■【あたりまえ経営のすすめ】2部 管理編2-21 プロ管理職のリーダーシップ 「リーダーシップ」のある人の特性を分析する
多様化の時代になり、ホンモノ智恵が求められる昨今です。
世の中には、「専門家」とか「プロ」と呼ばれる人が多数いらっしゃいます。
ところが、残念なことに、その大半というのが、「エセ専門家」「エセプロ」なのです。
管理職も、“真”のプロ管理職にならなければなりません。
ホンモノのプロ、要は「“真”のプロ」とは、どの様な人を指すのでしょうか。
エセプロの多くは、「あたり前のことが、あたり前にできる」ということを軽視しています。
「今の時代、最新の経営理論に基づく経営が重要である」と「あたり前」を蔑視をしている人もいるほどです。
では、「あたり前」とは、なんでしょうか?
「“真”のあたり前」を知らずして、あたり前を軽視して欲しくないですね。
あたり前は、その辺に転がっているのではなく、「あたり前は創るもの」です。
1970年代から、半世紀近くの経営コンサルタント経験から、最善の策ではないにしても、ベターな策を講じるための智恵をご紹介してまいります。
■ 2部 【管理編】 プロの管理職のあり方
本シリーズは、経営士・コンサルタントなどの経営専門業・士業の先生方を対象として、第1部の【経営編】をお送りしてきました。しかし、その内容は、視点を変えれば経営者・管理職のためのお話でもあります。ビジネス界においては、フレキシブルな視点の持ち方をできる人が高く評価されるのです。
筆者は、経営コンサルタントという仕事柄、しばしば管理職研修も実施してきました。その時に、必ずといって問うことは、「管理とは何でしょうか?」ということです。
管理職の皆さんは、よく勉強していて、私より立派な回答が返ってきます。
「では、それをどの様に実務に活かしていらっしゃいますか」と問いますと、期待するような回答が返ってきません。
難しいことを勉強しすぎているのではないでしょうか。知識と実務が乖離していますと、せっかくの知識が知恵として活かせません。
管理職として、「あたりまえ」なことが、実務で行われているのかどうか、謙虚に自分自身を見ることも大切なのではないでしょうか。
管理職は、「管理とは何か」「温かい管理」を正しく理解しなければ、部下からも、上司からも、社会からも正しく評価されません。
温かい管理とは
https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/e/8b7833c2ebc019660a3813e9dedbf92f
ここでは、管理職なら誰もが知っているようなことを整理してみました。
知識としてはご存知のことでしょうが、それを実務に活かすにはどうしたらよいのかを考えてくださる契機となると幸いです。
■ 第2部2章 プロ管理職のリーダーシップ
私達は、ひとりでは生きていくことはできません。社会や組織に所属して、他の人と共に力をあわせることが、近道といえます。そこに求められるのが、「リーダーシップ」です。
管理職だけではなく、ビジネスパーソンにはリーダーシップを取れることが、成功への近道であり、自己実現には不可欠といっても過言ではありません。では、ビジネス界におけるリーダーシップとはどのようなものなのでしょうか。原点に戻って、再度考え、新たな気持ちでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
■ 2-21 「リーダーシップ」のある人の特性を分析する
「リーダーシップ」という言葉は、ビジネスパーソンにとりましては、耳にたこができるほど、よく聞きますが、改まって、それはどのようなことなのかを説明するとなりますと、なかなか難しいですね。
ドラッカーのリーダーシップ論につきましては、既述の通りですが、他にも、いろいろな先生方が、いろいろな説明をしています。
リーダーシップとは、どのようなもので、リーダーシップのある人というのは、どの様な人のことを指し、それを自分でも活かせるようにするには、どうしたらよいのでしょうかいう、原点に戻った取り組みも必要ではないでしょうか。
それにより、自分自身のビジネス活動をどのようにしたら良いのかという観点で、新たな発見が見つかるかもしれません。
「リーダーシップのある人とは、どの様な人」なのでしょうか。これを追求しますと、リーダーシップとは何かが見えてくるでしょう。
多くの人が、口にするキーワードとして「カリスマ性」という言葉があります。確かに、有能なリーダーというのは、カリスマ性を持ち、部下をぐいぐいと引っ張ってゆくというイメージがあります。
しかし、既述の通り、ドラッカーも言っていますが、リーダーシップというのは、持って生まれた才能ではなく、仕事を通して身につけるものです。すなわち、努力次第で身に付けられる能力なのです。
長年の経営コンサルタントとしての経験から見ますと、リーダーシップのある人というのは、いろいろなタイプがあり、一概に言うことはできませんが、少なくても、以下のような行動をとる人が多いといえます。
まず、「基本を大切にする」、原則重視の姿勢です。すなわち、目標とか計画が明確であり、それぞれのコンセプトが明確で、判断に困ったときに用いる「ものさし」を持っています。吉田茂元首相にかわいがられた白洲次郎は、原則重視の姿勢が高く評価されています。
関係者とのコミュニケーションを大切にし、その中から勝ち得たノウハウを蓄積しています。入手した情報は、本当に「事実」なのだろうか、単なる推量や伝聞に過ぎないのではないのだろうか、クリティカル・シンキング的視点を忘れず、現状を鵜呑みにせず、ウラを取ることを忘れません。
目標や計画を立案するときに、5W1Hで思考します。また、その実施に当たって障害となることはないかというように、事前に予測し、その対応策を複数用意します。
「先ず隗より始めよ」の精神で、自分自身が先頭になって行動することもあり、有言実行で、背水の陣をしいて、真剣に取り組みます。
そして、なによりも、気配り、心配りが行き届き、相手の立場でものごとを考えることが身についています。
この様に見てきますと、「その様な人は、理想的人物であって、そのような人は存在しない」という声が聞こえてくるようです。
これらを全て兼ね備えている人は、希有な存在でしょう。
経営コンサルタントとしての経験から、リーダーシップを発揮できる人というのは、不思議なことに「始末書」を多く書いている傾向があります。
彼等の多くは、「熱い心」を持っていて、そのために、時にはカッカすることもあります。規則を遵守するのが基本ですが、原則重視と言いながらも、時にはルール違反をすることもあります。気が短い人も多いです。松下村塾の吉田松陰が、その代表的な一人といえます。
新しいことでも積極的に挑戦し、自分の実力以上の課題にも果敢に挑みます。部下の指導でも、その部下にとって与えられた課題の荷が重くても、「答を教えないで、自分で考えさせる」という姿勢ですので、部下は失敗をします。
リーダーシップのある人は、失敗こそが成長の契機であり、失敗から学べることを熟知していますので、部下が失敗しても部下の責任を問うたり、それを部下の責任として押しつけたりしません。
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