こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

勉強が追いつかない

2021年06月15日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと
 梅雨入り宣言はやっぱり昨日出されて、関東地方にも本格的な雨季がやってきた。午前中のうちは好天とのこと、段ボールなどの資源ごみを出しながら、今日の回収ではこれらが濡れないので、回収する人の手間も少しは減るのではないかと思い、ホッとする。昨日持って出た傘はそのまま置いてきたので、帰りには役に立つだろうと思っていたが、電車に乗るまでは降られずに済んだ。明日は前々から雨の予想だからちょうどよい傘のサイクルになったと、小さく喜ぶ。

 雑誌の連載(掲載は4月号から9月号まで)もいよいよ今月書くので最後の6本目。かれこれ昨年暮れごろからよく頑張ってきたものだ。私の専門分野から経験してきたあれこれの症例をピックアップしてきたが、いよいよネタ切れ。そんなわけで、あまり得意ではない遺伝性疾患に挑戦することにした。10年ほど前まではこれらのことにも多少は詳しかったのだが、ちょっと不勉強しているうちにずいぶんと後れを取ってしまった。ただ、最近がんゲノム医療が本格化してきて、私もがん診療を行う病院の病理医として否応無しにエキスパートパネルに参加するようになって、耳学問であれこれ知るようになった。

 医療は日進月歩だが、本質的な部分ではそんなに進歩しているわけではない。対象が人間だから当然といえば当然かもしれない。病理診断は組織学の延長のようなものだし、分子生物学は基本的にはDNAの二重らせん構造が1953年に発見されてからはその原則に則って進歩していて、これを覆す理論はない。以来、免疫組織化学やPCRといったエポックメイキングな技術革新はおこなわれ、多くの病気が形態学的に分類されたり、遺伝子解析が行われたりして、様々のことがわかってきて、人間の寿命はまた10年ぐらのびたのかもしれないが、学問的な部分についてはなんとか追いつくことができそうだ。そんなわけで、殊勝にもエキスパートパネルや学会で聞いていた、”新規の”用語を勉強し直している。

 そんな用語も、一つ一つきちんと整理したら、理解できるはずなのだがなかなかそうもいかない。原因の一つは、これらの用語に対する適当な日本語訳を作るのが追いついていないからで、理解が進まない。遺伝性腫瘍の原因となる遺伝子のことを、がん易罹患性遺伝子(cancer predisposition gene)なんてそのまんまいわれても、逆に日本語が難しくかえって混乱してしまう。そんなことを言っているばかりではキーボードを打つ手が止まるばかりなので、毎日ウンウン言いながら、自分が日常診断で行なっていることの本質的なこととはなにかということを考えながら原稿を書いている。幸い、病理形態学的な部分はなんとかなりそうで、脱稿の目処はおぼろげながら立ってきた。ただ、そうこうするうちに、出版社から2本前の原稿の著者校正が回ってきていて、少し混乱する。気が緩んだついでに調子に乗って論文の査読も引き受けてしまったが、さすがにこれには後悔している。
こんな話もあと数年

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