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kintyre's Diary 新館

野球(西武ファン)や映画観賞記等を書き綴っています。野球のオフ期には関心の高いニュース等も取り上げています。

映画『ローマ法王の休日』を観て

2012-08-04 22:49:35 | ヨーロッパ映画

12-64.ローマ法王の休日
■原題:Habemus Papam
■製作年・国:2011年、イタリア・フランス
■上映時間:105分
■字幕:岡本太郎
■観賞日:8月4日、TOHOシネマズシャンテ



□監督・脚本・精神科医:ナンニ・モレッティ
□脚本:フランシェスコ・ピッコロ、フェデリカ・ポントレモレーリ
◆ミシェル・ピッコリ(ローマ法王、メルヴィル)
◆イエルジー・スチュエル(ヴァティカン報道官)
◆レナート・スカルパ(グレゴーリ枢機卿)
◆フランコ・グラツィオーシ(ボラーティ枢機卿)
◆カミーロ・ミッリ(ペスカルドーナ枢機卿)
◆ロベルト・ノービレ(チェヴァスコ枢機卿)
◆ウルリッヒ・フォン・ドーブシュッツ(ブルンマー枢機卿)
◆ジャンルカ・ゴビ(スイス衛兵)
◆マルゲリータ・ブイ(精神科女医)
【この映画について】
カンヌ国際映画祭パルムドールに輝いた『息子の部屋』で知られるイタリア人監督ナンニ・モレッティ。彼が、新ローマ法王に選ばれてしまった男の逃亡劇を描くコメディ。新法王がローマの街で出会う人々とのふれあいを通し、人間の信仰心や法王のあり方などを見出していく姿をユーモラスにつづる。(この項、Movie Walkerより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
現ローマ法王の訃報に接し、新しい法王を選出するために各国からヴァチカンへ枢機卿たちが招集される。システィーナ礼拝堂で投票が行われるが、枢機卿たちは心の内では重責を担う法王に選ばれたくないと一様に思っていた。
投票の結果、メルヴィルが選出される。すでに聖ペドロ広場には新しい法王の就任を祝いにきた人々で溢れかえっていた。就任の演説が控えていたが、メルヴィルは重圧から逃げ出してしまう。新法王が行方不明になったのを知った事務局広報は、そのことが公にならないよう画策し、街中を捜索する。一方ローマの街に逃げ込んだメルヴィルは、市井の人々と触れ合ううちに、人生における大切なものや信仰心、なぜ法王が必要なのかなどを見つめ直していく。

まずこの邦題をみて(原題は「新法王が選ばれた!」という意味らしい)明らかに「ローマの休日」を連想させるタイトルになっているのは何故か?まあ、そんなシンプルな疑問を感じるのだが、中身は冒頭にヨハネ・パウロ2世法王の葬儀の実写映像から始まって、枢機卿lらが何か呪文の様な言葉を唱えながら礼拝堂へと向かう様子は荘厳さを感じさせられた。
ローマ法王選出は資格を持つ枢機卿が外部との連絡を絶って広い礼拝堂の中の一室に閉じ籠って決め根比べ「コンクラーベ」と呼ばれる。投票の結果は礼拝堂の煙突から登る煙の色(黒は未決定、白は決定)で外部に知らされ、TVのニュース映像(現法王はベネディクト16世)で見た方も多いのでないか。
この選挙の様子では本命とされていた枢機卿が選出されず、その結果を待っている間に「自分が選ばれませんように」と祈っている様子は滑稽だった。中々結果が出ずにその間にお互い選出者の選考でヒソヒソ話が続く中で、下馬評に上がっていなかったメルヴィルの名前が急浮上して彼が選ばれた。枢機卿から祝福の言葉をかけられ法王の証である赤いマントを被せられ始めて我に返ったメルヴィルは事態が呑み込めず、新法王のスピーチを待ち構える民衆に背を向けて逃げ出してしまう。

ここからはローマ法王の職責に耐え切れないメルヴィルが周囲の説得に一切耳を貸さずに極秘裏に市内の精神科医と面談を受けた後に、取り巻きをまいてローマ市内へと消えてしまいてんてこ舞いに。
聖職者となる前に舞台俳優だったメルヴィルにはローマ法王の職責は重すぎた。久し振りに市内に出てかつての自分の姿を思い出して小劇場で舞台を観賞したりしているところを側近に見つかり、ヴァティカンに戻ることを懇願されるが断り続ける。

この間にも新法王の姿を待ちわびる民衆に対して、ヴァティカンは如何にも新法王が居るかのようにスイス衛兵に窓際に立たせるなど苦肉の策を施していたが、法王失踪の噂は徐々に広まってしまい法王庁は困惑するばかり。
そして遂にメルヴィルは新法王としてその姿をバルコニーにあらわしたが、そこで発せられたのは意外な一言だった。

法王を演じたミシェル・ピッコリはコメディ・タッチの演技でローマ法王の苦悩を上手く表現していた。ストーリー的には形式ばった法王選出の様子や、周囲がアタフタする描き方はユニークで面白かった。だが、メルヴィルがヴァティカンを脱走してローマ市内を彷徨うあたりは多少眠たかったシーンだ。ラストはかつての自分の姿を思い出し吹っ切れて法王選出を受諾すると思ったのですが...。
むしろ法王庁内部の戸惑いとか、それを報道するマスコミの様子をもっと盛り込めば個人的には楽しめたのだが、それでもローマ市内に実在する建築物を使用してのロケ映像は観光気分で楽しめた。システィーナ礼拝堂やサン・ピエトロ大聖堂のバルコニーはローマの撮影所チネチッタ内にセットを作って撮影したそうだ。

それにしてもローマ法王を題材にしてこのような映画を製作してヴァティカンからクレームが付けられなかったのだろうかと日本人の私は思ってしまう。ローマ法王と日本の天皇では選出方法が異なるが、日本ではこの様な映画が製作される可能性はゼロに近いでしょうね。



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