kintyre's Diary 新館

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映画『スイッチを押すとき』を観て

2011-10-28 18:41:57 | 映画・邦画

11-71.スイッチを押すとき
■配給:フェイス・トゥ・フェイス/リベロ
■製作年・国:2011年、日本
■上映時間:110分
■鑑賞日:10月23日、新宿武蔵野館(新宿)
■入場料:1,800円




□監督:中島良
□脚本:岡本貴也
□原作:山田悠介
□撮影:猪本雅三
□照明:松隈信一
□美術:木村文洋
□音楽:小西香葉、近藤由紀夫(MOKA☆)
◆西村雅彦(YSC横須賀佃所長)
◆田中哲司(丸山孝治)
◆小出恵介(南洋平)
◆水沢エレナ(真沙美)
◆佐野和真(直斗)
◆真司郎(尋)
◆阪本奨悟(君明)
◆太賀(亮太)
◆菅野莉央(愛子)
◆福士誠治(YSC横須賀看守・阪本)
◆小倉久寛(コンビニ店長)
◆鈴木砂羽(君明の母)
【この映画について】
山田悠介原作の人気ライトノベル「スイッチを押すとき」を、舞台、ドラマに続いて映画化。自殺制御プロジェクトの犠牲になった10代の少年、少女たちと謎の監視員、南洋平との心理戦から始まる近未来ヒューマン・サスペンス。少年たちに心を開いて近付いた南洋平こそ、YSCに送り込まれた最終兵器。
絶望に関する哲学から、監視員のトップに登り詰めた南だが、ある弱点から立場が一変する。出演は、小出恵介、水沢エレナ、福士誠治、西村雅彦ほか。「人は絶望の中では自殺しない。希望を失った時に自殺する」という名セリフが、荒唐無稽のストーリーにリアリティーを与えている。監督は『アバター』に続き、山田作品を手掛ける中島良。
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
10代の自殺が激増した20XX年、国家は青少年自殺抑制プロジェクトを発足させる。それは、全国からランダムに選ばれた10歳の子供たちを監禁し、心臓に埋め込んだ起爆装置のスイッチを持たせ、自殺に至る心理を観察するというものだった。多くの子供たちは孤独と恐怖に耐えきれず、2、3年でスイッチを押していった。

実験が終了したYSC施設は次々と閉鎖されていったが、YSC横須賀では、優しく芯の強い真沙美、気弱な直斗、喧嘩っ早い尋、行動的な亮太、車椅子生活を送りながら絵に感情をぶつける君明、両親への想いに生きる愛子の6人の子供たちが7年もの間、所長の佃にスイッチを押すよう罵倒される極限状態のなかで生きていた。
そんなYSC横須賀に、看守・南洋平が赴任してくる。長年の恐怖から大人たちに心を閉ざして笑顔を失っていた6人を、南はナンバーではなく名前で呼び、笑顔で彼らに近づいていく。6人は、初めて人間らしく扱われることに戸惑う。真沙美は直感で南にあやしいものを感じるが、他の子供たちは次第に南に心を開いていく。

しかし、愛子と尋が相次いでスイッチを押す。7年も一緒に過ごした仲間を突然失ったことに、ショックを受ける真沙美たち。そんな彼らを明るくさせようと振る舞う南に対し、真沙美はかつて抱いた不信感を打ち消す。しかしそんなとき、亮太がゴミの中から、尋が南に託したはずの手紙を見つける。亮太がみんなの前で南を激しく問い詰めるなか、南は不気味な笑みを漏らす。南は全国のYSCを転々とし、閉鎖させてきた男だった。
最初に被験者に希望を与え、それを奪うのが彼のやり方だった。しかし南には、そうせざるを得ない秘密があった。そして真沙美がその秘密に気づいたとき、みんなを巻き込む悲劇が起こる。

この作品については原作本も舞台版もTV版も一切見ていないので違いは分からないけど、自殺抑制プロジェクトが国家単位のプロジェクトであると言うのが出発点なのだが、それにしては結論が出るまで時間を掛け過ぎ。現実的に考えてしまうと、政権交代などで忘れ去られる可能性もあり、ストーリーの出発点としてのインパクトが弱い。
YSCの佃所長と政府側の丸山室長とのやりとりがそれを想起させるが、やはりストーリーの中核は南が横須賀の施設に派遣されてきてからの部分だ。その南自身がこのプロジェクトの子供の生き残りで、彼が派遣されたのは従来のやり方とは違って、南のソフト路線?で残った6人を少しでも減らそうとの考えからだ。
南は佃所長と方針を巡って対立するのだが、南自身も解放されるには6人全てが自殺しなければ使命は終わらない。南は真沙美と君明の3人で施設からの脱出に成功するのだが、やがてGPSで居場所が発覚する。君明は実家に戻り母と一時の団欒を過ごすのだが追手が自宅に到着した時には自殺していた。真沙美は南と恋仲になり監視の目を盗んでフェリーで北海道に行き着く、しかし、やはりGPSで居場所を突き止められ連れ戻される。

南と真沙美は身柄を確保され連れ戻され、真沙美は結局自殺してしまう。そうなると南も佃所長も目的達成で、田中室長にとっても長年のプロジェクト終了となる。佃もどちらかといえば田中から強制されて携わってきたので肩の荷が下りただろうが、果たして南の将来はどうなったのか判り辛かった。

南を演じた小出恵介と真沙美役の水沢エレナは中々良かったし、配役も全体的に良かった。だが、ストーリーとして観た場合、南と真沙美がここに至るまでの経緯などをもっと膨らませるなどの工夫があれば良いのにと思ったりした。
3人で施設を脱出してからの流れは良かったけど、ここでも折角脱出したのに、その喜びや脱出後にどうしたかったのかその辺の行動力不足が目立った。
発想は斬新なのだが、やはり興行的な面で2時間以内にまとめなければという製作サイドの要求もあったのだろう、脚本の組み立てを練り直し、場面や登場人物の人生観などを絞り込めば印象も変わっていただろう。どちらかと言えば、退屈な作品とのイメージを持ってしまった。




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