朝、内閣改造の詳しい報道を見たく思い、テレビをつけました。
ところが、目に映った画面は、宮中の歌会始め。
日本の伝統由々しき、凛としたたたずまいと清々しい雰囲気の中、朗々と読み上げられるお歌に、思わず惹き込まれ、最後まじっと見入ってしまいました。
今年のお題は、葉の一文字。
数万の応募の中から選ばれたお歌の中には、14歳の女子学生のものも。
突然襲った病で、難聴になられた主婦のお歌も。
高校生の初恋のときめきを詠んだ歌や、夫婦愛を表現したもの、人生の苦労の感慨を詠んだもの。
葉に寄せる思いは様々で、どのお歌も、私の心に、深く染みいりました。
意外だったのは、いずれも非常に平易な言葉で語られ、難解な歌が一句もなかったこと。
単純な私は、この程度であれば、私にも作れそう、と浅はかな思いが脳裏をかすめたのでした。(笑)
私には無理でも、身近に短歌の心得があった人がいます。
私の母です。
いつか、この日記で、母のことを語りたいとも思いますが、あまりに思いが熱く、簡単に綴れるものではありません。
紫の着物が似合う、とても可憐な美しい人でした。
四十代からは洋装となりましたが、大変なお洒落。
生い立ちからおのずと身に付いた気品にあふれ、凛とし佇まいの姿勢を最後まで崩さないひとでした。
その母が、読んだ歌が、郷里で刊行された短歌の小冊子に載っています。
母の歌の欄のお題は、孫。
初孫に当たる、私の長女への溢れるような思いは、今も語り草で、感謝とともに、懐かしく思い出が蘇ってきます。
自然の情景を詠っだものも含まれていますが、数首、ここに、ご紹介させていただきます。
佇ち止まり目こらして松陰の遺品の前に孫動かず
旅よりの孫の電話の声はずむ志賀高原の涼しさ伝う
一人行く赴任の父に頬ずりし足早に登校す孫いじらしき
おばあちゃまママ倒れたのすぐ来てと孫の絶句に体冷えゆく
寂として動く一葉もなき庭の松の木の間のかかる満月
摩周湖に雲の影静かに行き交いて湖面は濃淡に藍うつろえり
白鳥は足掻きを見せて浮かびおり姿さながら哲人のごと
世界中に公開され、亡き母は、面映ゆく感じながらも、喜んでくれているでしょう。
下の掛け軸の写真は、書道展で入選した時の母の作品です。
自分のブログを読み、胸に込み上げるものが抑えられない私です。変ですね~(涙笑い)
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