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「日本にとって沖縄とは何か」 新崎盛暉

2019-10-08 | 読書

敗戦直後から2016年までの沖縄の通史。

私にとって、沖縄は本土復帰以前は殆どニュースになることもなく、異国としてエキゾチックな興味を掻き立てる遠くの島という印象だった。

若いころは、唯一、大江健三郎の「沖縄ノート」で沖縄の人の苦難を知るわけですが、本土復帰後は沖縄も本土並みに豊かになっていくのではと、単純に思っていた。

この本を読むと、ことはそんな単純なことではなく、広い基地があることで、沖縄県の方たちが大変な苦難を強いられていたことを、そして今もそれが続いていることを改めて知ることになりました。

米兵による沖縄県民への暴力、暴行事件はとても多くあったことでしょう。全部が表に出てきていないのではと思います。特にベトナム戦争の頃は沖縄は前進基地、今よりももっと緊張していたのでは。

また尖閣諸島は明治時代、日本が国土と宣言する機会があったのに、日清戦争の動向を見るうち時機を失したことや、清国での経済活動を自由にする見返りに、八重山、宮古諸島は清国に渡すという動きがあったこともこの本で初めて知った。

本土の周辺部であるがゆえに、真剣にその場所に住む人のこと考えてないように思う。それは今に至るも同じ。

防衛問題をどうするかはすぐに回答の出ないことかもしれないが、沖縄に負担を押し付ける構造があることは、本土の人間として知っておきたいと思う。

また、教科書から、戦時中、日本軍の強制で集団自決が行われた部分が削除されたとき、11万人もの県民が抗議集会開いたのは、いかに沖縄戦が過酷で骨身にしみているか、世代を繋いで体験が共有されている証だと思う。

今の日本は一応平和と言うことになっているが、これも危ういバランスの上に成り立っていること、これからの日本をどうしていくか、重い課題を突き付けられた本でもありました。


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