■【あたりまえ経営のすすめ】2部 管理編2-26 プロ管理職のリーダーシップ PM理論を活用する方策
多様化の時代になり、ホンモノ智恵が求められる昨今です。
世の中には、「専門家」とか「プロ」と呼ばれる人が多数いらっしゃいます。
ところが、残念なことに、その大半というのが、「エセ専門家」「エセプロ」なのです。
管理職も、“真”のプロ管理職にならなければなりません。
ホンモノのプロ、要は「“真”のプロ」とは、どの様な人を指すのでしょうか。
エセプロの多くは、「あたり前のことが、あたり前にできる」ということを軽視しています。
「今の時代、最新の経営理論に基づく経営が重要である」と「あたり前」を蔑視をしている人もいるほどです。
では、「あたり前」とは、なんでしょうか?
「“真”のあたり前」を知らずして、あたり前を軽視して欲しくないですね。
あたり前は、その辺に転がっているのではなく、「あたり前は創るもの」です。
1970年代から、半世紀近くの経営コンサルタント経験から、最善の策ではないにしても、ベターな策を講じるための智恵をご紹介してまいります。
■ 2部 【管理編】 プロの管理職のあり方
本シリーズは、経営士・コンサルタントなどの経営専門業・士業の先生方を対象として、第1部の【経営編】をお送りしてきました。しかし、その内容は、視点を変えれば経営者・管理職のためのお話でもあります。ビジネス界においては、フレキシブルな視点の持ち方をできる人が高く評価されるのです。
筆者は、経営コンサルタントという仕事柄、しばしば管理職研修も実施してきました。その時に、必ずといって問うことは、「管理とは何でしょうか?」ということです。
管理職の皆さんは、よく勉強していて、私より立派な回答が返ってきます。
「では、それをどの様に実務に活かしていらっしゃいますか」と問いますと、期待するような回答が返ってきません。
難しいことを勉強しすぎているのではないでしょうか。知識と実務が乖離していますと、せっかくの知識が知恵として活かせません。
管理職として、「あたりまえ」なことが、実務で行われているのかどうか、謙虚に自分自身を見ることも大切なのではないでしょうか。
管理職は、「管理とは何か」「温かい管理」を正しく理解しなければ、部下からも、上司からも、社会からも正しく評価されません。
温かい管理とは
https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/e/8b7833c2ebc019660a3813e9dedbf92f
ここでは、管理職なら誰もが知っているようなことを整理してみました。
知識としてはご存知のことでしょうが、それを実務に活かすにはどうしたらよいのかを考えてくださる契機となると幸いです。
■ 第2部2章 プロ管理職のリーダーシップ
私達は、ひとりでは生きていくことはできません。社会や組織に所属して、他の人と共に力をあわせることが、近道といえます。そこに求められるのが、「リーダーシップ」です。
管理職だけではなく、ビジネスパーソンにはリーダーシップを取れることが、成功への近道であり、自己実現には不可欠といっても過言ではありません。では、ビジネス界におけるリーダーシップとはどのようなものなのでしょうか。原点に戻って、再度考え、新たな気持ちでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
■ 2-6 代表的なリーダーシップ論のひとつ PM理論を活用する方策
リーダーが、リーダーシップを発揮できるようになるためには、「リーダーとしての自覚を持ち、組織で動くことの重要性を再認識する」ことから始めるべきでしょう。
リーダーシップは、先天的に備わっているという側面がないとはいえませんが、後天的であって、努力次第でも身に付けることができるということを信じることです。
ここでは、PM理論の活用により、メンバーとの信頼関係を強化しながら、リーダーシップを発揮するという観点で見て行きます。
P機能を向上させる方法
既述の通り、P機能(performance function)とは、「目標・計画をもとに指示・命令を出し、生産性を高め、目標を達成する機能」のことです。
リーダーの立場にいる人が、P機能を高めるためには、PDCAと、別項で述べています「共通目標・共通認識・共通行動目標」を常に念頭におくことです。
企業や組織として基本思想を示しています経営理念・長期基本戦略・中長期経営計画などの上位概念という共通目標を、共通認識し、それに基づいて年度計画の達成に向かって共通行動するのです。その目標の達成のために、リーダーとしての月次の方針と計画を部下に明示して、自分が何を望んでいるのかを部下に示すことです。
そして、それを達成するために各自が当該月に何を、だれに対して、いつまでに、どの様にやるのかを明記させ、その進捗状況をチェックすることが、リーダーシップを発揮する基本なのです。
進捗チェックは、上位概念を示す書類、計画書および事前に提出させた報告書を面前に置いて、口頭報告をさせ、計画や、その前に出した指示命令の結果がどうであるのか、その原因・理由は何か、それに対して、今後どの様に進めてゆくのかをアドバイスしたり、新たな指示命令として出したりします。
それら双方向コミュニケーションを口頭でのやりとりだけに留めず、そのやりとりを報告書等に記入をしておきます。それが、次回のコミュニケーションのチェック項目ともなります。
これら、誰もが知っている管理職としてのあたり前を、あたり前に継続していくことが、ノウハウの蓄積を通して、リーダーとしての実力を高めてゆくのです。
M機能を向上させる方法
M機能(maintenance function)は、既述の通り「組織全体の人間関係を重視し、その融和により、組織としての力を高める機能」のことです。
組織を統率して、管理会計的視点で予実積管理をしたり、部下育成を図ったりと、別項で述べています「温かい管理」を推進してゆきます。
コミュニケーションも、一方向の上から目線で行うのではなく、双方向コミュニケーションが基本で、相手の人間性を重視、相手の納得ることを目標とします。
何よりも双方の信頼関係醸成が基本になければなりません。「アメとムチ」という言葉は好きではありませんが、相手の性格に応じて、持ち上げたり、厳しく接したりと緩急を得た対応が必要です。
「相手も人間である」という意識を忘れてしまいますと、上に立つ者という意識から上から目線になりがちです。人間というのは、必ずといっても良いほどに、何かよい面を持っています。その良い面を見て、評価をしてあげることが重要です。時には、相手が愚かに見えることがあるかもしれませんが、それは己の驕りなのです。
自分も部下も同じ「人間」なのです。悩むこともあれば嬉しいこともあります。部下の悩みに寄り添う気持ち、部下によいことがあれば他のメンバーと共に一緒に喜んであげることも必要です。強みを引き出し、本人が働きがいを感じることができるように導くことが、双方の信頼関係醸成に繋がるのです。
PM理論は、リーダーの資質を見るだけではなく、部下達も、同じように分類できます。その特質を活かして接することが肝要です。こじんのちからにはげんかいがありますので、組織を活かして動ける組織力の維持と強化を図ることが、関係者を幸せにするのです。
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