メランコリイの妙薬 (異色作家短篇集) 価格:¥ 2,160(税込) 発売日:2006-10 |
50年ぶり(四捨五入すれば)の再会(もちろんこれは初見)、1959年初出とのこと、彼は私より30年も年長だがこれを書いた頃はまだ30代、翻訳が最初に出たのは昭和36年で訳者の吉田誠一は30歳だった、何もかもが若かった、USA発の文明すらまだ始まったばかりだったあの頃・・・・・
改めてブラッドベリは(SF作家である以前に)詩人だね、文章がポエティックすぎて何を言ってるのかわからんことがある、翻訳不可能な部分もあるだろうけど(と訳者も言ってる)、原文はもっと理解できまい(私の実力では)と思う
内容はまさしくツッコミどころ満載だが考えてみれば60年前である、ヒトを乗せたロケットはまだ飛んでないけどいずれ飛ぶことになっていた、ある意味宇宙は今よりずっと近くにあったのだ
けっこう気に入ったのもあったな
火龍-中世の騎士が龍退治、え、そんなものいるの?と思ったらいるのである、さてその正体とは?このヒトこんなんも書いてたんだ
すばらしき白服-ただの白いスーツじゃないIce Cream Suitsってところがロマンティック、轢き逃げに遭ったことより服が無事だったことの方が大事となるとちょっとどうかと・・・いやそれもわかるよーな気がしちゃう、これが筆力というものかも
熱にうかされて-病人の妄想かと思いきやとんでもないことが起きてるのに誰も気が付かない・・・これはこのヒトらしいホラーかも
結婚改良家-原題Marriage menderを星さんは結婚の修理屋と訳していた(マリッジカウンセラーのことね)、この場合の修理屋は誰かというと・・・おっとネタバレ自粛、だけどそんなうまく行けば世話ないって、このヒトにしちゃ楽観的過ぎだよとも揚げ足鳥大好き読者は思う
旅立つ時-死地を求めて旅に出るという男、だが奥さんは「アホじゃないの?(いやホントにアホ)」と現実主義そのもの、正しいのはどっちかと言うと・・・珍しく私好みの結末
いいけどいまいちなもの
イカロス・モンゴルフィエ・ライト-もうすぐ月に向かって飛び立つ宇宙飛行士、その日付は1970年、聞いて驚け、現実の方が早かったのだ・・・と言いたいとこだがこの時期どうも月にはすでにヒトが住んでるっぽい(「移住」とあるから)、さらに99年には火星に住んでたとなるともう何をか言わんや、だけどまさに詩人の面目躍如な文章であることは確か
四旬節の最初の夜-すごく穏やかだった運転手がある日突然乱暴になったのはなぜかと言うと・・・おいおい物騒なことすな、いやわからんでもないけど(アイルランド人気質とはどういうものかという作者なりの解釈、本物のアイルランド人に殴られそうだけど)
たそがれの浜辺-何と人魚を発見しちゃった男たち、でもそれをどうしたかと言えば・・・まあこうするしかないやねという結末
雨の降りしきる日-全く雨の降らない土地の寂れたホテルへある日1人の老婦人がやって来て・・・おいおい、ホントにそれでいいの、このヒト霞を喰ってる生きられると本気で思ってないか?このレベルになると筆力だけで読者を説得するのはムリだよ(と年寄りは思う次第)
後はほとんどシュールリアル作品(今となっては)なのであえてつっこむのはやめ
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