ご報告が遅くなりましたが6月20日、乃木坂の国立新美術館の書道展に出かけました。第52回「書象展」という公益社団法人・全日本書道連盟主催の展覧会です。見ごたえのあるレベルが高い書に、感激したりビックリしたり、本当にいいものを見せてもらいました。
私は病で倒れる前、7年半ほど、書道を習っていました。これは、指圧の鈴木林三先生から「指圧だけでなく、違うことをやった方がいい」と言われて始めたものです。また生来の悪筆を少しでもまともにならないかとの挑戦でもありました。
すると縁があったのでしょうか、すごく素敵な書の先生にめぐり会うことができました。それが「早川静舟先生」です。先生はもともと和歌を詠む歌人で、自分の歌を自筆で書きたくて書道を始めたと聞いています。和歌の世界ではずいぶん出版物も多く、日本でも珍しい「詠んで書ける多才な先生」です。その早川先生に「書道の大家といわれている方々は、皆始めは下手な人だそうですよ」と聞き、その言葉にハマって始めたのです。
塾は仕事場から近かったので、週1回、仕事が終わった後、一目散に走って行き指導を受けていました。わずかでも時間があれば、筆を持ちたいと思い書くことが楽しみになっていました。先生は特技といってもいいほど、相対している人と同じ年代になってしまうのが不思議です。20代のお弟子さんと話していると、まったく20代になりきって屈託なくニコニコ楽しそうにしています。成り切り方の見事さが凄いので恐れ入ります。そしてその笑顔を見ただけでも本当に癒されます。
私は芸術家が大好きで、憧れを持っています。早川先生が大好きで、身近にいる「芸術家」を感じる貴重な時間を共有するのは、本当に楽しいことでした。すべてを忘れ没頭する楽しい時間でした。
今回も先生から書道展のハガキをいただいたので、楽しみにしていました。りっぱな会場に素晴らしい作品が並べられている中に、まず先生の作品を拝見しました。先生は「書いていないと人間じゃなくなってしまう気がして…」とよく言っておられました。今回の作品もどんな気持ちで出品されたのかと感慨深いものがあります。先生は確か84、5歳になっていらっしゃると思います。その作品から何がしかのエネルギーをいただき、私も病気だといっておれない、もっと頑張ろうと元気をもらいました。
夏休みには、引っ越しされた先生をぜひ訪ねようと思って楽しみにしています。そしてできたらもう1回、筆を持てれば幸せだと思っています。
真中が早川先生の書です
すばらしい作品が足を止めさせます
小雨に煙る国立新美術館