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映画『恋の罪』を観て

2012-01-12 22:11:30 | 映画・邦画

12-4.恋の罪
■英題:Guilty Of Romance
■配給:日活
■製作年・国:2011年、日本
■上映時間:144分
■観賞日:1月9日、新宿武蔵野館(新宿)
■入場料:1,800円
 

□監督・脚本:園子温
□撮影:谷川創平
□照明:金子康博
□編集:伊藤潤一
◆水野美紀(吉田和子)
◆神楽坂恵(菊池いずみ)
◆富樫真(尾沢美津子)
◆児嶋一哉(正二)
◆小林竜樹(カオル)
◆町田マリー(マリー)
◆岩松了(スーパーの店長)
◆大方斐紗子(尾沢志津)
◆津田寛治(菊池由紀夫)

【この映画について】
『冷たい熱帯魚』で衝撃を与えた園子温監督描く、21世紀直前に渋谷区円山町のラブホテル街で実際に起きた殺人事件からインスパイアされたオリジナル・ストーリー。人課の女刑事、大学のエリート助教授、人気小説家を夫に持つ専業主婦の運命が交錯するサスペンスだ。
水野美紀、冨樫真、神楽坂恵─3人の女優が役者生命をかけた渾身の演技で難役に立ち向かっている。充満する激しいエロス、過激なSEX描写もさる事ながら、3人の女優の身も心も剥き出しの演技バトルが見どころだ。詩人・田村隆一の「帰途」を引用したり、マーラーの交響曲第五番をBGMに使用するなど、荘厳さを感じさせる味付けがなされているところは園子温監督ならではだ。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
どしゃぶりの雨が降りしきる中、ラブホテル街のアパートで女の死体が発見される。事件担当する女刑事・和子は、仕事と幸せな家庭を持つにもかかわらず、愛人との関係を断てないでいた。謎の猟奇殺人事件を追ううちに、大学のエリート助教授・美津子と、人気小説家を夫に持つ清楚で献身的な主婦・いずみの驚くべき秘密に触れ引き込まれていく和子。事件の裏に浮かび上がる真実とは……。3人の女たちの行き着く果て、誰も観たことのない愛の地獄が始まる……。

園監督は東電OL殺人事件をモチーフにして脚本を完成させたとされているが、実際には舞台である円山町は共通であるがその他の設定は異なる。
映画でも円山町でやはり猟奇殺人事件が発生するのだが、東電事件では外国人容疑者が無実を訴えているが、こちらは殺人事件の謎を追う警察側の人間として水野真紀が容疑者特定に向かって奮闘する。そこに、昼は大学助教授で夜は娼婦の美津子と、人気作家の貞淑な妻いずみの二人の女性の人生が絡み、一方ではこの二人の人生と吉田和子の人生があり彼女にも家族があるのだが、どこか満たされない空虚な心の持ち主である。

こういう3人の女性の行き着く果てがどこになるのか?当初は貞淑な妻を演じていた「いずみ」だが、人気作家で尊敬する夫は判で押したような性格で会話も限られている。一人で過ごす時間が多いことから、夫に許可をもらってスーパーの食品売り場でアルバイトを始める。彼女の人生はここから少しずつ違う方向へと歯車が向かっていく。
国文学の助教授である「美津子」は昼と夜の顔が全く正反対で、円山町で偶然にも「いずみ」と知り合う。二人は全く異なる性格の持ち主で、美津子はいずみの隠された性格をドンドン表に出そうと画策する。この時は分からなかったが、実は、美津子のこの作戦は綿密に計画されていたとは終盤になって気がつくことに。その美津子の育った家庭環境が、この後のストーリー展開に大きく関わって来る。即ち、美津子と母との関係である。美津子はやはり学者だった父の血を受け継いで教鞭を取る身になったが、母との関係は冷え切っている。

この二人の関係を中心に進んで行くのだが、捜査は難航し中々犯人の手掛かりが掴めないでいる吉田和子、彼女も一見平和な家庭を持つ主婦でもあるが、彼女を学生時代から付きまとう強引な男の存在もありハラハラする展開に。

予想外だったのは美津子の母の存在で、序盤では全く登場しないのに、途中で登場してからは強烈な個性を発揮し美津子と「罵詈雑言」が飛び交う激しい口論のシーンは一番印象に残る。この口論シーンで美津子が両親に対して抱いている感情が正反対だと言う事に気付く。そしてこの母が事件の鍵を握る存在なのはこの時点では分からない。
ファザコンの美津子は父と同じ職業に就き、母を嫌悪し、当てつけるように夜は売春をする。結局、美津子は母に命を断たれるのだが、この映画は犯人が誰かを知ることがメインでは無い。3人の女性と美津子の母を含めた4人の女性の人生観そのものがテーマだ。

美津子はいずみの夫を顧客とし、いずみを自分の世界へ引き込むために敢えて二人が出会うように仕組み、母に殺された美津子の意志を汲むかのように、いずみは美津子が引きこんだ世界の住人となる。
いずみを演じる神楽坂恵は園子温監督の妻でもあるのだが、前半は貞淑な妻を演じ切りスーパーの試食コーナーでの販売員という仕事に戸惑いを見せながら、美津子の世界に墜ちて行ってからは吹っ切れたかのようになる。神楽坂その見事な巨乳ぶりを惜しげも無く?披露するのだが、自宅で鏡に向かって試食販売の練習をするシーンは笑いを取れた。
いずみを自分の世界に引き込んだ美津子を演じた富樫真は全く知らない女優だったが、彼女も昼は助教授で夜は娼婦と言う難しい2面性を持った女性を個性的に演じていたが、残念ながら神楽坂とは肉体面では大差が付いた?
今回の出演者では知名度が高かった水野美紀は警察官だが、一見満ち足りた家庭を持ちながらも内面にはどこか満たされていない女性の役。ラストでは、朝のごみ出しに遅れてしまい必死にごみ収集車を追いかけ気が付いたら円山町だった、この演出は中々良かった。

この映画は東電OL殺人事件を題材にしているものの、あくまでも園監督による女性描写が見どころである。3人の女性は誰もが主役でもあるのだが、私は貞淑な妻だったいずみが夫の性癖を知って嫌悪し離婚し、売春婦へとなる彼女の人生が一番上手く描かれていたと思う。監督の奥さんだからと言う事は無いだろうが、刺激の無い家庭生活からアルバイトしたことで彼女の人生が変わっていくのだが、一気に変えず美津子との関係も交えて戸惑いながらも、人気作家の妻という立場から自立する様子を見事に描いていたと私は思った。

最後に、この映画に登場する男性は3人の女性の強烈な個性に比べれば軽く感じた。ストーリー展開の歯車と言った存在だった。


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