Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

携帯電話の質的変換が来る

2008-08-07 19:18:27 | Technology

 本日、NECと松下電器産業の共同出資による携帯電話ソフトウェア開発会社の解散が発表されました。

NEC・松下、提携解消 携帯用ソフト IT PLUS

 NECと松下電器産業は携帯電話向けソフトウエア開発の提携を解消する。携帯電話業界では米グーグルやノキア(フィンランド)など世界的な企業が中心となって携帯向け基本ソフト(OS)の共通化の動きが進んでいる。NECと松下は米モトローラなど世界の有力企業とソフト開発で協力する方向に転換、国際再編の呼び水になる可能性もある。

 元記事からは、それぞれが海外大手に提携先を求めるというニュアンスが読み取れますが、そうならば今後の海外進出に向けての布石と考えられます。

 では、もう少しうがった意見として、こうは考えられないでしょうか?

「同業他社とソフトウェア的に差違を出すため、提携を解除した」

 これまでは、カメラにしろワンセグにしろ、どちらかというと携帯電話は「ハードウェア」で機種間の違いを出してきました。しかしながら、それらの機能が、どの機種でもついている当たり前の機能になったときに、今度は「薄さ」や「デザイン」というパッケージングでの争いに移り・・・そして、iPhoneが登場しました。iPhoneは別にハードウェアはたいしたことはありません。日本的に言えば、ワンセグもついていなければFelicaもついていませんし、カメラ機能も貧弱です。大型のタッチパネル液晶は素晴らしいですが・・・
 しかしiPhoneは、ソフトウェアというアプローチでは、確かに他の追随を許さないほどエポックなものになっています。汎用的なOSと直感的な操作感、そして様々なサードパーティ製アプリケーション。iPod+携帯電話という音楽再生ガジェットとしての魅力はさておいて、iPhoneの魅力のほとんどは、そのソフトウェアにあると言っても過言ではありません。コンピューターメーカーであるAppleの本領発揮とも言えるケータイです。日本の携帯電話の、横並びのテンキーメニューしかなかった状況から見ると、何とも魅力的に映ります。

 そう、携帯電話をハードウェアで語る時代は終わりを告げました。今、PCをハードウェアの差違で語るのは、一部のエンスージアストだけです。携帯電話も、ハードウェア的な差違を出すことが難しくなった今、次の訴求点としてソフトウェアに力を入れる時が来たと言うこと。これまでのように「過去を踏襲したメニュー設計」とか「キャリアごとに操作性の統一を」などという「保守」だけではやっていけないということでしょう。

 少なくとも、海外に進出したメーカーは、日本の作法と海外の作法の違いに撃沈して撤退してきた過去があります。iPhoneが受け入れられた(といってもヘビーユーザーだけですけれど)今、全く新しいソフトウェアを持った携帯電話ができないものでしょうか。別にサードパーティ製アプリなどはなくとも、メニューの形態やアプリケーションに対する考え方を変えるだけでも大きく印象は変わるはず。

 iPhoneの模倣ではなく、日本的且つ斬新な携帯電話を・・・まだ、期待して良いですよね?