美濃屋商店〈瓶詰の古本日誌〉

呑んだくれの下郎ながら本を読めるというだけでも、古本に感謝せざるを得ない。

買った本(2009.03.29)

2009年03月30日 | 瓶詰の古本

   「論語詳解」(川岸華岳述 明治四十三年)
   「昭和史が面白い」(半藤一利編著 平成十二年)

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買った本(2009.03.28)

2009年03月29日 | 瓶詰の古本

   「基本古語辞典 〈改訂版〉」(小西甚一著 昭和四十八年)
   「大恐慌」(J・K・ガルブレイス 牧野昇監訳 昭和六十三年)

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薬指の異重力

2009年03月28日 | 瓶詰の古本

   ときどき発作が起きる。右手の薬指が全く感覚を失い、思わず悲鳴を上げたくなる程重くなるのである。こいつは一種の神経症に違いないとばかり、二、三精神病理の先生方に問診してもらったことがある。ところが、どこへ行っても原因を探り切れずに終わってしまう。精々が、薬石の一包みでもってお茶を濁されるとでも言うのか、効ない処方を手にするばかりである。
   精神分析にかかったこともあるし、所謂催眠術の術中に陥って潜識の告白を引きずり出されたこともあったが、にもかかわらず、指の異重力現象について学問的決着の一言をも聞くことはできなかった。単なる心理学の歴史をベッドの上に寝転がった男に講釈してみたところで、医者の良心が癒される訳でもないと思われるのだが、どんなものだろうか。
   この頃の先生方は、患者に対して人間と人間とのつき合い以上のもの、つまりは、インテリと大衆との関係を幻想するのだろうか。件の催眠術の白衣男は、フロイト、ユングといった馴染みの名前はもとより、メスメルだとか、フッセル、ブロイラー、ミンコフスキーなどなどの人名を陸続とあげつらって、異形な精神の一般現象学を吹き込もうと力むのだが、こちらは折りしも、指一本瞬時に大地を刺し貫くか、あるいは指一本残して、大人一人分の肉塊が天空に吹き飛ぶかの瀬戸際に見舞われ、思わずありったけの声で叫ぶしかなかった。
   「だまれ」と一喝されてたじろぐようなら、無論はじめから精神の病理に鼻を突っ込むことなどすまい。この時、白衣男は眉毛一筋動かしもせず、口端にわずかな微笑の小波を起こして、芝居の台本でも読み上げる調子で言明した。
   「ただ今の瞬間、貴方は三語の音を発語されました。その発語された音の組合せはしかし、事物を生起消滅し得る何等の秘力をも有せない。この事実は、前以って貴方もご存知でありましょう。ここで私が受け留めねばならぬことは、貴方が斯く斯くの精神の表現として採らざるを得なかった手段とは、これであったかということです。
   「私とて、言葉の神異力にまつわる伝承古伝に暗い訳ではありません。神譚、歌謡に垣間見える呪術的秘文を愛するものでもあります。然るに、貴方の精神は極度の緊張に起因してか、狂の臨界点に達して居り、或る種の音の組合せによる、謂わば一気呵成の世界変容を意志なすって居るのデス。」
   全く、私が二度とこの病院の敷居をまたがなかったのは申すまでもない。

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買った本(2009.03.25)

2009年03月26日 | 瓶詰の古本

   「続日本史こぼれ話 近世・近代」(笠原一男・児玉幸多編 平成十一年)

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買った本(2009.03.24)

2009年03月25日 | 瓶詰の古本

   「八百八町捕物控 時代小説の楽しみ④」(縄田一男編 平成六年)

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貝原益軒の毀誉の説

2009年03月22日 | 瓶詰の古本

   毀誉の説

   我が身の行(おこなひ)の善悪は、世人の褒(ほ)め貶(そし)りを、強ちに常にして、喜び懼る可からず。只道理をもて法とすべし。わが行(おこなひ)道理に叶はゞ、世(よ)挙(こぞ) りて毀(そし)るとも懼るべからず。よき人に誉(ほ)められ、悪しき人に毀らるゝこそ、君子とは云ふべけれ。人毎に誉むる者は却りて疑はし。多くは巧(たくみ)にして飾れる人なる可し。

(貝原益軒)

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買った本(2009.03.20)

