「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

「気持の共有」がいちばんの幸せ

2007年03月21日 | 雑感

  心身技術研究所の長谷川智先生の講座は、小人数制の定員10名で開講されています。家族的な雰囲気が感じられ、細やかな指導が1人1人に行き届くように配慮されていることに、いつも感心して参加しています。

  過日(3月17日)も、まず参加者の紹介から始まりました。初めての方は自己紹介、リピーターは先生が紹介してくださいます。
  色々な分野の方との交流も楽しみのひとつになりますから、この紹介から興味深くお聞きしていました。

  やがて、長谷川先生が私を皆さんに紹介してくださいました。
 「治療家は、普通、こういう講座に自分の患者さんを連れてくることはないのに、この方はとても稀有な方です」
 「この講座では、色々な痛みに対する身体の使い方のアドバイスをしたり、その痛みを取る動きの検証もしています。患者さんが自分で痛みをとる方法を知ってしまうと仕事にも影響があるので、どちらかと言えば、治療家としてはそれを嫌うのですが、この先生の患者さんが、先生ご本人の紹介で、よくこの講座に参加されるのですから不思議です」

  でも私は、自分のやっていることが変だとは思っていません。いつもブログに書いていますが、私の臨床指圧の師は、日本指圧学校講師の鈴木林三先生です。先生が時間を取れるとき、まだ技術に自信がなかった私は、できるだけ患者さんを連れて行って、直接先生に圧してもらうようにしていました。

  そのときも、建設業をしているKさんに言われました。
 「村岡先生も人がいいな。鈴木先生のところへ連れて行くと、やはり技術の違いがわかってしまうだろうに」
  患者さんに、私より技術が上の人を紹介するのは、私にとってマイナスだろう、ということでした。

  たしかに“商売”として考えたらそうなのかもしれません。しかし、自分にとっていちばん幸せなことって何だろう、と考えていた私が、自分なりに色々な方向へ思いを巡らせた結果、「皆さんと気持ちを共有できる」ことなのではないか、という結論に達していました。
  治療師としては、患者さんと「よくなる喜びを共有する」ことがなによりである、と思うようになっていたのです。同時に指圧師仲間とは、「上達の手応えを共有できる」という、この上ない喜びがあることにも気付きました。

  以来、「気持を共有すること」を目標に毎日を過ごしています。自分の患者さんが、少しでもよくなってくれることが、何よりの自分の喜びであるわけですから、長谷川先生の講座に案内することに何のためらいもありません。よい結果が出せることを期待し、そこに楽しみすら見出しています。
  例えば、シー・カヤックの現日本チャンピオンであるSさんは、長谷川先生に身体の使い方を指導して頂き、「ナンバ漕(こ)ぎ」と称する
画期的な漕ぎ方をあみ出し、数々の大会で好成績を挙げ続けています。
  身体の使い方を変えてからは、以前ほどひどい腰痛を起こさなくなったようです。それでも、時々私の指圧を受けたい、と言ってくれるのは、気持ちを共有できているからこそだと思っています。

  人の身体は、自己管理が基本です。治療師は、そのほんの一部のお手伝いをしているのだと自覚しています。皆さん1人1人が、よりよい方向へ向かうことを何よりの喜びとして、今後も前進していきたいと願っています。よろしくご理解ください。


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