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遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

アヴラム・デヴィッドスン

2014-02-16 17:48:36 | SF
どんがらがん (河出文庫) どんがらがん (河出文庫)
価格:¥ 998(税込)
発売日:2014-02-06

河出が「奇想コレクション(2005初出)」を文庫化してくれたので早速ゲト、一番面白いのは巻末の「殊能将之(自作自演)インタビュー」かも、夭折の異能作家がこれほど入れ込んだ唯一無比(ユニーク)作家の作品とはいったいどんなモノなのか、読者なら読まずんばあるべからずと思わせるだけの熱さがあふれてる

表題作-大砲(と思しき兵器)を引っ張って食料を略奪しつつさまよう一団、彼らは何者か、ここはどこか、はっきりした説明はないけどおおむね見当がつく、発表年代(66年)を見るにこの設定、今は古典となった「あの映画」のヒントになったハズ、おっとネタバレ自粛
すべての根っこに宿る力-うまく説明できない症状に悩まされる主人公、神経症か妄想かと思いきや恐るべき結末が明かされるミステリ、いや(主人公が死んじゃうせいもあって)いまいちスカッとしない・・・・いやまちがい死んではいない、けどこの運命は死ぬより悪いと思う
そして赤い薔薇一輪を忘れずに-故なく虐待される男に思いがけず復讐の機会が・・・お見事と言いたいとこだけどバレずにすむかなあ、また協力者になってくれた男、イカにもタコにもアヤし過ぎだと思うよ
パシャルーニー大尉-孤独な少年の空想が実現するお話と言っても超自然なところは全くない、オー・ヘンリーにもありそうな人情話
グーニーども-同じネタだがこれはまた非現実もいいところ
クイーン・エステル、おうちはどこ?-故なく虐待される女性に思いもかけず復讐の機会が・・・これはいわゆる不能犯(犯人は異形のモノ)だからバレる心配はない
ラホール駐屯地での出来事-ある兵士が睡眠中の同僚を射殺したのは何故か?誰も知らない真相が今明らかに・・・なったのか、それとも語り手のホラなのか、わからないけどそれでもよい
物は証言できない-奴隷がヒトと認められてなかった頃、唯一の目撃者が奴隷だったなら・・・ちょっと主人公が気の毒と思うのは私だけかしらん?

さもなくば海は牡蠣でいっぱいに-「あるいは牡蠣でいっぱいの海」でなきゃいけないとか言うAzonレビュアがいるけど内容的にはこれで正 しい、「あるいは」はポエティックにして意味不明、私はこの話がかなりコワい(基本コワいことを考える作者なんだな)、昔サマセット・モームが言った「牡 蠣が生むのは必ず牡蠣であるのに対して小説家が生むのはほとんどがアホ」・・・あれ?関係なかったね

この作者、ユダヤ人なのに何と天理教に入信してたとのこと、「汝、我のほか何者をも神とすべからず」という神様がバチを当てなかったんだろか?作品以上にそれが不思議、殊能さんも(序文を書いてる)元奥さんも全然不思議がってないらしい、それがまた不思議・・・・・

追記-今さらだけど殊能さんが生きててくれたらね・・・いやそれ誰でもそーなんだけどさ


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