2009年03月21日 | 瓶詰の古本

   「絵本朝鮮軍記」(嵯峨野増太郎編 明治十八年)
   「謎・謎・謎」(ジョン・ゴッドウィン著 中隅佑子訳 昭和五十年)

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買った本(2009.03.19)

2009年03月20日 | 瓶詰の古本

   「コンサイス東京区分地図帖」(日地出版 昭和三十七年)

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残る言葉は残す言葉

2009年03月19日 | 瓶詰の古本

   今に古人の言葉が残っているのは、みなそれを語り伝え、大事に残してきた後世の人達があったればこそである。一番偉いのはそれらの言葉を発し語った人に違いないが、それを幾世代を越えて伝えて来た心ある人達もまた偉いのである。語り尽くせなかった、書かれなかった言葉の無念を知る人達もまた偉いのである。

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畑鶴山、似而非識者を評す

2009年03月16日 | 瓶詰の古本

   似而非識者の説

   よろずの事、物知り顔する人は笑を招くものなり。或人其友がり招かれて行きぬ。壁間に土佐光信が画ける一軸あり。それを見て、此画は如何なる人の画にてあるかと云へば、かたへより土佐の画なりと云ふ。彼の物知り顔する人の云ふ。我去りし年、故ありて土佐の国に遊びぬ。其国の髪結ひ振なり、姿皆斯く有りしなり。能くも土佐の国ぶりを写せりと云ひければ、座にあるもの皆腹かゝへぬ。

(畑鶴山)

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買った本(2009.03.14)

2009年03月15日 | 瓶詰の古本

   「世界奇談集 3」(リプレー 庄司浅水訳編 昭和三十五年)
   「支那文を読む為の漢字典」(田中慶太郎編訳 昭和五十五年)

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買った本(2009.03.12)

2009年03月13日 | 瓶詰の古本

   「エバは猫の中」(ガルシア=マルケス他 木村榮一・他訳 昭和六十三年)
   「怪談」(著 小泉八雲 訳 山本和夫 平成十七年)

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買った本(2009.03.08)

2009年03月09日 | 瓶詰の古本

   「昭和詩鈔」(萩原朔太郎編 昭和十五年)
   「奇妙な論理Ⅱ」(M・ガードナー 市場泰男訳 平成九年)

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瀧澤馬琴の矜持

2009年03月08日 | 瓶詰の古本

   読書の辞

   予書淫の癖あり。美服珍膳も我が願にあらず。詩歌管弦も我が願ひにあらず。楼台山水も我が願ひにあらず。只書一巻を得る時は一巻の益あることを覚え、百巻を得る時は百巻の益を覚ゆ。悔むらくは、若かりし時学ばず、且世路進み難くして書を購ふの余力なし。此故に僅に下流を撈りて、その源を得究めず。日は暮れなむとして道遠し。こゝをもて益なきに似たり。    

(瀧澤馬琴)

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すぐに融けた雪

2009年03月05日 | 瓶詰の古本

   群馬県では、夕刻の降り始めから翌朝の雪景色を期待したものの、地面をうっすらと蔽った雪は、夜明けから二、三時間と待たずに融けて消えてしまった。それだけ暖かいということだろうか。それにしても、一泊目の夜は、恐ろしい夢を見た。
  布団に潜って眠り込んでいる自分に紐が繋がっている。そして、その紐を何物かが引っ張るのである。襖だか衝立だかの陰から得体の知れない何物かが、ここにいるんだ、ここにいるんだよと言わんばかりに、つんつん紐を引っ張るのである。それと前後定かでないが、紐を引っ張り合って近くまで寄って来たその何物かの足元が一瞬布団の穴倉から垣間見え、それは片足が人間の、もう片足が毛物の脚をしていて布団の縁の方へ向いていた。
   脚そのものがひどく一生懸命になっていることがありありと分るのと、紐を引っ張り続ける何物かの執拗な薄笑いが今にも見えそうなのとで、怖ろしいことこの上ないのである。悪夢の中で、声にならない声を張り上げようとして苦悶する自分自身の呻き声で目が醒めた。そのあとは、ぞくぞくっと波のような身震いが繰り返し襲って来て、まんじりともしないまま夜が明けてしまった。これまで味わったことのない感覚がまだあるのかと考え始めたのがいけなかったのかも知れない。
   一泊目に奇怪な寝不足に陥ったおかげで、二泊目は同じ部屋、同じ布団でぐっすりと眠ることができた。仕事もまずまず順調に進んだ。

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