縁を付けられ遂には格闘になりねじ伏せるが、後に、復讐され木に吊るされる羽目に。

ソロモンはティビッツに命を狙われる前に彼を、狂信的な選民主義者エップスに売る。エップスはフォードとは違い、奴隷を所有物と言い放ち、毎日、綿花の収穫ノルマを厳しく化し平均以下の場合は鞭打ちが待っていた。
白人たちからはむごい差別と虐待を受けながらも、ソロモンは決して人としての尊厳を失うまいと心に決める。いつかまた家族と再会できる日が来ることを信じ続けて耐え忍ぶソロモン。そして12年もの歳月が流れたある日、奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人大工バスと出会い、これを機に彼の運命は大きく変わっていく……。

カナダ人大工バスの登場は突然だったが、彼の前にも白人の労働者に窮状を訴え手紙を投函するように依頼したものの裏切られ、今度こその思いを込めてバスに依頼し、彼は見事に応えてくれた。彼は奴隷解放主義者でもあったことから、彼の通報が元でサラトガの小売店主パーカーが保安官らと共に農場に現れ故郷へと帰ることが出来た。
そして遂に自宅に戻り妻、娘マーガレットには夫と子供(ソロモンの孫)らが待っていた。

奴隷や奴隷解放がテーマの作品は数多く制作され、最近ではリンカーン大統領関係の作品も当然ながら奴隷解放問題は避けて通れないテーマだった。今作はイギリス人監督スティーヴ・マックイーンによる製作で、ハリウッドでは当初からキャスティングやスポンサーで苦労したらしく、だが、ブラピがプロデューサーと出演に決まってから流れが少し変ったらしい。それでも主演のキウェテル・イジョフォー、ベネディクト・カンバーバッチはイギリス出身、マイケル・ファスベンダーはドイツ出身のアイルランド育ち、ルピタ・ニョンゴはケニア出身と主要キャストに米国人の俳優は無い。ブラピにしても登場シーンは後半の一部、その他はポール・ダノ、ポール・ジアマッティらでこちらは主役級俳優ではない。
自由人としてヴァイオリン奏者として何の不自由も無く白人並みの生活を送っていたソロモン、だが、彼のチョットした隙(白人に泥酔させられる)に人身売買の手に渡って12年も奴隷としての生活を余儀なくされながらも、家族の元へ帰ると言う気持ちだけは切れることなく持ち続けたことが、感動的なラストシーンへと繋がって行く。

アメリカの歴史でも暗部である奴隷問題、日本人の私はこうした映画を通して学ぶことしか出来ないが、未だに一部では白人優先主義を唱える白人がいるときく。バラク・オバマ氏が大統領に当選したときも、快く思わない白人が多くいて暗殺の可能性まで指摘されていたが、再選され2期を全うすることで初の黒人大統領として歴史に名を残すだろう(実績は別として)。
そのオバマ氏もこうした黒人の苦難の歴史を経て念願の米国大統領の座を掴んだ。ソロモンの12年間は地獄の様な期間だったろうが、彼の諦めなかった気持ち、これこそが帰還を果たせた最大の理由だった。だが、後日談として、誘拐に関わった白人には何のお咎めも無かったそうだ。それも当時の現実だった。



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2 コメント

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■家へ帰ろう (えい)
2014-04-10 22:44:34
こんばんは。


「家へ帰ろう」…。
『アポロ13』のときもそうでしたが、
この言葉が、
アメリカ人たちにとっては「生きる」原動力となっている。
その個人主義が、さらには民主主義にも繋がっていく。
日本映画との決定的な違いかな、
なんて、本筋とは少し離れますが、
そんな気がします。
ラストの主人公の家族に対する言葉、
ぼくは、あのシーンが大好きです。

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>家へ帰ろう (kintyre)
2014-04-13 10:24:44
>えいさん、こんにちは
アメリカって良く個人主義って日本で思われている
ようですが、それは「個性」を重んじる国柄と「和」を
重んじる我が国との違いかな?
邦画が描く日常には宗教的な要素は薄いですが、
やはりあちらの作品は日常の中に宗教的精神が
宿っていると感じさせられます。
私もご指摘にあるように、ラストの家族との再会シー
ンは感動的でした。あの終わり方が無ければここま
で印象に残る作品に成らなかったでしょうね。
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