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「日本の軍隊」-兵士たちの近代史- 吉田裕

2013-04-08 | 読書

徳佐八幡宮の境内には産直市が開かれていました。特産の葉わさびを一把購入、湯通しして軽くもみ、出汁醤油につけていただきました。ピリッとして、春の味覚。


明治初めに創設された日本の軍隊が、太平洋戦争の敗戦で消滅するまでをたどった、近代日本軍の通史。

明治初め、洋食、洋服、靴、時計といったものが軍隊を通じて広まっていったこと。過酷な労働の農民層には三度の食事と決まった時間の睡眠が保障される軍隊生活はむしろ快適だったことから始まり、農家の二、三男など、上級学校へ行けず、家を継げないものが軍隊の中で出世したいと願う仕組み、とはいえ、士官は上層階級の学歴エリートにしか道が開かれてないことなど分かりやすくまとめてある。

第一次世界大戦のあと日本軍は装備の近代化が遅れ、大陸で、太平洋地域で戦線が拡大するにしたがって次第にその矛盾が明らかになり破滅へと突き進んでいく。1941年以後の戦死者230万のうち半数は広義の餓死者、そのほかに海没と特攻死・・・日本の、いや世界の歴史においても短い期間に夥しい数の青年が、国を離れ、親兄弟にみとられることなく非業の死を遂げるということはなかったはず。狂気と破滅の時代。乏しい資源を精神力でカバーするしかなかった日本。

戦後長い間たち、ともすれば戦争体験も風化し、体験者もほとんどいなくなったけれど、このことは何度でも思い返さなければならないと思う。

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