なんとなく、ため息をついてしまうことが多い。
若い頃は、成績が悪い時だったり、人間関係で悩んでいたりとか、ため息の原因が比較的わかりやすかったのだが、最近はいったい、何のためにため息をついているのかわからなくなってきている。
昨日、夕食時にため息をついていたら、妻に
「ため息はついちゃダメ、悪い気があなたに入ってきちゃうわよ」
といわれて、はっとした。
ため息をつくと、ボコッと心のなかに穴が空く気がする。
そのあと、その穴というか空間を埋めるものが必要となる。
それが何かわからないでいた。
おそらく、その穴というか空間を埋めるものは、本来そこにあったものよりは多少なりとも劣ったものでしかありえない。
なぜかというと、調和の問題がある。
たとえ、それが別の場所では優れたものであっても、本来そこにあるべきものとの調和はとれない。
それが、妻のいう”悪い気”だと思った。
自分の能力がどうとか、収入がどうとか、家族がどうとか・・・隣の芝生をみてうらやましがり、自分とひき比べてため息をついても仕方がない。
今、周囲と調和して生きている自分を肯定し、そのなかで人生を味わいながら生きる。そのことこそが大切なのだ。
何か一部を取り除いてそこに代わりの何か埋め込もうとしても、それが仮に自分の持っているものの数倍価値のあるものであっても、そこに埋め込んだとき、今ある自分の中に調和して入るかは別の問題だ。
どれだけ価値のあるものでも、ため息とともにできた穴に入ってくるものは”悪い気”だ。
穴など空けず、しっかりした土台の上に調和良く積み重ねられていくものが“良い気”だろうと感じる。
今日から、ため息をつかないことにした。
ため息をつきそうになったら、途中で息を一度止めてから、ゆっくり吐いてみた。
そしたら、心に穴は空かなかった。