事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

マーガレット・ミラー

2014-09-22 13:42:57 | ミステリ
悪意の糸 (創元推理文庫) 悪意の糸 (創元推理文庫)
価格:¥ 972(税込)
発売日:2014-08-29

けっこう読んでたのに彼女の名前がMillarでMirrorじゃないことに今日初めて気がついた、今やほとんど入手不可能なことダンナのロス・マクドナルド(こう言わんきゃ-いや言っても-通じんかも)と大差ないみたいね、どちらももっと評価されるべきだと思う、チャンドラーと同程度には・・・ってチャンドラーは探偵が主人公の純文だからなあ、世の中はミステリにきびしい
1950年初出、偶然ながらデュ・モーリアの「鳥」とほぼ同年代、訳が出るのは初めてらしい、タイトルのDo evil in returnはオーデンの詩

Those to whom evil is done
Do evil in return

から採ったとのこと、「悪をなされる者、報復に悪をなす」かな、ナチスドイツのポーランド侵攻に際して書いたというんだが、何となく悪意を感じるね、小説の内容はまさしくその通りのもので、オーデンも知らなかった(かもしれない)悪の因果を見事に表現してる、翻訳が「悪意の糸」とはまたすごいセンス(ホメてるつもり)

先ほどけっこう読んでると書いたが、またすごく感心したのもあったハズなんだが(いまいち犯人が気に入らなかったというかこの作者かなり根性悪だと思ったのもあった気が、だけどそれがどれだったのかはわからない)、かすかながら思い出せるのは「見知らぬ者の墓」だけかも(これが一番最近読んだハズ)、本作にちょっと似たところがあった(どこがって探偵がヒロインにはっきり思い入れてるとこが)

例によって(じゃない!!)怪しいヤツは一人しかいない、何でもなくても怪しいのにかなりアホでわざと(としか思えない)疑われそうな行動ばかりとる、あんまし怪しいからこいつはニセ犯人に違いないと断定するのにさしてスレッカラシである必要はない(と思う)、案の定ニセ犯人なのだが(ネタバレ)怪しい行動は別に真犯人をかばってのことではなかったどころかこいつが理性的に行動してれば犯罪を防ぐこともできたハズってとこがミソかな、犯罪が起きなきゃミステリにならないんだからね、つまり犯人も被害者なのかも-とオーデンの詩がバッチシ生きて来る、全く只者でない作者・・・

にしても「明日訪ねて来るがいい」とか「ここより先怪物領域」とか思わせぶりなタイトルのオンパレード、何で犯人すら思い出せんのかなあ?と書いてからAzonレビを見てたらちょっとだけ思い出したモノもあるような・・・でもそれがどれなのか今となってはナゾ(たぶん「明日訪ねて」だと思うけど)

追記-検索してたら「読んだハズなのに全く忘れてた」とおっしゃる方がおられて笑った、あまりの衝撃を封印しちゃうヒトは私だけじゃないんだね、にしても「鉄の門」、これか「殺す風」のどっちかが根性悪だったと思うんだが、「狙った獣」はひたすらに怖そう、読んでないハズないけどやっぱし忘れたなあ


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1 コメント

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こんにちは。 (木曽のあばら屋)
2014-09-25 21:42:03
こんにちは。
今年没後20年で、来年生誕100年なんですよね、ミラー。
いっちょ派手にリバイバルは・・・されないだろうなあ。

「明日訪ねてくるがいい」のラストは衝撃ですなあ。

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