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好きな本 ( 江國香織氏のすきまのおともだちたち )

2013-07-03 11:40:01 | 好きな本
 題名が気になって、手に取ってみたら、とても綺麗な色の絵が描かれていました。


     
     江國香織氏の「すきまのおともだちたち」


 裏表紙には
『庭で育てたレモンの木からレモネードを作り、針仕事で暮らしている「おんなのこ」。両親は最初からなく、車も運転できる古びた「お皿」と住んでいるー。仕事で訪れた街で道に迷い、帰れなくなった新聞記者の「私」は、客として彼女たちにもてなされることになるのだが・・・。けっして変わらないものが存在し続ける、そんな場所で出会った、小さな女の子とのいっぷう変わった長い長い友情物語。』
とあります。

 この本は、解説もお話と同じくらい素敵で
『好きになった本は、ふと思い出しては読み返す。読み返すたびに、心に響く部分がまるで違うことがあり、驚いてしまう。すっかり忘れていた場面に妙に反応してしまったり。なぜそんなふうに、読むたびに感じ方が変わるのか。答えはかんたん。自分が変わったからである。本の中身は、変わらないのだから。(後略) 』
で始まります。

 初めてこの本を読んだのは、揺れる列車の中でした。
初めて出会った物語の中で一番印象に残ったのは・・・。
「おんなのこ」と一緒に寒村に旅に出た「私」は、年老いた黒い犬のためにバターを町に買いに行った帰りの「おとこのこ」と知り合いになります。賑やかだった村が「寒村」になってしまっていますが、「おとこのこ」は、
「でも、それは全然悲しいことじゃないんだよ。だって寒村ってそういうものだろう?村には村の仕事があって、それはさびれることだったんだ。」
と言い放ちます。なんだかきっぱりしていて、
「世界だもの。確固たるものでなきゃあ。」
と言う「おんなのこと」とおんなじです。
 現実を受け入れて生きていく潔さみたいなものが感じられました。

 二度目にこの本を読んだのは、家のリビングでした。
気になったのは、夜の海でハーモニカを吹く「おんなのこ」と「私」が、「泣き虫で年をとった風呂敷」に出会うところです。これは、月や星のでる海辺で「おんなのこ」が「泣き虫で年をとった風呂敷」を広げている挿絵が、涙が出るくらい綺麗だったからかもしれません。
妙に気位の高いお皿や、年をとって背中のまがったネズミの靴屋さん・・・、「すきまのおともだちたち」は魅力的です。私たちの住むこの世界と時の流れの違う「すきま」・・・。行ってみたい・・・。



 


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