こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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山中教授のノーベル賞受賞で思うこと その2 iPS細胞とこれからの医療

2012年10月10日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと
「生殖医療技術の進歩は近年さらにその歩を早め、iPS細胞からいよいよ生殖細胞が作り出されるにいたり、もはや、生殖というものが神のみぞ知る聖域ではなく、実際の医療現場で病理診断を求められることもあり得る医療技術の一つになったものと考えなくてはなりません。そして私たち病理医もその分野に関する知識を深めていかなくてはならなくなってきたと考えます。・・・」
などと、先週末の講演の冒頭で、コロ健、格調高く切り出したのだが、話しながらこのような内容も一年後にはもはや陳腐なものになっているに違いないという思いが頭をよぎった。



iPS細胞の山中伸弥教授が今年のノーベル医学生理学賞を受賞された。今回の受賞を契機に思ったことが3つあり、その2つ、発想と国力については昨日記事にした。
今日は、3つめのiPS細胞というものの出現によるこれからの医療の方向性について考えてみたい。

ノーベル賞受賞により、製薬会社の株価が上がったり、京都大学への寄付金が多く集まったりといったような、様々な社会現象が巻き起こっていることを待たずとも、iPS細胞の将来は多岐にわたり、誰もその行き着く先は知らない。したがって、ここで素人である私がiPS細胞についてあれこれいうのは、全く持って不遜きわまりないことで、iPS細胞そのものについての議論をするつもりはない。
それよりも大事なのは、iPS細胞というものが作り出されたという事実が何を意味するか、である。

人間が考えたことは必ず実現するというが、まさしく今回の研究はその一つの具体例だ。

人類の夢は叶う、というか、叶ってしまうのだ。

そして、叶えた夢の先にあるもの、それがこれからの医療だ。
数年のうちに、ヒトのクローンが作り出されるようになった時のことを考えて、今から先手を打っておかないと、めちゃくちゃなことになることは目に見えている。自分に何かあった時のために、クローン人間をつくっておいて、必要に応じてそこから体のパーツを取り出す、などということもあながち絵空事ではない。クローン人間の人権はどうするか、などということが問題になる時が来るかもしれない。そんなこと、起こるわけがないというのは楽観的すぎる。
海外の貧困地区では貧しい人々が臓器を売っているということが、現実に行われている。その人々の人権に対する考えすら危うい状況で、夢の万能細胞のもたらす未来が果たしてバラ色のものとなるのだろうか。これらの事象は同時に進行していることで、すべての事象はすぐ隣で起こっている。

私たち人類は、どこへ向かっていくのだろうか。
私たちの遺伝子は、私たち人類に何をさせようとしているのだろうか。

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2 コメント

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Unknown (きらきら星)
2012-10-11 19:42:03
秦の始皇帝がほしがった不老長寿の薬。
壮大な宇宙旅行 何万光年という旅行。最初に出発した人が最後の成功まで見届ける事ができる。こんな世界観をはたして人類は受け入れることが出来るのでしょうか。こんなことがなんともないと思うような人類が出来上がるのでしょうね。
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どう考えていくべきか (colocolokenta)
2012-10-12 19:27:03
まさに日進月歩の世の中。
それに比して、人の体はそれほど進歩しないはずだったのですが。様々なことを受け入れるのに時間がかかるはずですが、進歩はそれらをあざ笑うかのようですね。
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