美濃屋商店〈瓶詰の古本日誌〉

呑んだくれの下郎ながら本を読めるというだけでも、古本に感謝せざるを得ない。

過失による非と分かっても改められずにそのまま仕遂げようとするばかりか、相当の言い訳をしてその過失を紛らわそうとする(孟子・佐藤正範)

2020年10月23日 | 瓶詰の古本

古之君子メキ  (巻ニ、公孫丑下篇)

大旨 孟子が、齊の大夫陳賈に対し、その君齊王の過を改めさせぬ事を責めたのである。
……
古之君子、過テバメキ。今之君子、過テバ。古之君子、其ツヤ也、ク①日月之食、民皆見ビテヤ①ムルニ也、民皆仰ギヌ。今之君子、豈徒フノミナランヤ、又従ヒテス①
……
通義 昔の君子は、何か過失があつて、気がついたその時はこれを改めた。周公がその類の人であつた。然るに今世の君子は何か過失があつて、気がついても、過つたまゝに従つてその非を遂げて居る。齊王がその類の人である。又昔の君子は、過失をしてもその過失は、譬へて見ると、日蝕や月蝕のやうなものであつて、少しも隠し飾ることもなく、人民一同が皆その過失を認めてわるいとはしなかつた。併しそれを改めることになつては、日や月のまた旧に復して光輝を放つやうに、人民が皆これを仰ぎ尊ぶのであつた。然るに今の君子は、どうして唯その過失に従つて、その非を仕遂げるばかりであらうか、そればかりでなく、又それに就いて、その相当の言訳をなして、その過失を飾らうとするのである。
……
附言 君子は過あるを咎めず、過を改めざるを責む。この文、よくその事情を説いて居る。

(「最新研究漢文の解釋 全」 佐藤正範)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

問答無用に事を運ばないと世の中は一歩も先へ進まないという流説

2020年10月17日 | 瓶詰の古本

問答無用に事を運ばないと世の中は一歩も先へ進まないという流説が執念くはびこるのは、正しい正しくないの事の当否はどうでもいい、要は己れの判断をすっかり他者に委ねる全き追従の(動く歩道的)心地良さを繰り返し吹き込むのが我々衆愚に対する最も効験ある馴致策だと指南する賢人(気取り)が沢山いてくれるお陰である

ついじゅう【追従】ツヰ‥‥(体)①あとにつき従うこと。人の言う通りに従うこと。追随。「観客に――するのみでは映画の進歩はない」②人のしたことのまねばかりしていること。「源氏物語以後の物語文学は それに――するのみで新しい発展は見られなかった」
(「例解国語辞典」)

 

ついじゅう【追従】(名・動サ) あとにしたがうこと。◎人の意見(い-けん)に追従しているばかりでは進歩(しん-ぽ)がない。
(「講談社国語辞典ジュニア版」)

 

ついじゅう〔追従〕 ①あとにつきしたがうこと。②前のをまねてやること。
(「プリンス国語辞典」)

 

つい じゅう0【追従】(名・自サ)〔文〕あとにつき従うこと。
(「明解国語辞典 改訂版」)

 

つい じゅう0【追従】-する (自サ)人の言った(した)事にそのまま従うこと。「ワンマン経営者に――する管理職」
(「新明解国語辞典」)

 

ついじゅう【追従】〈名・する自サ変〉①あとからついていくこと。②同じようなことをすること。 [補足説明]「ついしょう」と読むと別の意味になる。
(「学習百科大事典[アカデミア]国語辞典」)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

事の当否はどうでもいい、要は自分の意に反するとどうなるか見せつけることが権力を権力たらしめると確知していた男(曾先之・桂湖村)

2020年10月08日 | 瓶詰の古本

 秦の宰相の趙高は、秦の政権を専にせんと欲した、然し群臣が己れの命令に服従しないことを恐れた、依て先づ自分の命に服従せざる者は、誅戮(チウリク)するといふ事を示さんが為めに、一の験証を行つた、それは鹿を献じたことである、即ち趙高は自ら一匹の鹿を二世皇帝に献じ、わざとこれは馬であると曰うた、二世は笑つて曰ふに、丞相(宰相に同じ)は思違ひをして居やすまいか、鹿を指して馬と為して居ると、そして左右の臣に向ひ、馬か鹿かの別を問うた、此時左右の臣の中には、黙して答へざる者もあり、或は明白に鹿と答へた者もあつた、そこで趙高は鹿と曰うて己の意に反した者に対し、故意に他の罪名を被()せ、之を法律に中(当)てゝ厳罰に処した、これから以後は、群臣は皆な趙高を恐れ、敢てその過失を言ふ者が無かつた、

(「十八史略國字解」 桂湖村講述)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どれほど奸知に長けた為政者でも逃れられないのは馬脚を露わす必然と三つ子の魂百までの桎梏であるが、それをも受け容れるのが我々衆愚の(喪神的)度量である

2020年10月04日 | 瓶詰の古本

みつご【三つ子】(体)①一度の出産で三人生まれた子供。「――を生む」②三歳の子。幼い子。「――でも知っている」
 ――の魂百まで(句)小さい時の性質は年を取っても変わらない。
(「例解国語辞典」)

 

みつご【三つ子】(名) ①一度に三人生まれた子。 S ふた子。②三さいの子ども。
 三つ子の魂(たましい)百まで 小さいときの性質(せい-しつ)は年をとるまでかわらない、というたとえ。 〈ことわざ〉 =すずめ百までおどり忘(わす)れず。
(「講談社国語辞典ジュニア版」)

 

みつご〔三つ子〕①三人いっしょに生まれた子ども。②三さいの子ども。
〔――の魂百たましいひやくまで〕小さいときの性質は年をとってもかわらないというたとえ。
(「プリンス国語辞典」)

 

みつご0【三子】(名)①一回の出産で生まれた三人の・子(きょおだい)。②三歳の子ども。「―の たましい」
(「明解国語辞典 改訂版」)

 

みつご0【三(つ)子】①一回の出産で次つぎに生まれた三人の子。②三歳の子供。「――の魂百まで〔=小さい時の性格は年をとっても変わらないものだ〕」
(「新明解国語辞典」)

 

みつご【三つ子】〈名〉①一度のお産で生まれた三人の子。 S 双児ふたご。②三歳さんさいの子ども。
 ――のたましいひゃくまで【――の魂百まで】〈ことわざ〉幼おさないころの性質は、大きくなっても変わらない。 S スズメ百まで踊おどりわすれず
(「学習百科大事典[アカデミア]国語辞典」)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする