過去に「帯状疱疹後神経痛」(たいじょうほうしんごしんけいつう)の痛みを数回経験したことがあります。皮疹が治まった後も神経の痛みがしばらく残ることがあり、この状態を帯状疱疹後神経痛といいますが、それはひどい痛みでした。ヒリヒリ、ズキズキ、あるいはピリピリと感電したような痛み。一定時間で刺すような痛みを繰り返します。時には、持続的に締め付けられ、焼けるような痛みもあります。
この痛みは身体の深部から出るというより、若干表面にある強い痛みという感覚で、とても辛いものです。ことに夜間は痛みとの格闘になり、連日の寝不足に追い討ちをかけられギブアップでした。
子供のとき罹患した水痘(みずぼうそう)・帯状疱疹ウイルスが、体内に残っていて悪さをするそうで、それは神経疲労によって発症することが多いようです。
確かに慣れないことに神経を使う(ストレス)と痛みが出るようです。2年ほど前、しばらく忘れていたこの痛みに遭遇してしまいました。
今までは、半日~1日ほどで治っていたのでじきに治るとタカをくくっていました。ところがこのときは、以前よりも痛みが数段強くしかも5日間も続いて、スタッフに指圧をしてもらってやっと楽になりました。自分であちこちを圧してみても、治るどころか余計に痛みが増すばかり。このときほど人の掌の有り難みを感じたことはありませんでした。
先日、鼠蹊ヘルニアの治療をしていた患者さんが帯状疱疹にかかったので、さっそくこの日の治療方針を変更しました。この方は以前、蜂窩織炎(ほうかしきえん)を基本指圧で治療したことがありました。その経緯があるために、指圧治療で症状を改善できるか相談されました。
帯状疱疹の炎症を鎮めるために、先ず右下肢を丹念に圧しました。身体に起きた炎症は、下肢を緩めることで落ち着いてきます。下肢を圧したことで改善に向かった手応えを感じたので、この後、全身指圧に切り替えて治療を続行しました。患部は右脇腹に、帯状疱疹としては大きな発疹が見られました。
治療前、治療中、治療後に写真を撮りました。
写真では分りにくいかもしれませんが色と大きさは、明らかに確認できると思いますし、痛みも少し楽だとのことでした。
翌々日、痛みが取れたのを電話で確認しました。
以前、師匠鈴木林三先生の言葉を思いだしました。
「少しでも多く痛みの経験することは、指圧師として大事なこと」。
今回、患者さんの痛みを実感できる治療ができました。これは、治療効果にも反映すると確信できました。改めて患者さんに喜んでもらえる指圧治療に励みたいと思いました。